剣士汁でまくりやねん。

剣士汁でまくりやねん。

<6.戦いの中で>


眩しい...!

ものすごい光に飲み込まれ、私の体は消えた。

やがて光が収まり、恐る恐る目を開けるとそこには砂漠が広がっていた。
どうやら、戦いやすいよう違うフィールドにワープしたらしい。

「こんな足場が悪いところでやるのかよ!」
ヒロは絶句した。

無理もない。踏み出した足は砂に埋もれ、沈んでいく。
真っ直ぐ歩こうとしても、どうしても体が傾いてしまう。

「最悪。早く相手を全滅させて、帰ろーぜ。」

シュンはそう言うと、先頭をきって走り出した。
シュンは死霊術師である。死霊術師は、敵に様々な状態異常を引き起こすことができる。
相手の体力や精神力を奪い去り、自分のものにすることもできる。
最初にシュンに遭遇したら、敵は嫌な顔をするだろう。

シュンを先頭に、ジェネシスのメンバーは後に続いた。


「見つけた」

シュンが足を止める。
ギルド、希望のメンバーを発見した。
少し距離があったが、3人ほど人影を確認する事ができた。

クロノスは呪文の詠唱に入った。

エデンは
「私、たかちゃんの武器になる。」
と言い、剣に変身した。魔法使いであるエデンの得意技だ。

「おっしゃあ!行くで~!!」

既に先に突っ走ったシュンに続き、たかちゃん、ヒロ、ユナと私は敵に突進して
行った。

数ではこちらが優勢だ。これなら勝てるかもしれない

だが、希望のメンバーは私達が迫ってくるのを見て、逃げ出した。

「おい!逃げんな卑怯者!!」

ヒロの罵声が飛ぶ。
私達は砂漠を走る。

「もぉ~戦う気ないのぉ。」

ユナがぜいぜい息を切らして文句を洩らした。
希望の3人組は、逃げてばかりだ。クロノスが詠唱を終え、メテオを降らせたが、
距離がありすぎて敵には届かない。

「何かおかしい」
たかちゃんの剣になったエデンが呟いた。

追いかける事にも疲れた頃、ちょうど狭い通路に私達は足を踏み入れた。
両側には崖があり、その真ん中が通れるようになっている。

すると3人が急に足を止め、こちらに向き直った。

「観念したな!鬼ごっこは終わりだ!」
そう言うと、ヒロは敵に向かってナイフを投げた。
ようやく攻撃が届く距離だ。
ナイフはブスリと胸元に刺さり、敵はうめき声をあげた。
それを引き金に、たかちゃんと私が相手に切りかかり、シュンは相手の体力を奪う
術を使った。

「これで終わりだ!」

カキン!

その時ー
私は見逃さなかった。切りかかった相手がニヤリと不気味な笑みを浮かべたのを。

「皆!後ろ!」

最初に気付いたのは後ろから着いて来ていたクロノスだった。
私は敵と戦いながら、視線のふちでとらえた光景に絶望した。

か、囲まれてる...!

つまり、3人はおとりだったのだ。

最初からこの場所に私たちを誘き寄せて、挟み撃ちにするつもりだったのね...!!

気付いた時には、全てが遅かった。
挟み撃ちの後ろの部隊は4人。さらにその後ろには、魔法使いが2人控えており、
すでに詠唱を始めていた。

逃げられない... !!

前衛の三人には先ほどから攻撃しているが、防御力が高く、なかなか倒せずにいる。


もう勝負はついていた。
一気に前後から攻められ、私達は引く事もできずに、全滅した。


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