そして今日も日は過ぎる

2007/02/04
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 大事な人々、愛した人々を次から次へと失い、それは自らが愛したが故ではないかと疑って、人との接触を断ち、孤独な魂を抱えた男。

 そんな二人を引き合わせるのは、深い知性を秘めた毛むくじゃらの守護天使。

 本日は『ウォッチャーズ』についてです。
 作者はディーン・R・クーンツ。以前クーンツの作品で面白いのにあたったことがあんまりないということを書きましたように、正直なところキングと並び称される理由が分からなかったのですが、認識を改めました。この作品はめちゃくちゃ面白かったです。
 物語は孤独な魂を抱えた男性が、昔日の幸せだった子供の頃を思い出そうと故郷近くに行ったところから始ります。そこに現われたのは、何者かに追われているらしきゴールデンレトリーバー。
 ひょんなことからこのレトリーバーと一緒に帰ることになった男性は、このレトリーバーとの生活に自らの孤独が癒されることに気付いていきます。
 そして、このレトリーバー、人間並みの知性を持っていることにも気付きます。
 男性がレトリーバーと生活をはじめたそのころ、レトリーバーを追う『怪物』は、人間を殺して移動し徐々にレトリーバーの住まう地方へと移動していきます。

 若干クライマックスが駆け足な感じがするのが残念ですが、なんともいえない柔らかさを感じさせる結末まで読み手を掴んで離さない物語で、本当に面白かったです。

 他に特筆すべき点は、キャラクター達が本当にイキイキしていて見事に立っている点ですね。主人公達や、犬を追う国家保安局の人間、保安官、弁護士、獣医、殺し屋、それに怪物に至るまで皆なにかしら強烈な魅力を放っているんですよ。
 一応ホラーの範疇にはいる作品で、その恐怖の対象となっているのは怪物『アウトサイダー』なのですが、この『アウトサイダー』の悲しさは、凡百の怪物モノと一線を画していますね。
 それが逆にホラー的な怖さを減じさせているところもありますが、本当に読んでいて心に響く逸品でした。
 クーンツの真骨頂はこうした点にあるのかも。そうすると、この作品が書かれた年代の作品こそ、クーンツが評価されたその真の魅力に溢れているのかも知れないなあと思いました。
 この作品を含め、この時代(1980年代後半)の作品は、最近は本屋でもほとんど見かけないのですが(私は古本屋で見かけました)、この時代の作品を扱っている文春文庫には是非とも再版して欲しいなあと思う次第であります^^





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Last updated  2007/02/04 03:45:29 PM
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聖書預言@ Re:8番出口(05/01) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
剣竜 @ パク・チャヌク監督作品 ocobaさんへ その2つの映画,評価高いよ…
ocoba@ Re:殺人の追憶(03/04) 韓国映画では、パク・チャヌク監督の「オ…
剣竜 @ Re[3]:投票義務制の問題点(11/10) サムスさんへ いえいえあまりお役に立てず…
サムス@ Re[2]:投票義務制の問題点(11/10) 剣竜さんへ ありがとうございます!

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