一枚目・・・


その日直哉は、いつも通りの時間に朝起きて、
いつも通りにごはんを食べて、
いつも通りに剣術の稽古をしていた。
でも・・・ただ1つ違ったのは・・・・・
直哉に一通の宛先人不明の手紙が届いたことだった・・・。
あれから、たった一週間だけの物語が始まった。






「直哉!!お前宛に手紙が届いているぞ」
直哉の父が直哉に手紙を見せてそう言った。

「えっ、僕に?」

直哉は驚いた。
直哉はあまりほかの町や村にはいかないし、
行った時だってあまりしゃべらなかったから、直哉に手紙を
くれるような子はいないはずだ。
直哉は首をかしげながらも手紙を受け取った。

「・・・誰だろう?」

直哉は少し考えたが、とりあえず手紙を開けてみることにした。
手紙の内容を読んだら、ますます意味が分からなくなった。
手紙には、こうかかれていた。



 『あなたは私を知らないけれど、私はあなたを知っています。

   あなたは私を見てさえもしてくれないけど、私はいつも見ていました。

    もうすぐであなたに会える・・・。あと、6日・・・。』




あと・・・6日??

あと6日たったら僕に会える?

僕の知らない人?見たことない人?

       ・・・・・・・誰だ?


「直哉?どうした??」

父が固まった直哉に少し心配そうに声をかける。

「う、ううん!!なんでもないよ!!ただ、手紙の内容がちょっと変で・・・」
「お?なんだ?ラブレターか?」
「え!?ち、違うよ!!」
「どれどれ」

父は悪戯っぽく言って、手紙をのぞきこんだ。

「ん~と・・・あれ、なんだ・・・。白紙じゃないか。誰だ?わざわざこんなもん
送りつけてくる奴は」

え・・・?白紙?

直哉はもう一度手紙を見た。


そこには・・・・・《何もかかれていなかった・・・》


「!!?」

う・・・うそ!?だってさっきは確かに文字が書いてあったのに・・・!?

直哉は驚きを隠せなかった。

なぜ文字は消えてしまったのか・・・。


直哉は首をふるふると横にふった。

ありえない。きっと自分が幻を見たんだ。幻覚だったんだ。
きっとこの手紙も間違えて送られてきたんだ・・・。

ムリしてそう思おうとした。

そうでも思わないと恐怖にておびえてしまう。


「あなた!!直哉!!稽古は終わったんでしょう?ごはんにしましょう」

突然、母の声が響いた。

「あ、はーい!!」

直哉は突然現実に引き戻された感じで、安堵した。

「(うん!!あれは見間違い!!そしてこれは送り先を間違えたんだ!!そうだそうだ!)」

直哉は今度は簡単に納得して、ごはんに向かった。




そして、朝が来た。
そしていつも通りに朝起きて、いつも通りにごはんを食べて、
いつも通りに稽古に行って、終わった。
・・・・・正直、稽古は終わってほしくなかった。

