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「ハイチとは我々にとって何か」5 より引用
その3
ここで、なぜ、私がエクアドルのラファエル・コレアを似非反米左派と疑っているのか、簡単に説明します。ベネズエラのチャベス大統領を嵌めるための妙なアーカイブが出てきたFARCナンバー・ツー暗殺事件やブラジル開発銀行へのモラトリアムなど一連の疑惑と南米経済の混乱を招こうとした事件にエクアドル政府が深く関与していることからも伺えますが、地図を見るともっと分りやすい。コロンビア、ペルーという親米右派政権国家に挟まれているエクアドルは、基地の使用期限が切れた米軍に対して撤退要請し、あっさりと要請を受け入れた米政府・軍は、エクアドルを引き払って「ベネズエラ、ブラジルの両国と国境を接するコロンビア」で数万人規模の兵力を大展開することになりました。ちなみにエクアドルの国内通貨は米ドルで通貨発行権は合州国です。中南米では日々の生活でさえ味方だと思っていたら足元を掬われてしまうことなど日常茶飯事ですが、逆のケースもまた存在するようです。
この地にある国々は帝国主義の犠牲者と言うより、国民の多くが直接、間接に加害者でもある人々によって作られている国が殆どですので、政治情勢に関する分析はかなり困難です。例えばブラジル政府が最後まで匿っていたホンジュラスのセラヤ大統領は、右派として当選しながら左派に変身しています。過去にはブラジルのヴァルガス、クァドロス、ゴラール、アルゼンチンのペロンらも不十分とはいえ当時では精一杯の左旋回をしている。コロンビア最高裁によって発表された大統領多選禁止判決、元国防相の立候補や大統領が関わったという汚職疑惑などの報道に接したとき、最大限の善意でもって解釈すれば、コロンビアのウリベにしても次回選挙で再選されて長期政権への足掛かりを得たところで左旋回・反米化する手筈だったのかもしれません。アメリカ帝国主義の傀儡として子々孫々蔑まれるよりも民衆のために立ち上がった人民の指導者として歴史に残り、たとえドン・キホーテと呼ばれても伝説として語り継がれたい、という名誉欲に駆られ易いポピュリスト政治家の行動原理については、米国務省やらシンクタンクなどによって分析済みでしょうから、ウリベがこの南米伝統の打算的イベリア騎士魂を発揮する前に芽を摘み取ったように思えてなりません。しかし、なかには打算的ではない人たちも存在する。

フィデル・カストロやエボ・モラレス、ウーゴ・チャベスの三人に対して、なぜ、アメリカ合州国はあんなにまでヒステリックに攻撃するのだろう、どれも小国なのに、と、以前から不思議に思っていましたが、藤永先生のブログを読み進むにつれてものごとの核心が見えてきたように思えます。『神に祝福されたアメリカ合州国の為には限りなく強欲であれ。(富を収奪して豊かになるという)目的達成の為にはいくら恥知らずであっても構わない。私利私欲の追求は美徳である。我利我利亡者など存在しない。存在するのは我利我利聖者だ』という教義を基本とするカルト・アメリカ教にとって、三人のように私利私欲がなく、国民の為に平気な顔して身を捨てている指導者ほど疎ましい存在はないということです。アメリカ政府は拉致したアリスティド大統領に対しても、どうせバナナ共和国の土人だ、買収できない筈はない、と、荒野でイエスに幻の王国を見せた悪魔さながらの様々な約束をしてみせたかもしれません。効き目がなければ抹殺するか閉じ込める。今の隔離・幽閉状態がそうではないでしょうか。チャベス氏が国連でブッシュ演説の後に登壇したとき「硫黄の匂いがする」と十字を切ったのは、氏に対しても合州国による悪魔的オファーがあったことを仄めかしていたのかもしれません。合州国の支配者たちは「(モノ、金、地位、名誉、権力、その他諸々で)買収されない人間がいるなんて信じられない。買収されない人間なんて人間ではない。彼らはきっと悪魔の化身に違いない」とまで真剣に思っているのではないでしょうか。とくにフィデルのような無欲のご隠居さんは向かうところ敵なしですから、彼らの目にはこの上なく恐ろしい存在として映るのでしょう。