短歌集(194)
中公文庫:日本の詩歌29より
昭和五十一年十一月十日初版
藤沢古実(8)
柴山 の落葉にこもる 春 蘭 の清きつぼみをつみにけるかな
あたたかき 小楢林 にかがまりて掘る春蘭は人にわかたむ
山 菅 の 実 のいつくしき目をもてりあひ見し日よりしたになげかゆ
雲動けばうごくとなげき日のさせば 眉根 開き言ふをとめなりけり
亡 き父のつひの 門出 と新しき 草鞋 を 吾 は 穿 きてかなしも
(つづく)
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