今日も他人事

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ブルーザー帝

・ブルーザー

『二度目は許さんぞ』

諡号は拳武帝。「龍の穴」に所属する格闘家である。

「龍の穴」は古来より南バレンヌの洞窟を拠点とする格闘家集団であり、近隣の村から魔物討伐や治安維持を任されるなど絶対の信頼を置かれていた。

だが、ジェラール帝の時代に洞窟に巣くっていたジェル状の魔物に対して自慢の腕力も優れた技もまるで歯が立たず、住民達からの信頼を失ってしまう。

さらにジェラール帝が魔物を討伐してしまったことで面子を潰された「龍の穴」は弟子達が次々と去り、ほとんど力を失ってしまった。

「ザ・ドラゴン」の異名を持つ長カールはジェラールに敗れた恨みを糧に修練に励み、「龍の穴」の再興を目指したが、その後、何代にも渡って不遇の時代が続くことになる。

それから数百年後、ブルーザーという若者が「ザ・ドラゴン」の異名を継承した。彼は体術について天賦の才を持ち、その技はカールをも凌ぐと賞賛を受けた。

また、ブルーザーは極めて強い向上心の持ち主であり、貪欲なまでに力へと執着していた。

彼は「ザ・ドラゴン」の異名を持ち、多くの弟子を持つことになっても、もっぱらその興味は自らの力と技を高めることにのみ向かっていたのである。

そして、帝都アバロンへと赴いたブルーザーは自らの腕ためしと更なる強豪との出会いを求めて、帝国軍に挑戦状を叩き付けた。

この戦いで彼は帝国軍の誇る重装歩兵、軽装歩兵、フリーファイターらを次々と打ち破り、ホーリーオーダーのピーターとも互角の戦いを演じた。

彼は自らと互角の戦いを繰り広げたピーターの腕を絶賛するとともに、敵愾心を燃やし、帝都アバロンに住み着き、さらに激しい修行を重ねた。

そして、時の血統皇帝が崩御した時、ブルーザーは不思議な光に包まれ、自らの肉体に流れ込む知識と力に驚きと喜びを感じた。

第五の伝承皇帝となったブルーザーの時代は帝国にとって平和な時代が続いていた。

彼は帝国の内政や「龍の巣」の再興には興味を示さず、ピーターら近衛騎士団を率いて世界中を渡り歩き、各地の探索を好んだ。

こうした遺跡には強力な魔物が住み着いており、自らを更なる高みへと押し上げる絶好の機会だと考えていたのである。

特にナゼール地方のさらに南に広がる雪原の遺跡では、古来より行き続ける凶暴な巨人の攻撃のすべてにカウンターを繰り出し、自らの拳で屈服させるという偉業を残した。

このようにブルーザーは優れた武勇の持ち主であったが、自信を持ち過ぎるところがあり、ライバルでもあったピーターからも度々指摘を受けていた。

そして、彼がマイルズの街を訪れた際、彼は帝国の皇帝という身でありながら、怪しい男の仕事を引き受けてしまい、地上戦艦へと監禁されてしまう。

自慢の腕力で警備の兵達をなぎ倒したブルーザーは地上戦艦からの脱出ではなく、地上戦艦の主である七英雄ボクオーンを討ち果たすことを目指す。

最上階にたどり着いたブルーザーは玉座に座る弱弱しい老人を追い詰めるが、老人が自らはボクオーンではない、悔い改めるから命だけは助けてくれという諫言を信じてしまう。

彼が背後を曝したその瞬間、老人はボクオーンとしての本性をむき出しにして冷酷な刃で伝承皇帝の体を貫いた。

武勇の皇帝は、その自らの欠点によって身を滅ぼすこととなってしまったのである。

しかし、彼の残した武勇伝は多くの若者を魅了し、「龍の穴」再興という長年の願いは果たされることになった。

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