剣士汁でまくりやねん。

剣士汁でまくりやねん。

<12.消えたユナ>


その日、私は夢を見た。
それなのに、まるで現実に起こっているかのように不思議な感覚だった。

病院の受付に立ち、愛想笑いをうかべて患者と話している人が見える、
白衣を着た男に怒鳴られている人が見える、
オカアサンに殴られてる人が見える、
パソコンに向かって独り言を言ってる人が見える...

なに、気持ち悪い...

やがてその人は姿を変え、よく知る人物になった。

あ、あれは私...?
いや、違う。

私はこんな世界は知らない...

私はこの世界でずっと生きてきたもの。



でも、ずっとっていつから?

記憶が繋がらない。

コノセカイッテドノセカイナノ?

何が本当で、何が正しいのかわからない。

胸の奥底に閉じ込めていた記憶が顔を出しそうで吐き気がして、
私は飛び起きた。

ゆ、ゆめ...

あれは確かに私だった。
だけど、私はあんな世界は知らない...!

「アヤカ?大丈夫?」

声がして顔をあげると、ユナの顔があった。
「ユ、ナ...」

「アヤカ、凄くうなされてたよ~?心配で起きてきちゃった。」

そう、ユナ。
この子は私の友達だ。最初の方に、狩りをしていたら偶然出会った女の子。
その後ギルドに誘われて、ジェネシスに入ってクロノス達と出会った...

あ、れ

さ、最初っていつ?
私は何処で生まれたの?

私は激しい頭痛を覚え、頭を抱えた。
記憶が曖昧で、繋がらない。

オモイダサナクテモイイノヨ

ワタシヲ、ケサナイデ

「アヤカ、まだ完治してないんだよ。ゆっくり寝てね。おやすみなさい。私も明日
、テストあるし早く寝よっと。」

な、なにテストって?聞こうとしたが、ユナは既にそこにはいなかった。

き、消えた?
ユナ...?

私は飛び起きて、ユナの部屋に向かった。
だが、そこにユナの姿はなかった。

何処へいったの...

私はへなへなとその場に座りこんだ。


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