そして今日も日は過ぎる

2007/04/06
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テーマ: 司法全般(518)
カテゴリ: 司法関係覚書
 民事訴訟では、証拠を経験則に当てはめて事実を認定し、事実を法律に当てはめて訴訟物たる権利関係の存否を認定することで、紛争を解決します。判決決着の時はこの流れをたどるわけですな。
 証拠から事実を認定する際の、『経験則』とはなんぞやといえば、経験から帰納される事物の性状や因果関係に関する知識・法則のことですが、実を言うとかちっと、こうだと言い切れる経験則ってのを挙げるのは結構難しいんじゃないでしょうか。
 瀬木裁判官の本だったと思うのですが、書面上に『経験則』という言葉が書かれているときは、大抵、証拠から事実を導き出すのが難しい・苦しいときに、マジックワードのような便利ツールとして使われているという文章を読んだことがあります。
 これは私も実感するところで、証拠から事実を認定できるという文章を書くのが難しいときに、ついつい経験則という言葉に頼りたくなってしまうんですよね。単に『Aという証拠から経験則上、Bという事実が認められるのは明らかである』なんて書いても説得力はないのは分かっていますので、なんで明らかなのかを簡単に説明できて、なおかつ読み手に納得させられる文章を書きたいと思うのですが、時々苦労しています^^;
 また、相手方の書面なんかでも具体的な説明なく『経験則上、・・・という事実が認められる』とか書いてあると、簡単に突っ込みを入れられる印象を持っています。
 これは経験則というものが、ある程度曖昧で幅の広いものであることの証左でしょうかね。

 同じような印象を受ける言葉としては『常識』があります。
 『・・・であることは常識である』という文章を読むと、結構な確率で「どこがだ?」とか思ってしまうことがあるんですよね。
 常識、常識というけれど、ある程度の範囲で共通認識になっているものでなければ常識とはいえないのに、結構安易に使われている印象があるのです。

 『・・・というのは○○の間では常識となっている』と書いて、それを示す証拠、具体的には同じように考えている人の文章や、同じように扱っている組織の規則をを相当多数示すことで、ようやく説得力が出てくる言葉なのではないかなあと思う次第。
 もちろん、文章を書くときに、読み手に『常識』だと思われるのはどういったことか、ということを念頭に置く必要はあるにしても(相手を説得するためにはそれも必要な要素でしょう)、安易に常識という言葉を使う文章は、正直聡明さを感じさせないというか、安っぽいなあと思ってしまいます。
 個人的には、常識って言葉を使いたくなる時って、漠然としていてはっきりと説明出来ないのをぼかそうとしたくなるときなんですよね。

 まあぶっちゃけた話、『常識』という言葉を振りかざして論評している文章は、たいしたことがないということですね。
 『それが常識であるということの根拠を示せ』
 それができなければ、その人の言う『常識』とはその人の『思いこみ』に過ぎない、説得力のかけらもない言葉である。
 起案をしていた時に、誘惑にかられて安易に『常識』という言葉を使いそうになったので自戒を込めて書いておきたいと思います^^





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Last updated  2007/04/06 10:14:27 PM
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聖書預言@ Re:8番出口(05/01) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
剣竜 @ パク・チャヌク監督作品 ocobaさんへ その2つの映画,評価高いよ…
ocoba@ Re:殺人の追憶(03/04) 韓国映画では、パク・チャヌク監督の「オ…
剣竜 @ Re[3]:投票義務制の問題点(11/10) サムスさんへ いえいえあまりお役に立てず…
サムス@ Re[2]:投票義務制の問題点(11/10) 剣竜さんへ ありがとうございます!

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