剣士汁でまくりやねん。

剣士汁でまくりやねん。

<11.消えたアーク>


私達は、エンジェルのギルドホールの奥にある、円型にイスが並んだ会議室に
案内された。
高そうなイスだ。
そこに腰かけ、詳しい経緯をヒカルに話す。

「なるほど、貴殿方はアークを探しているのですか。」

「ええ、そうなの。助けて貰ったお礼が言いたくて。」

「アークは、もうエンジェルにはいませんよ。」

「え?それってどういう...?」

私は、よく意味が理解できなかった。

「アークは先日、自らギルドを去りました。」

私は思わずクロノスと顔を見合わせる。

「なぜ...?」

「私にもわかりません。
ヒカルは深くため息をついた。
アークは、ギルド創設以来ずっと共に戦ってきましたし、突然去ってしまったの
で、こちらが理由を聞きたいぐらいです。今何処にいるのか、検討もつきません。
でも、話を聞く限りでは、彼は廃坑に最近いたという事ですね。」

理由がギルマスでもわからないなんて。
何かあったのかしら...
私は不安になった。

「またアークを見かけたら、報告願えますか?私達も探してみます。」
ヒカルは真剣な目をしてそう言った。


私達がギルドホールから外に出ると、既に日は落ちていた。お昼前に出てきたの
に、もうこんな時間になってしまった、とクロノスは嘆いた。
クロノスは、私の体調がまだよくない事を気遣って、手を引いてくれている。
私はクロノスの顔を見上げて、話しかけた。

「ねえ、クロノス。なんでアークはギルドを離れたんだろうね。」

「俺が知るか。
アヤカ、アイツの事好きなのか?」

「え、え」

図星だった。
私の顔がみるみる赤く染まっていく。

「ま、俺はリアルで彼女いるからそういうの興味ないけど。」

「え?」

リアル?

な、に?

私が立ち止まり、クロノスの手が離れた。

リアル=現実?

ここが、今見ている世界が現実でしょう。
クロノスは何を言っているの。
私は、よく意味が理解できなかった。

頭が、痛い。

「アヤカ、何突っ立ってる?ギルドホールに着いたぞ。」

「あ、うん」

私は慌てて、クロノスの背中を追いかけた。


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