空色の彼方へ

空色の彼方へ

独り


いつだって日向にいた私を見た気がする
今はもう日陰にいる私にしてみれば
その屈託のない笑顔は
見るだけで
苦しい


^for^~何かのために~
   -独りー


目が覚めたと同時に何か心が温かい気がした
そして同時に何か悲しかった
ふと、私は昨日のことを思い出す
だが部屋はいつも毎朝見る部屋とは変わらず
誰一人としていなかった
もちろん魁も
今思えば夢だったのかもしれない
よく考えれば死神なんておとぎ話じゃあるまいし
などと瑠璃は考え始めた
しかしそんなことを考えてもしょうがないと思って瑠璃は下に下りていった

一階に着いた
そこには人気のないリビングがそこにあった

「今日もいないのか・・・」

瑠璃はそうここにはいない両親に向かって独り言をつぶやいた
瑠璃の両親は仕事で忙しくなかなかうちには帰ってこない
だから帰ってくるほうが珍しいといっても過言ではない
昔はよく瑠璃のことを可愛がってくれていたのだが
小学校に上がる頃にはもう乳母にまかせっきりでかまってくれなくなった
中学に上がる頃には乳母は亡くなってしまい
瑠璃はついに独りになった


瑠璃は簡単に朝食を済ますと
学校に行く支度を始めた
ふと、また魁のことを思い出した
ありは本当に夢だったのだろうか?
そういえば右手に何か印を書かれたような気がして
右手を見るがしかしそこには何の後もない
あれは夢だったのだろうか
でも、だとしたらあれはなんだったんだろうか?
そうもの思いにふけっていると
学校に行かなければならない時間になった
これから学校に行かなければならないのかと思うと吐き気がする
また今日もあんな目にあわなければならないのかと思うと
そんなふうに思いながら
思い足取りで学校に向かう
腐りきった学校に

「行ってきます」

その声はこの家に虚無に響いた
だが瑠璃はその一歩跡に誰かが

「行ってらっしゃい」

といったことには気づくことはできなかった
                             2005.11.19



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: