マリファナ


 高名な平野博士が、自由には地獄に堕ちる自由も含まれる、みたいなことを言っていて、被害者のいない犯罪の非犯罪化を提唱しているが、ぼくも平野博士の意見に同感だ。マリファナを犯罪にしても暴力団が儲かるだけだ。ある程度の体への悪影響はしょうがないんじゃないか。そんなこと言ったら、ぼくのじいさんは酒で死んだ。酒乱だった。ぼくたち子供には暴力はまったくふるわなかったけど。
 ぼくの酒飲みじいさんのことなんて、どうでもいい(じいさん今頃ぼくを見ているのだろうか?)。ぼくはマリファナはやったことはないが、まだ違法になる前、マジックマッシュルームを食べたことがある。感情がむき出しになり、幻覚を見た。ぼくは泣きそうになった。悲しいわけでもなかったのに。一緒に食べていた友人の目が、メフィストフェレスの目のように見えて、怖かった。ぼくをどこか怖ろしいところへ連れて行こうとするような目だった。
 二人で森へ行った。上を見上げると、木の枝がそよ風に揺れていて、その向こうに、格子越しのように、朝焼けの爽やかな空が見えた。いろいろなものが違って見えた。あらゆるものを知っているような感じがした。
 それ以来、ぼくはゴッホが好きになった。かれは本当に気が狂っていたのだろう。



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