怪獣と暮らす日

怪獣と暮らす日

約束すっぽかし


あまりしゃべらず、いじめられたりいじめられなかったり。
特に仲のよい子もいなくて、近所の数人の子と付いたり離れたり。

その時仲の良かったのはMちゃん。
身長が同じように低めで、彼女は勉強ができた。

Mちゃんの誕生日が近づいてきた。
Mちゃんは「お誕生会をするからうちに遊びに来て」と誘ってくれた。
うれしかった。

でも当時、私のおこずかいはみんなと比べても少なくて
多分月300円くらいだった気がする。

お誕生日会とはどんなものかも考えず
プレゼントの事も考えていなかった。
普通に遊びに行くくらいにしか考えていなかった。

その時点で私の考えが浅かったんだと今は思う。

約束の土曜日、学校から帰って昼食を食べた後、母が言った。
「お誕生日会に行くのにプレゼントもなしでは行けないよ。
 何か買っておいで。」

私の持っていたお金は100円あるかなしかだったが
母は、自分で考えたものを自分のお金で買わなくちゃダメだと言った。

かわいいものを売っているお店もあまり知らなかったので
隣の学区の小学校の裏の文房具屋さんまで自転車で買いに行った。

迷うほど選べなかったけど
自分ではかわいいと思ったポケットティッシュを買った。

自転車で帰ってくる途中、他の友達に会った。

「どこ行くの?」と聞かれたので
Mちゃんのお誕生日会に行くからプレゼントを買ってきたのだと言って
ポケットティッシュを見せた。

するとその友達は
「そんなのMちゃん喜ばないよ。
 そんなのだったら行かないほうがいいよ。」
「そんなの持ってったら、きっとMちゃん怒るよ。
 絶対嫌がるって。」

でも私にはそれしか思いつかなかったし、それしか買えなかった。
どうしよう、もう他のものは買えない。

ものすごく好かれなくてもいいけど
私は周りの人に「いい人」だと思われたかった。

友達は私に言った。
「だったら、うちにおいでよ。
 そんなの持って行かないほうがMちゃんもよろこぶよ。」

変わりのものもないし、だったらMちゃんのおうちには行けない。
こんなの持ってったらMちゃんは怒るって言ってるし。

そう思った私は、なぜかその友達のうちへ行ってしまった。

その日の夕方近くMちゃんは、私が来ないので迎えにきたそうだ。

実は母は、私がお金を持っていないのを知っていて
ちゃんとそれなりのプレゼントを用意してくれていた。

夕方家へ帰った私は、母に叱られなかった。

それから母と一緒に自分のプレゼントと母の用意したプレゼントを持って
Mちゃんの家に行った。

もう時間も遅くてお誕生日会はできなかった。

たぶんMちゃんには「ごめんね」と言ったと思うけど
Mちゃんの顔も見られなかった。

Mちゃんに申し訳なくて
今でもMちゃんに会ったらもう一度きちんと謝りたいと思っている。

ごめん、Mちゃん。

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