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正月に源氏の君の六条院の邸で女三の宮、紫の上、明石の君、明石女御の四人が琴、琵琶、筝などの楽器を用いて「女楽」を演奏します。華麗を極める四人の女性たちの演奏を聴きながら、それぞれの女性たちについて源氏の君が花にたとえてその美しさを表現します。明石の君については、次のように述べます。この箇所は、「若菜・下」の巻に記されております。下の原文の写真7行18字目から9行2字目まで。 「さ(五)月まつ花たちばな(橘)、花もみ(実)もく(具)してを(押)しお(折)れるかを(香)りおほゆ」 訳は、「五月を待つ花橘(はなたちばな)の花も実も一緒に折った時の香りのように思える」とでも訳しましょうか。実は、この原文の箇所には出典があります。「古今和歌集」巻三「夏の歌」に収められております。「国家大観番号139番」で、「五月まつ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」訳は、「五月を待っている橘が早くも咲いて、その香りがあちこちに漂っている。それは、かつて親しかったあの人の袖の香りを思い出させる」「楽天のホームページ」で、女三の宮や明石の君の姿をCGで公開している「ハナタチバナさん」という方がいます。「日記リンク」をして下さっている方で、ときおり美しい画像を見にいって目の保養をしています。そこで、今日は「源氏物語」の中の「ハナタチバナ(花橘)」について記しました。わが家には、室町時代の古い「古今和歌集」があります。「ハナタチバナ」を記した「国家大観番号139番」「読み人知らず」(4行目)の和歌の画像を下記に掲げます。 「ハナタチバナさん」の画像を直接見たい場合、下記をクリックしてください。 ハナタチバナHereこの「古今和歌集」には、来歴があります。昔、杉田玄白が所蔵しておりました。その弟子である大槻玄沢が所蔵しのちにわが家で所蔵するようになりました。大槻玄沢は仙台藩の医師で、杉田玄白の筆頭弟子でした。玄沢の「玄」は、杉田玄沢の「玄」、また、「沢」は、「前野良沢」の「沢」の1字をそれぞれいただいて付けたものです。
2004年05月24日
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頭(とうの)中将と夕顔の姫君である玉鬘(たまかずら)は、源氏の君に庇護(ひご)され、源氏の君の邸である六条院に住むことになります。 花散里(はなちるさと)の居る御殿の西の対(たい)に住みます。 ある秋の日、庭先で篝火(かがりび)が焚(た)かれ煙が空に立ち上っています。篝火(かがりび)のもと、源氏の君は玉鬘(たまかずら)への恋する思いを歌に託して打ち明けます。「源氏物語」「篝火(かがりび)」の巻で、次のように記しています。下の原文の写真6行目から7行12字目まで。「かが里)火に たちそふ恋の けふり(煙)こそ 世にはた(絶)へせぬ ほのほ(炎)なりけれ」They burn, these flares and my heart,and send off smoke. The smoke from my heart refuses to be dispersed. (英訳・サイデンスティッカー) 現代語訳は次の通りです。(源氏の君)「篝火(かがりび)のように一心に立ち上るあなたへの恋の思いは、いつまでも絶えることのない炎と同じですよ」 源氏の君の恋の告白に対し、玉鬘(たまかずら)は自分の気持ちを歌で返します。原文の写真10行目から末尾行まで。「行(ゆく)方(へ)なき 空にけ(消)ちてよ かが里(篝)火の たよ里(り)にたぐふ けふり(煙)とならば」If from your heart and the flares the smoke is the same, Then one might expect it to find a place in the heavens. (英訳・サイデンスティッカー)現代語訳は次の通りです。(玉鬘)「あなたの恋の炎は、行方も知らない空へと立ち上る篝火(かがりび)の煙のようにやがては消えてしまうものなのでしょう」 玉鬘(たまかずら)は、源氏の君の恋の告白を体(てい)よくあしらったのです。 これを聞いた源氏の君は、「くはや」という言葉を残してその場を去ります。「これは、これは」という意味です。 源氏の君が、苦笑いしながら退散する様子を想像することができます。
2003年11月02日
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