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己の非力さは加減はよく分かった。
しかし、相手のことはよく調べていない。
先ずは調査である。
すると、河道が近づけば近づくほど、盛り土の部分決壊とひび割れの頻度が増えている。
地盤軟化を促す浸透水の多くは、直接、最寄の川の砂礫層をくぐってくることが分かる。
これならいける。
やはり眼前に展開する確たる結実は、名状しがたい感慨を催したのだ。
その通りだ。
神が偉大なのであって、栄光は天に帰すべきものなのだ。
自分の人生が、すべてこのために準備されていたのだ。
・・あり得ないとは知りつつも、四年前に夭折した次男ではないかと、幾度も確かめた。
労苦を共にしてきたのは、主に周辺農民たちであった。
彼ら自身が有能な石工であり、・・
この工事に携わった作業員は4年間で延べ38万人
事故死は一人も出さなかった。
軽薄と無関心、暴力と華美な風俗が混在する世相に戸惑い始めていた。
あり余る情報に囲まれながら事実を隠され、自然から遊離してゆく。
人々は自由と悟性を自ら放棄し、思考を停止させる営みに流されてゆく。
その姿は異様に思えた。
このような中でこそ、完成した「マルワリード用水路」は、逃げ場を失った多くの人々に希望を与え続けるだろう。
私もその一人である。
あとがき
農業=食糧を生産する営みは、誇張なく、人類生存の根幹に関わるものである。
同時に、それは地理・気候条件の多様性を反映して、地域性が濃厚である。
それは数千年にわたって、自然との闘いと融和の歴史を経て確立されたもので、・・
水と緑は、文字通り無から有を生み出す富の基盤である。
これが明瞭な世界が、アフガニスタンである。
怖いのは、架空が現実を律し、人間の生産活動や思考を自然から遊離させ、非現実が現実と錯覚されることである。
「グローバル・スタンダード」の名で、地域の特色や文化が失われ、違いを許さぬ狭量な風潮と短絡な思考が人々を支配する。
本書は、このような対極同士の軋轢の中から生み出されたものと言ってよい。
ペシャワール撤収をパキスタン当局に伝え、PMSは医療活動でも、新たな挑戦に乗り出そうとしていた。
数千町歩灌漑を達成して人々の生活安定を図ること、
ジャララバードに医療部の中枢を建設すること、
河川の異常低水位でアフガン東部全域を脅かす大凶作が予測され、干上がった各村の取水口浚渫に住民と一体になって協力し、来年度に本格的な改修を支援すること、などを指示した。
用水路が延びて砂漠に水が流れ、緑地が増える毎に皆と小躍りする。
外国兵の横暴に憤り、親しい者が死ねば悲しみ、病で斃れる子に胸を痛め、収穫が多ければ共に感謝する。
それだけのことだ。
そして、それ以外に、何ができるのだ。
上空を軍用機がけたたましく飛び交い、私たちは地上で汗を流す。
彼らは殺すために飛び、人々は生きるために働く。
彼らは脅え、人々は楽天的だ。
彼らは大げさに武装し、人々は埃まみれのオンボロ姿だ。
彼らは何かを守るが、人々には失うものがない。
「世の中、とっくの昔に狂ってる。だから預言者も出てきたのさ。
それでも、こうして生かせてもらってる。奴らのお陰じゃあない。神の御慈悲だよ。
まっとうに生きてりゃ、怖いことがあるものか」
平和が武力に勝る力であることを実証し、本当に現地の民衆に必要とされるものを自由に汲み取り、緩急自在、ある程度の試行錯誤が許され、実のある事業を継続できたのは、自分が参加するように献じられた良心的な募金に支えられていたからです。