猫記 【出会いの影には】



その一部始終を見ていた、せいぜい5,60代くらいの男が、不意に話しかけてきた。
「君、ウチのペットショップで働かんかい?ここからすぐ近くの、猫ばっかりの店だ。どうだい?」

(なんで、ペットショップがスカウトなんかしているんだろう。)
と思ったが、これは無職の俺にはまたとないチャンスだ、という希望と期待を胸に抱いた。
「ぜ、ぜひお願いします!」
俺は深々と頭を下げた。俺はその後、猫を抱えつつも、ペットショップへ案内された。
歩いている途中、
「その猫は捨て猫かい?」
と聞かれた。俺は困った。さっき拾ったのを見られているので、「自分の猫です」と答えるわけにもいかず、
「はい、たまたま拾いました」
と答えた。男は、
「そうか・・・」
と言うと、
「その猫は売るのか?」
と聞いてきた。
俺は、この男の言葉に、また困った。まるで、俺の心をテストしているかのように聞いてくるのだ。
「あ・・・えーと・・・・・・前々から猫が欲しかったので、自宅で飼うことにします。」
俺は、とっさにそう答えた。

ペットショップに着いた。なんというか、猫屋敷のようだ。ショップのほとんどを猫が占めていた。
先程の男は店長だというが、他に従業員は居ず、二人だけでの経営となるらしい。
俺は、これを不思議に思い、思いきって店長に聞いてみた。
「あの、なんで俺なんか・・・?」
そういうと店長は少しためらい、こう言った。

「・・・その猫は本当は、マンションから降ってきた。それをお前が拾い、今まで飼っていた。違うか?」
「え?」
(なぜこの人、俺とこの猫の事とのを全て知っているんだ?)
「・・・はい」
「薄々、気付いているだろう?」
「?」
「あの時、マンションからやせ細った猫を捨てたのは私だよ」
「そんな!なんで、ペットショップを運営している人が、そんな事!」
俺はつい、熱くなってしまった。店長は、少し黙り込んでからこう話した。
「妊娠してた猫がいたんだ。もう生まれそうだったから、その日は、自宅のマンションに連れていった。そしたら予想通り、猫はその日に子供を生んだ。でも、その中に一匹だけ、えらく痩せて生まれてきた奴がいた。店で飼育してやってもよかったんだが、売れ残りの猫たちの諸費もあってな、生活が危なかった。だから、これ以上 金を掛けたくないと思って、一番ダメそうな奴を、そこからダンボールに入れて捨てたんだ。かわいそうだとは思ったがね・・・。」
「・・・それを、俺が拾ったってワケですか。でも、生活が苦しいって言ってましたよね?なのに、人を雇っていられるんですか?」
「うみ、その通りだ。だが、捨て猫を拾ってくれるような優しい心の持ち主が、ウチの店に欲しかったのだよ。」

要するに、店長はペットを飼うことに飽きたため、自分の代わりにペットの面倒を見てくれる人が欲しかったようだ。
そして店長は猫を落とし、該当者を店に雇いたかった、という事だろう。
俺は、腑に落ちない点がいくつかあったが、そこは敢えて流した。店長は生活が苦しいのだ。

捨て猫と共に自宅に帰った俺は、ふと思った。
「お前、まだ名前が無いな。」
俺は、年代モノの辞書を開いた。そして、マンションから落ちてきた出会いを表し、
「今日からお前は、
はい。今回は、ちょっと早く更新しました。

どうでしたでしょうか。ココはちょっと、わかりづらかったかもと思って、反省してる点なんですが、理解していただけたでしょうか?

次回【大事な猫】

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