BLUE&BLUE

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ブルーサウンドシリーズ



湘南カフェレストランの店長・藤木聖司には、19歳の時に一方的に、恋人への別れを告げた過去があった。
それはエリートへの道を約束されている相手・嘉悦政秀の将来を思った、あえて露悪的な別れだったが、その十年後嘉悦が偶然藤木の店を訪れた事で、二人は奇しくも再会してしまう。
だが「お前を忘れられなかった」と告げる嘉悦の左薬指に、プラチナリングを見つけてしまった藤木は・・・?

忘れたくて男女問わずベッドを共にしてきたが、どうしても忘れられなかった。しかし、その思いを封印して十年、現れてしまったんですねー元カレが・・・
噂で聞いた嘉悦の結婚。カレの指をみて、それが本当だと分かります。
会った瞬間から藤木の気持ちに激しく動揺します。
結婚してノーマルな世界に戻っていったカレと忘れられない自分。
再び嘉悦が店を訪れ「もう一度やり直そう」と言われ、今まで封印していた気持ちが一気に爆発しちゃいます。
この時の藤木の乱れようはすごかった(汗)
体の重ね方も昔とは違っていて、十年の月日を感じてしまうのだけれど、そんなのどうでもいいんです。
溝を埋めるように会えば求め会い(もうヤリまくり!)ラブラブになった二人。
しかし、嘉悦には奥さんがいて自分は愛人の立場。
藤木はしだいに悩んで・・・

嘉悦との仲に悩む藤木の良きアドバイザーとなるのが、同居している店員大智(男)と真雪(女)。このあけっぴろげな二人は以前藤木に告白して振られてるのですが、それでも何もなかったように生活してるんですね。そして一番の理解者なんです。
ウジウジしてる藤木に話を聞いてあげて、どうすればいいのか意見を言ってくれたり、嘉悦ともめれば部屋を出ていきじっくり話が出きるようにしてくれたりと。
まあ、お節介な所もありますが、この二人がいなかったら寄りを戻せなかったし、その後もうまくいってなかったんじゃないかな?
この二人がホントいい味出していて、物語の話をうまくまとめてくてれいます。
それがなきゃ、主人公のウジウジが目立ってしまっていたかも。

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  『手を伸ばせば はるかな海』

何をしても完璧な弟と比べられ、劣等感の固まりとなってしまっている宮上瀬里。
ブルーサウンドを訪れたのは、2年前のことだった。
20歳になり、成人を理由に一人暮らしをしたいと言い、部屋探しをしていた。
出来の良い弟とそれを自慢とし生き甲斐にしてる母、妻には何も言えない父の元から
早く逃げ出したくて、部屋を探していたのだが、思ったようにはいかなかった。
身も心も疲れ切っていた時、入った店がブルーサウンドだった。
人当たりの良い店長と従業員にいつの間にか歓迎され、あれよあれよという間に
店の上の部屋を借り、バイトもそこでさせてもらえる事となった。
しかし、家族との一件から人付き合いも苦手な瀬里は、店での接客も当然上手くできなかった。
厨房を預かってる大智は、そんな瀬里を見て色々アドバイスをする。
しかし、おおらかな大智と違い、言われるだけで萎縮してしまう瀬里。そんな瀬里に
大智も少しイライラしてくる。
だが、なぜか放っておけない大智。そして、大智なりの気遣いからだと気づく瀬里。
やっと瀬里の心も解け始めた矢先、弟の和輝が店にやって来て・・・

どこまでも後ろ向きな瀬里。
完璧な弟にコンプレックスを抱くのはわかりますが、そこまでならなくても・・・
というくらい気が小さくなってます。
その心をほぐし、溶かしていってくれるのが大智。
そのおおらかな性格は、前作の『目を閉じればいつかの海』でも実証済みで、
彼のお陰で店長の藤木と嘉悦が元サヤに収まったと言っても過言では無いほど。
お節介とまではいかない、自然とわき出てくる愛情からの世話焼き。
初め瀬里は、それが怒っているように思えて怖がっていましたが、それが大智の愛情表現なんだとわかると同時に、頑なな心も解放されていきます。
大智の優しさで瀬里を包み込んでくれてるようで、このカップルは大好きです。

