日常の小さな幸せ

本当に必要?


「私よりも、それが本当に必要な人かもしれないよ。」  2005年11月20日の日記 より。



私達家族が、カルフォルニアから東京に戻ってきたのは、

2001年の7月でした。


娘はその時、生後3ヶ月ちょっと。

車が無い私達の移動は、電車や地下鉄中心。

赤ちゃんを抱っこして、電車に乗ります。

席は、すでに埋まっていたり、もし空いていても、

同じ駅から乗ってきたほかの人たちが先に座ってしまったりします。


夫は、それを見て、怒り爆発状態。

「すごい、マナーが良いよね、日本って。」と嫌味。

彼は日本語で言う時もあったり、英語で言う時もあったり。

恐らく本人、怒りで何語を話しているか、気がついていなかったのかも?

「あのシルバーシートがあること自体、

 この国のモラルを表現しているよね。

 シルバーシートなんて無くても、席が必要な老人、妊婦、

 君みたいな赤ちゃんを抱っこしているお母さんに席を譲るのは、

 当たり前のはずだよ。」

と、怒りの夫。


うーん、確かにそうかもしれないね。

でもね、私、健康なんだよね。


赤ちゃん抱っこしている私よりも、

私の目の前で寝た振りをしている、ブランドのかばんを持った、

このきれいなお姉さんの方が、よっぽどこの席を必要としているんだよ。


ダイエットのし過ぎかもしれないよね、すごく細い。

(米国人を見慣れてしまっていた当時の私には、

 日本人の若い女性は、きれいだけど、とても痩せて見えました。)


仕事でストレスが溜まっているのかもしれないし、

見た目では判らない病気を持っているのかも。


どう見ても、寝たふりだけど、

ひょっとしたら、疲れて熟睡しているのかもしれないし。


とりあえず、赤ちゃんを抱っこしている私よりも、

席が必要な事は確かなんだと思う。



もしかしたら、健康な人で、単に席を譲りたくないのかもしれない。

でも、寝たふりまでしているって事は、

席を譲れない自分自身の事を恥じているんだと思うよ。


どっちにしても、かわいそうだと、おもわない?


と、いう会話を交わして以来、

夫は座席を譲ってもらえない事に、あまり文句を言わなくなりました。

(あまり納得いかない様子でしたけどね。)



それでも、たまに通勤途中に電車の中であった

おもしろい話をしてくれたりします。


夫が席をおばあさんに譲ろうとしたら、そのおばあさんが遠慮。

(とりあえずは遠慮しますよね、おばあさんって。)


隣に立っていた男性が座ろうとしたので、

「違います。あなたではありません。」と男性に言い、

「ハイ、座ってください。」とお婆さんに言ったそうです。

この時はおばあさんも、遠慮をせずに座ったそうです。(笑)



娘には、理解してもらえるかな。

私が夫に言いたかったこと。

本当に必要なものだけあれば、満足なんだって事。

傍から見れば、自分の方が必要そうに見えても、

ひょっとしたら他の人の方が、

もっともっと必要なのかもしれないってことを。

わかって、もらえるかなぁ。


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