また今日もあの手紙がきたらイヤだ・・・・・。


「なーおーやー!!遊ぼうぜー!!!」

悩んでいる直哉に、そんな声が聞こえてきた。

窓からのぞくと、親友の拓海と、その妹の千絵がいた。

「え、あ、う、うん!!ちょっと待ってて!!いま行く!!」

直哉は慌てて下に降りた。

1回では、父と母がお茶をのんでいた。

父は直哉をみて何か言おうとしたが、直哉がそれに気づき慌てて

「ちょと拓海と千絵ちゃんと遊んでくる!!」

といって玄関から外に出た。



「直哉、なんかあったのか?元気ないぜ?」

そろそろ暗くなってきた頃、拓海が突然そう言った。

さすが付き合いが長いだけ直哉の様子がおかしいのに気づいていたらしい。

直哉は言おうか言うまいか少し迷ったが、とりあえず相談することにした。

「う、うん・・・実は・・・・・・・」

そういって昨日の出来事を拓海と千絵に話した。



「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

3人は黙っていた。

気まずい沈黙が淡々と続いていく。

「なぁ・・・・・それってよぉ・・・」

沈黙をやぶったのは拓海だった。

「・・・ストーカーなんじゃねぇ?」

「はぁ!?」

直哉は驚いた。

「・・・ストーカーって・・・聞こえが悪いなぁ・・・」

「でも・・・ストーカーっていうのも有り得るかも・・・」

「ち、千絵ちゃんまで!!・・・別にストーカーではないと思うんだけど・・・」

「・・・とにかくよ、また何かあったら言えよ」

「うん。・・・でも今日も来てるのかなぁ・・・手紙・・・」

「・・・・・・・よしっ。じゃあ今日は直哉の家に泊まりに行こう!!」

「「えっ!?」」

「ダメか?」

「家はいいけど・・・」

「よしっ!!じゃあ決定だ!!・・・誰かいれば不安も薄れるだろ?」

「・・・・・うんっ!!そうだね!!ありがとう、拓海!!」

「・・・へっ」



「おぉ、帰ってきたか直哉。また手紙が届いているぞ」

「・・・うん」

そして直哉は手紙をうけとって、中身を開く。

拓海と千絵ものぞく。

そこには、こう書かれていた・・・。



 『あなたは私を知らないけれど、私はあなたを知っています。

   あなたは私を見てさえもしてくれないけれど、私はいつも見ていました。

    もうすぐであなたに会える・・・。あと、5日・・・。

  昨日は、手紙を見てくれてありがとう。』



「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」

「こ、これ・・・・・全然白紙じゃないですよね・・・?」

千絵が口を開いた。

「うん・・・」


「・・・なぁに?3人とも。暗い顔して・・・。早くごはん食べないとさめちゃいます
よ?」

「「「・・・・・・・・・」」」

3人は無言でいすにすわった。


 ・・・・・あれは・・・見間違えじゃないんだ・・・。

    でも・・・・・・・


直哉はチラリと手紙を見た。

そこには・・・・・やはり何も書いていなかった・・・。


  でも・・・・・なんで文字は消えているんだろう・・・・・・・。



その日は、ごはんを食べて風呂に入って、とくに何も喋らずに寝た。




また、朝が来た。
直哉は、もう朝さえもきてほしくなかった。
明日にもなってほしくない・・・・・。
でも、今日もいつも通りご飯を食べて、いつも通り稽古にいって・・・
そしてまた終わる。
・・・・・一日の終わりとは早いものだ。

部屋にもどる・・・。

部屋に戻ると、いつも通りじゃないことがあった。

・・・・・・拓海と千絵が、倒れていた。

「!!! 拓海!!!千絵ちゃん!?」

「う・・・・うぅ・・・・直哉・・・・・・あ・・・あれが・・・・・直哉・・・・
危な・・・・・」

パタリッ・・・・・

それきり、音がきこえてこなかった。

「・・・・・・・・・!!!」

直哉はかつて感じたことのないほどに背筋がぞっとした。

「―――――っ!!!」

声にならない声で叫んで助けをもとめた。

「・・・直哉?また手紙が届いたんだが・・・。・・・拓海君と千絵ちゃ
ん・・・
どうしたんだ!?倒れてるじゃないか!!!」

「あ・・・・あ・・・っ・・・・・・!!!」

「直哉!!なにをしているんだ!!!・・・脈はある・・・。ただ意識を失っているだけだ。

・・・・・どうしてこうなったのか・・・わかるか?」

首を横にふる。

父は険しい顔で拓海と千絵を担いで、ベットに横にした。

「・・・・・手紙は机の上に置いておくからな・・・。ちょっと看病を頼んでく
る」

バタンッ・・・とドアのしまる音が聞こえた。

直哉は、机の上の手紙に目を移す。

手紙には、こう書かれていた・・・・・・・。

 『あなたは私を知らないけれど、私はあなたを知っています。

   あなたは私を見てくれさえもしてくれないけど、私はいつも見ていました。

    もうすぐであなたに会える・・・。あと、4日・・・。

  昨日、私をストーカー扱いしたやつはちゃんと懲らしめたよ。

   昨日、ストーカーじゃないっていってくれたときは、嬉しかったよ。

    ありがとう。やっぱり優しいよね』

直哉は手紙を握り、くしゃくしゃにした。
「なんなんだ・・・懲らしめたって・・・・・なんでっ・・・・・なんで・・・・・・
僕たちの話していたことがわかるんだっ・・・・・・・!!!一体なんなんだ・・・!!!!」




元気付けてくれた親友は今、寝込んでいる。

父と母も同じような目にあわすことはできない。

耐えなければ、いけない・・・・・・・・。


あと、4日・・・・・・4日後に、いったいなにが起こるっていうんだ・・・・。

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