瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内シーカヤック日記

January 13, 2007
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瀬戸内海に浮かぶ、周囲4.4km、面積0.69km2の小さな島。 広島県呉市、『情島』 1992年に始めたカヤックで、初めて渡った思い出の島である。

今日は日帰りツーリング。 久し振りに情島に行ってみようか。

***

風も弱く、日差しが暖かい。 小春日和で、絶好のパドリング日和。
いつもの浜から漕ぎ出し、情島へと向う。

島の西側に着く。 ここから、時計回りに一周してみることにした。 いったん北上し、岬を廻り、こんどは南へと漕ぎ進む。 情島の東側から南側にはきれいな浜がたくさんあり、カヤックを揚げて一休み。

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南の岬を廻り込むと、すぐに小さな港が見えてくる。 港のすみっこの小さな浜に、そっとカヤックを揚げさせていただいた。 

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石組みのスロープを上がり、通りに出る。 本土から来たと思われる、桟橋で釣りをしている二人の人以外は、だれも見あたらない。

集落を散策してみる。 狭い路地を抜け、畑の横の道を歩く。  しばらくすると、元は学校だったと思われる建物が見えてきた。


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学校の角を曲がると、手押し車を押しながら、ゆっくりとおばあちゃんが歩いてきた。
『こんにちは。 ここは、学校だったんですか?』 『ええそうよ、今は休校中じゃけど』
『昔は人が多かったんですか?』 『戦前や戦後は人が多くて賑やかじゃったよ。 でも、だんだん広島や呉に出て行って、人が少なくなって。 この学校も、最初は一階建てだったのを、二階建てにしたんじゃけど、その後は子供達は船で本土の学校に通うようになって、休校になってしもうたん』

***

『昔はねえ、鰯網やサワラ漁の船も多かった。 魚を揚げるのを手伝いに行って、魚をもろうたりしよったねえ』
『うちでも、おじいさんが船で漁をしよった。 サワラ漁やエビ網をしょうったころは、良かったねえ。 おじいさんが居らんようになってからは漁もせんようになったけど』 『じゃあ、おばあちゃんも船に乗りよったんですか?』 『わたしゃあ、島の外からきたんじゃけ、漁なんかできん。 おじいさんだけ』

『前は、この山の向こうに別荘を持っとる人が居って、管理人さんも住んどったことがある』 『それって、鳥居のある浜のところですか?』 『そうそう、今は無くなってしもうたけど』 『あの浜のところに、石組みで土台が残ってますよねえ』

『じつは私が子供の頃、うちのお袋が、○○病院の看護士をしていて、月に何回か病院の先生と一緒に渡船でこの島に来ていたと聞いた事があるんですよ』 『○○病院。 ああ、あの□□町にある病院よねえ』 『そうですそうです』

『昔はねえ、夏になったら定期船で泳ぎに来たり、キャンプしに来る人も多かったんよ。 でも今は、いろんなところに海水浴場があるでしょう。 倉橋の方には温泉もあるし。 じゃけえ、最近はあまり人が来んようになった』 『残念ですね。 こんなに静かで良い島なのに』

『私は島の外から来たんじゃけど、まあね、ここに住んどったら、畑で採れた野菜を食べて、魚を食べて、不自由はないよ。 もう何十年も住んどるんじゃから、出て行こうとも思わん』

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『今から畑に白菜を採りに行くところ』 『いろいろと話しを聞かせてもらってありがとうございました。 楽しかったですよ。 また、遊びに来ても良いですか?』 『ああ、ええよ。 またきんさい』

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今日は、妻に作ってもらった弁当を持って来た。 ちいさなランチジャーに詰めた弁当。 やわらかい冬の日差しを浴びながらの昼ご飯。

***

弁当を食べていると、荷物を抱えて通りを歩いて行く人に声を掛けられた。
『釣りしよるん?』 『いいえ、今日はシーカヤックを漕いで来たんです。 島を一周して、ここで弁当を食べさせてもらってます』 『ああ、あのフネか』

『ここに住んでおられるんですか?』 『いやあ、この島に実家があって、週に一回くらいは顔を出しに帰る。 船の手入れもあるし』



『わたしの知り合いにも、シーカヤックをやっている人が居る』 という話しから、共通の知人があることが分かって驚いた。
『それって、○○さんじゃないですか?』 『そうそう。 その人!』 『○○さんとは、毎年秋に小豆島から祝島まで漕ぐ、瀬戸内カヤック横断隊で何度かご一緒してるんです』 『今度会ったら、よろしく言っといて』

***

その方が、船で帰って行かれるのを見送り、お湯を沸かしてコーヒーを飲むと、私も帰り支度。
カヤックに乗り込み、漕いで行くと、桟橋のところで網を片付けている漁師さんが居た。

『こんにちは。 たくさん採れましたか?』 『今の時期はカレイ。 今日はまあまあ採れたよ』 から始まり、話しが弾む。 漁師の仕事、カレイのおいしい時期、島の暮らし、カヤックの話し。

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『でも、漁師さんていいですよねえ。 憧れの仕事ですよ!』 『なにが、そんなええもんじゃないよ。 冬は寒いしの』 『海の上は気持ちいいし、たくさん採れたらうれしいんじゃないですか?』 『わしは、そこそこ食べられたらそれでええんよ』 『ええですねえ』

そして、『これ、食べるか?』 といってもらったのは、『ニシ』と呼ばれる貝。 『さっと湯通しして、ワサビ醤油で食べたらおいしいで』
『いいんですか? 自分が食べるのが無くなるんじゃないですか?』 『なあに、わしはあんまり食べんけんええよ』 『ありがとうございます』

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『また、遊びに来てもええですか?』 『おお、きんさいきんさい』 『ありがとうございました』 『じゃあ、気を付けての』

***

『こぐ、みる、きく』 充実した冬の一日。
あまりに身近すぎて、ゆっくりと上陸し、集落を散策する事も無かった情島。 今回の訪問と様々な人との出会いで、情島に惚れてしまったかも!

今日は、このニシの刺身をつまみに、出会った人達の事を思い出しながら、ゆっくりと晩酌を楽しもう。

***

昨年秋に周防大島で行われた、『あるく、みる、きく』の特別企画に参加させていただき、毛利さんの講演と、香月さんの洋上レクチャーを受けてから、旅のスタイルが少しかわったような気がしている。
『旅するシーカヤッカー』にとって、あの企画は重要なターニングポイントだったのかなあ。





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Last updated  January 13, 2007 06:11:41 PM
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Re:瀬戸内 シーカヤック日記: 『こぐみるきく』_情島散策ツーリング(01/13)  
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