二人が結ばれるのも、大智は大切にゆっくりと段階を踏んでいきます。
経験のない瀬里は、すべての事に戸惑い恥ずかしがります。
その辺がかわいくってしょうがありません。
しかし、ようやく結ばれる時、大智のちょっとした悪戯で瀬里はものすごい「淫乱ちゃん」(伯爵様のエディみたいな言い方ですが・・・)に変身!
その変わり様といったら、あなた!!!
禁断の甘い蜜を吸ったら、人間変わってしまうのねぇ・・・

コンプレックスの原因となった弟の和輝ですが、彼も悪気はまったくないんですね。
ただのブラコン。瀬里が大好きでしょうがないんです。
その愛情表現が下手なだけ。
大好きなお兄ちゃんが自分から離れて行くのが寂しくってしょうがないんですね。
彼がどう成長していくのかは、続編の『耳をすませば かすかな海』で。
しかし、こちらは和輝の年下攻めだそうですよ。

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  『耳をすませば かすかな海』

何をしても完璧に出来る宮上和輝。簡単になんでも手に入り、思い通りになる彼にも
どうにもならない相手がいた。
それは兄の瀬里と1年前一度だけ寝た年上の相手ショーイ。
瀬里に大智という理解者が出来て以来、和輝との関係もうまく行き始めていた。
しかし、ショーイだけは違った。
偶然の再会で再び肌を重ねる関係になった二人だったが、
ショーイの気持ちがどこにあるのか、まったく掴めない。
自分だけどんどん溺れていくのは、不公平だと言わんばかりに
ショーイに心を求めるが、彼はうまくかわしていく。
そんな関係を変えたいと思う和輝は・・・

瀬里の弟、ブラコンの和輝登場です。
和輝が瀬里に執着する理由、それは独占欲からくるものだったのですね。
兄貴いじめとも見れるその執着振りは周知の通り。
しかし、そんな瀬里が大智という存在を得た事により、独り立ちしてしまい
和輝のつけいる隙がなくなってしまいます。
自分の感情をぶつける相手がいなくなった時に現れたのが、ショーイだった。
年上のショーイは、自分を甘やかしてくれるし、言いたいこと言える唯一の存在。
初めて男と経験したのも、ショーイからの誘いで
そのテクニックに溺れたのも事実。
しかし、それだけじゃもの足りない。
中だしを拒む彼に、すべてをさらけ出す事を拒否されているようで、
和輝のやり場のない気持ちはどんどん膨らんでいきます。

ショーイも暗い過去を持ち、自分を解放出来ずにいます。
和輝が正面からぶつかればぶつかるほど、それは頑なに閉じ
大人の余裕でさらりとかわす。
今までも相手だったら、それで良かったのかもしれませんが、
和輝は壁をブチこわしてどんどん内側に入り込もうとし、ついに陥落。
愛することに臆病になっていたショーイは、
なんでも楽にこなせ、本気でぶつかった事のなかった和輝が、
初めて本気で欲しいと願った気持ちに負けたのではないでしょうか?
自分の殻を破り、正面からぶつかっていく。
そんな正直な関係の二人になれたのですね。

ショーイと和輝の二人の会話は、掛け合い漫才のようなポンポンと言い合えるもので、たぶん、初めからきちんとぶつかり合える相手だと知らず知らずのうちに
認識していたのではないでしょうか?

一回り大きく、心の成長をとげた和輝。
大智が瀬里を大きく包み込むような愛もいいし、お互いをぶつけ合えるショーイと和輝の関係もステキだと思います。

短編は『リベラリストは恋に溺れる』。
こちらは出張中の大智浮気発覚?のその後。
大智の言い訳、そして瀬里の強く言えない想い。
瀬里も少しは強くなったのですが、大智に「浮気は許しません!」と
強く言えないことが災いして起こってしまった事件です。
しかし、それが大智の瀬里への想いが強かったが故の友人の悪戯で
一件落着。
だけど、普通の精神ではキチンと言えない瀬里に対し、
えっちの最中にぶっ飛んで性格が変わってる時に「浮気しないで」と
言わせるところは・・・鬼畜?(笑)
そうでもなきゃ、瀬里の本心が聞けないってのも・・(汗)
かなりエロエロな仕上がりとなってます。


