黄昏の約束 【本編】

黄昏の 約束 ( バレンタイン )
かなり短めですが、バレンタインが舞台の恋愛小説です。
2~3日で書き上げました。
友人からゎなかなか好評です。

設定は、2人の中学生カップル。
時期は2月。
こんなところです。

でゎ、どぅぞお楽しみくださぃ。





俺は今、幸せだ。
なぜかというと、大好きな彼女といるからである。
数ヶ月ぐらい前から付き合い始めて、もう2月である。

実は、俺と彼女だけの最高のスポットがある。
そこは、数ヶ月前に俺が彼女を誘い出して告白した、思い出の場所だ。
とても夕日が良く見えるんだ。俺達はそれ以来、毎日同じ時間にその丘に行って、黄昏時の夕日を見ていた。
その夕日を見ると、お互い、告白した(された)時を思い出す。だから、いつまでも幸せでいられると思ったからだ。
彼女も、毎日その夕日を楽しみにしていた。
俺は、こんな時間が永遠に続けばいいなと思っていた。

数日後のある日の夕暮れだった。俺達は、いつものゆに丘に来て夕日を見ていた。
すると、彼女が不意にこんな話をしてきた。
「・・・もう少しでバレンタインだね。」
俺は、少し期待していたので
「そうだね。もしかして俺にチョコくれるの?」
と言ってみた。
「うん。楽しみにしてたらゴメンね。でも、嫌いなチョコとかあったら聞いとかないといけないと思って。」
彼女は、気遣って俺のチョコの好みを聞いてくれた。
「何でも大丈夫だよ。」
「そっか。じゃあ2月14日のいつもの時間に、ここで渡すね!」
彼女は、笑顔でそう言ってくれた。

でも、俺はいつもの約束を裏切ってしまった。

2月4日午後5時1分。俺は友達の家にいた。
新発売のゲームに夢中になっていた俺は、いつもの時間が来た事にも、携帯電話に彼女からの着信が来ている事にも気付かないでいた。

「おじゃましました。」
俺は、とても満ち足りた気分で、友達の家を出た。午後6時。
何かをやり忘れている気がした。しかし、いつもなら家路につく頃。俺は、気にせず家に帰った。

「ただいま。」
玄関を開け、そう一言言い、靴を脱いで2階に上がり、自分の部屋に入った。
そして、ポケットから携帯電話を取り出し、充電器に挿し込もうとした時だった。

   〔不在着信 5件〕

何か胸騒ぎを感じながら、俺は着信履歴を見た。
そこには、彼女の名前が5つあった。

〔午後5時1分 ○○ 午後5時5分 ○○ 午後5時10分 ○○
                    午後5時35分 ○○ 午後5時57分 ○○〕

俺は、一瞬にして青ざめた。彼女との約束を忘れていた・・・!
「もしもし!」
彼女の携帯電話にかけると、すぐ電話に出た。
「バカ!!!」
そう言われた。俺は、自分を悔やんだ。
「なんで、来てくれなかったの・・・?」
嘘をつこうなんて気はさらさらなかった、というか思いつかなかった。
だって、俺が悪いんだから。
「友達んちでゲームやってた。ホントごめん・・・。」
「あたし、1時間も待ってたんだよ!!それに、ケータイにも連絡入れたのに・・・!!」
ブツッ・・・
電話はここで切れた。でも、俺は彼女を失いたくなくて、もう一度電話をかけた。
そんな・・・。電話はつながらなくなった。嫌われてしまったのか・・・?
俺は、携帯電話を充電する事すら忘れ、そのまま朝まで寝てしまった。

次の日は学校だった。
学校で彼女を見たが、気まずくて話かける事すらできなかった。
そして、そのまま今日の日課が終わった。

俺は、いつも通りの道を通って、いつも通りの時間にいつも通りに家に帰った。
そして、いつも通りあの丘に行った。

しかし、彼女の姿は無かった。午後4時50分。

「はぁ・・・。」
俺は、そのまま10分待った。午後5時。
いつもならとなりにある温もりは無く、いつもの夕日はちょっと違って見えた・・・。
(なんでここに来たんだろう・・・)
不意にそんな考えが浮かんだが、答えが出ないまま時は流れ、夕日は沈んでいった・・・。

俺は、次の日も次の日も、その次の日もその次の日も丘に行った。
時々、彼女が後ろにいるような気がした。でも、そこには誰もいなかった。
淋しさが見せた幻覚だった。

そして迎えた2月14日。

俺は、いつもの時間にまた丘に行った。
そして、何も考えず、ただ座って夕日を見ていた。
でも、頭の片隅で彼女との約束を思い出していた。
「ザッ・・・・・・。」
(誰か、来た・・・?)
俺は、軽く後ろを振り向いた。
しかし、そこには彼女どころか、人一人すらいなかった。

ただ見えたのは、沈んでく夕日と共に段々暗くなっていく町だけだった。
そしてまた俺は夕日を眺めはじめ、時が過ぎていった・・・。

でも、彼女は来ない・・・。もう夕日は落ち、辺りは暗くなった。
6時だ。
「帰るか・・・。」
彼女は結局来なかった。
そう思って、俺は立って振り返り、一歩踏み出そうとしたその時だった。
足元に、小さな箱が置いてあった。
俺は、記憶の片隅にあった彼女の言葉に少し覚えを感じながら、その箱を拾い上げ、開けてみた。
するとそこには、間違いなく彼女の、一粒のチョコと一粒の涙が入っていた。
それは、彼女なりの仲直りの表明だった。

そして次の日の黄昏時・・・。
あの丘には、沈む夕日に照らされる二人の姿があった。



―――黄昏の約束 完

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