星座はめぐる



たしか小学校4年生くらいだったと思うのだけど、
そのときの担任は中年の男の先生で、
田舎にしてはめずらしく、ダンディな感じで、
男子は「○○くん」女子は「○○さん」と呼ぶような先生でした


当時本ばかり読んで、理屈っぽく、ちょっと同級生が子供っぽいように思えて、
少し浮いたところがあり、
自分は少しおかしいんじゃないかと思ってしまっていた私に

「先生は君の言っていること、考えていることが理解できるよ、
ただみんなはまだ、まだわからないかもしれないから、
思っていることは大切にして、先生と話をしようね。 
ニ、三年たてばみんなが追いついてくるんだからね」
と言ってくれた先生でした

あのままだと、いじめの対象にさえなりそうだった私だけど、
そのときから自分の考えは、頭のなかにしまって、
同級生と仲良く出来たのです

今思うと別に早く成長していたわけでもないけど、
ちょっと毛色が変わっていて、このままだと孤立しそうだった私を、
うまくおだてて、救ってくれたなのだなぁと思います


そのときの同級生の男の子に、苗字が「コン」という子がいました。

ものすごく勉強が遅れていて、
読んだり書いたりさえも難しかったように思います
当時はよくはわからなかったけど、たぶん身なりも綺麗ではなく、
お母さんが魚の行商などをして生活を支えていたと記憶していますので、
今思うと、生活も大変な家庭だったのだろうと思います


その先生は彼に、小学一年生の教科書で、放課後個人授業をしていました
はじめは学校そのもの、勉強そのものを、
拒否していた「コン」くんでしたが、
そのうち明るく、学校に来るようになっていました

先生はほんとうに毎日、放課後「コン」くんに字を教えていました

授業中も、「コン」くんだけはひらがなのドリルで、
気を配りながらの授業でした。

今までの先生はそんなこともなかったし、
とらえかたによってはヒイキしているようなことにもなるし、

多分今思うと、そのような行為は
周りからの反発も多かったのではないかと思います

でも、はじめはひいきじゃないの??みたいに見ていた同級生たちにも、
先生の熱意のようなものが感じられて、
「コン」くんに対しても、変な目でみることもなくなっていました。


他の同級生に対してどうだったか記憶にないのですが、
多分一人一人の個性をみつめ、
伸ばそうとしてくれた先生だったのだろうと思います


そんなこと、ずっと忘れていましたが、
最近テレビを見ていて、「あ」っと気がつき、色々なことを思い出したのです
「コン」くんのコンという字は
あのキ○・ジョ○ウィルと同じ字を書くんですね


当然先生はそのことを含む「コン」くんの家庭の事情もわかっていて、
大切な生徒の一人として、
その子にあった接し方、教育をされていたのだと思います


こうやって大人にならないとわからない、いろんなことがあるけれど、
かけがえのない子供時代に、偏見や、
そのほかいろんな余計なことを感じさせないように、
無邪気に成長し、学べるようにしてくれていた先生に今、改めて感謝しています


その先生を思い出すと同時に、ある曲を思い出しました。
「きらめきゆれつつ、星座はめぐる・・・」
歌ってみると、ちゃんと全部覚えていました
たしか先生は星が好きで、この曲も大好きだと言って、
教えてくれたんだろうと思います

調べてみると「冬の星座」という曲のようです

懐かしいような、綺麗なメロディラインの曲です

もしかしたら先生は
生徒のこと、生徒の未来を、一人一人がそれぞれ
凍える空にでも、きらきら光る星座のように、
強く輝いて生きていって欲しいと
この曲に願いを込めてくれていたのかもしれません





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