余生

余生

遺言シリーズ6



ある日、なった。
小学生の時、妹が生まれ、一人っ子卒業、そのすぐ後、姉がやってきて、私は一人っ子から一気に真ん中のみそっかすに格下げされたのだ。
その背景の大人の事情は、まあ、あったのだが。

一人っ子ですべて独占してきた子供が、ある日からそれができなくなり、多少の抵抗はしたと思う。
母は今まで全て独り占めしてきたのだからと、私のことを全て後回しにするようになったから。
でもお姉さんが出来たことが嬉しくて、姉に纏わり付いたりもしていた(最初のうちはね)
最初、割と広めだった私の部屋にもう一つの机と2段ベッドが入って、姉と同室だった。
それが父が書斎を姉に明け渡したのは、多分姉がもう一人の姉の母の所に行って、「あの家(私たち家族の家)に私の居場所なんてなかった」と、泣いたという事件のせいだと思う。
その事件以来、私はわがままで、性格が悪く、ひねくれた、意地の悪い子供という定評を得ることになった。

一見恵まれて見える家庭のお嬢ちゃましてたが、あまり楽な子供時代ではなかったと思う。
常に加害者にされることに怯えていた。
姉は神様か裁判官のように、しばしば私を糾弾した。

姉は今では殆どの他人より遥か遠い人になり、年齢もあって、私も心の平和を得てはいる。
姉と私に関係する多くの人が故人になった今頃、それぞれの大人の事情、立場、気持ちが分からないでもないと思えるようにもなってきた。

年を取るのも、悪いもんじゃありませんな。



Last updated June 27, 2006 07:45:53

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