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   『振り返ればかなたの海』


崎谷さんの作品で大好きな「ブルーサウンドシリーズ」の新刊です。
今回は前の3人の続編なのかなーと思ってましたが、山下くんですか!
そう来るとは思わなかった。いい意味で裏切られましたね(笑)

湘南のオシャレなカフェレストラン「ブルーサウンド」。
厨房担当の大智のヘルパーとしてやってきていた山下昭伸は、客である奥菜一葡(いちほ)によって水を浴びせられ
フリーズしていた。
店内でのゲイの痴話げんか、それに巻き込まれてしまったのだったが、謝る一葡に対し”良くある事”として軽く流していた。
しかし、その態度に一目惚れしたという一葡は、その場で告白してしまう。
断る山下だったが、客としてなら「またのご来店をお持ちしております」と言ってしまい、その後一葡は店に通いつめる事となる。
厳格な父と兄のいる有名なレストランでサブとして働いていた山下にとって、すべての人に対し営業的な態度をとり
表面上だけ良い顔をしてしまうのは、次男としての処世術だった。
そんな自分の性格をわかっていても、そこから抜け出せずにいた。
そんな中、思いっきりぶつかってくる一葡は新鮮な存在でありながら、やはりいつもの態度をとってしまう自分。
しかし、ウザイと思いながら拒絶しきれずにいる本当の理由とは、山下自身も気づいてはいなかった。


何度か山下くんの名前は出てましたが、まさか彼が主人公として出て来るとは・・・
セリフありましたっけ?
大智の大学時代の後輩で、大智が海外へ放浪の旅に出る度にヘルパーとして呼ばれているーーー
不規則な非常勤勤務に対応できるって、どんな人なんだろう?と思っていたら
ちゃんとした料理人としての資格も持たず、実家のレストラン(イタリアンとしてかなり有名らしい)の手伝いという立場だったんですね。
厳しい兄に反発を覚えながらも、中途半端な立場の自分では何を言っても聞き入れてもらえないと
初めから諦めている。
だけどそこからは抜け出したいという気持ちから、先輩からの頼みだからと店を抜け出しブルーサウンドで働いています。
とっても自分の存在意義や気持ちに葛藤してるにも関わらず、内に秘め絶対表に出さない。
そんな中で一歩踏み出せるチャンスである麻布の新店の店長の話。
これは山下くんの成長記のような話になってます(笑)

一葡ちゃんは登場した時からゲイであるとわかっている受けちゃん。
好き好き光線出しまくりで、お店の人たちも何気に協力してあげてるのですが、
当の山下くんにまったくその気がないので平行線のままずーーーといきます。
ストーカーのようでそうでない、ギリギリの線をいくのは作戦なのか?
押して押して攻撃の後は、パッタリと姿を見せない引く作戦?
そんな一葡の態度に少しずつ意識を持ち始める山下くんですが、麻布の新店をまかされることになり
いっぱいいっぱいの中で恋とか考えられずにいます。
というか、何事にも熱くなれない性格だと思い込んでるフシがあるので
無意識の中で本気に考えない様にしてる自分があるんじゃないかなー
本当にもどかしい・・・(汗)

ただ、溜め込んでいた分、ハジケた時は恐ろしいですよ。
一葡ちゃんに「一度だけ抱いて」とお願いされてOKしたはいいけど、予想以上の良さにクラクラきちゃって
エロいこと言わせたり、色んな体位取らせたり(笑)、もう性格変わってる!
なんだか崎谷さんにしては山下くんの成長記で終わるの?って感じに展開していただけに
ここでエロ炸裂です。さすが!
新たな自分発見ですなぁー山下くん(爆)

出会い方も、進展の仕方もちょっと違った角度から入っているので今まで読んできたBLと比べると
新鮮な感じ。
シリーズものであっても飽きさせない工夫がされていて嬉しいです。
(マンネリはマンネリでまた楽しいんだけどねv)


気になるのは、新店のバーテンダー江上さん。なんかこの人の過去というか恋の話も触れて欲しいけど
続きはどうなるんでしょう?
従業員でなくお客さんの話って可能性もあるみたいだし。
どっちにしても、このシリーズは楽しみにしてますから1年後などと言わず、早く出して下さいね♪


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