二人なら。【心の陥落】

前回【Op.~創造】
前回を読んでいない人・忘れてしまった人は、もう一度読むことをお勧めします。
次の日だ。・・・俺は、周りに逆らって朝菜の味方をしたため、堂々としてはいられない。むしろ縮こまっている。
休み時間のたび、朝菜が男子生徒にバカにされるのも腹が立った。
本当なら、一人ひとりに正義の拳を喰らわせてやりたいところだったけど、そうしたってまたやられるだけだ。
痛いのは嫌だし、繰り返しになるだけだ。先生に言っても同じ事。

だから、せめて俺が朝菜と一緒に帰ってやるのが、一番いいと思った。俺たちは、今日も疎外されたまま下校時刻を迎え、誰も居なくなるのを待って、一緒に帰った。

「・・・・」
「・・・・」

お互いに話すことが無く、気まずかった。

「ぅー――・・・、何も話題無くてゴメン、俺しゃべるの苦手でさぁ・・・。」
仕方なく喋りだした。
「あたしも苦手だよ。なんか、話するのって難しいよね。」
すると、朝菜も喋りだした。
「うん難しい難しい!なんかさ、単発で終わっちゃったり、『このハナシ聞いてくれるのかなー』とか思っちゃってさ、話し出せないんだよね」
「わかるわかる!!友達に音楽の話しても、聞き流されるもん・・・。」
「あー音楽って不思議だよね!俺メジャーズエンジェルとか好きなんだけど、どう!?」
「あーちょっとわかんないかも(苦笑)」
「そっかー」

知らぬ間に会話が盛り上がっていた。些細なことだけど、お互いに親近感が生まれていた。

ザッ・・・


そして土日の休日。俺は、学校への不安な気持ちを持ちつつ、帰り道、朝菜と帰れることを楽しみにしていた。

そして迎えた月曜日。いつもと変わらず、時が過ぎていった。
ただ、俺や朝菜への攻撃がいつもより少なく感じた。俺はそれを不審に思うわけでもなく「飽きてきたのかなー・・・」などと呑気に考えていた。その後
起こる事も知らずに。

そして下校時刻。俺たちは誰にも感づかれないように、一緒に帰る準備をした。校舎に誰も居なくなると、俺たちは教室を出、一緒に帰りだした。

「今日体育のサッカーでさ、俺は見学してたんだけど、先生がボール踏んづけて転んでさーw」
「うわっ、ださっ」

雑談をしていると、陰から誰か出てきた。

「おい。」
「来いよ。」

クラスの奴らが出てきて、俺と朝菜を引き離し、どこかへ連れて行こうとした。

「竜志!」
「あ・・・朝菜!」

「コイツ、どーする?」
「ヤッちまおうぜ。」
「賛成~。」

マズい!俺はそいつらを振り払おうとしたが、俺の力ではどうにもならなかった。

そして俺はまた殴られた。ハブの朝菜と一緒に楽しく帰る様が調子に乗っているようで気に入らないらしい。でも俺は、自分より朝菜のことの方が気になった。
事が済むと、俺は暗くなった町の中、朝菜を探した。けど居なかった・・・。きっと先に家に帰ったんだろうと思い、俺も家に帰ることにした。

「竜志!どうしたのその傷?」
帰りが遅い上に傷を負った俺を、親が心配して声をかけてきた。

「・・・・別に。転んだだけ」
「転んでも、そんな傷のつき方しないでしょ!?」

・・・もうちょっとマシな誤魔化し方できだよな。
けど俺は「大丈夫だから」と言い、部屋に入った。・・・朝菜・・・。

俺は、明日学校で朝菜と話そうと思って、今日は寝ることにした。飯と風呂は後回しにして。


「・・・行ってきます」
「気をつけな!」

俺は、朝菜が心配で、学校まで飛ばした。
だが、そこに出迎えてくれたのは、朝菜ではなく、昨日の奴らだった。

「ようチンカス野郎。今日はよく学校来れたな!?」
「ハッハッハッ。」

俺の頬をぺちぺちと叩いて馬鹿にする。けど俺は気にしない。いや、朝菜のことしか気にならなかった。
けど・・・朝菜は、こいつらが言うように、学校に来ていなかった。

「そんな・・・。」(まさか、こいつらが変なこと・・・)
「なんだ、その目ァ!?」
「文句あるんですかぁ~?」

・・:悔しい。けど、ここはしまって、今日の授業を行った。国語・数学・理科・社会・給食・体育・美術・・・

下校時刻になっても、朝菜は来なかった。

キーンコーン・・・

下校のチャイムが鳴ると、俺は奴らすらも払いのけて、朝菜の家へ直行した。
家のブザーを鳴らして少しすると、朝菜が出てきた。

「朝菜・・・!」
「竜志!なんで来てんの?あたしもう、学校なんて・・・」

あぁ・・・学校に対して、かなりの不安感を抱いているみたいだった。
無理もない。転んで、負けて、罵られて・・・挙げ句の果てに、奴らに襲われて。

・・・でも。「・・・でも。俺、朝菜が居ないと不安で。」
「・・・・・。」
・・・俺が「・・・俺が朝菜と居たせいで、朝菜が襲われたのはわかってる。・・・俺のせいなんだ。」
精一杯に話しかける。
「そんなの・・・」
「でも、俺だって学校怖いよ。出来ることなら、俺も学校休んで朝菜と居たい。けど、俺ら今年、受験だろ?出席しないと、高校がヤバいじゃん・・・。」
「・・・・・」
「だからさ・・・、俺が、っ守るから。学校行こうよ。」
「竜志のせいだなんて思わせないで。あたし、竜志が居なかったらきっと、まだ一人だったよ・・・。だから、竜志がそう言うなら・・・。」
朝菜が心を開いてくれた。
「ありがと。また明日会お」

そう言って俺は、ドアを閉めた。一方、朝菜の胸の中は安心と不安が半々だった。しかし朝菜は、明日学校に行くことを決意していた。

そして迎えた翌日。俺が学校に着いた時には、朝菜は居なかった。けど、奴らに狙われない、朝のチャイムと同時にこそこそと教室に入ってきた。
先生が居るから、教室は落ち着いていた。
「えー今日は雨が降っていますので、大人しくするように!」
朝の会が終わった。

いつもと変わらず、朝菜には罵倒が飛んだ。
昨日居なかったぶん溜まっているのか、攻撃は俺より朝菜に集中していた。朝菜も俺も耐えた。
ここで俺があいつらに刃向かってまた殴られれば、朝菜がまた責任を感じてしまう。そう思って、数時間は耐えた。

けど、授業中、考えてしまった。「このままで良いのか・・・。」

すぐに答えは出た。俺が頼まれもしないのに、勝手にやろうとしてる事だ。責任は俺にある。それに、奴らは耳障り、目障りだ。

意を決して俺は立った。





第2回はここまで。良ければ感想をお聞かせ下さい。

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