二人なら。【愛の意志】

前回【心の陥落】
前回を読んでいない人・忘れてしまった人は、もう一度読むことをお勧めします。


けど、考えてしまった。「このままでいいのか・・・。」

すぐに答えは出た。俺が頼まれもしないのに、勝手にやろうとしてる事だ。責任は俺にある。それに、奴らは耳障り、目障りだ。

意を決して俺は立った。

「やめろ!」

昼休み。教室は一気に静まった。

「・・・まったテメェか!生意気なんだよ」
「その言葉、覚悟あって言ったんだろうな!?」
緊張で腹が痛い・・・。

「朝菜に手を出すな・・・。」
精一杯言った。朝菜が心配した目でこっちを見ている。
『心配すんな。俺が何とかする。』
俺は朝菜にそう目で言って、

「こりゃあ、またトイレだな!」

と俺は胸ぐらを掴まれ、トイレに連行される。
しかしチャンスだ。運がよければ、多少被害を免れられる。俺は、胸ぐらを掴まれているのをいい事に、「あ゙ーーーっ!!」と廊下であとのために叫んでおいた。どうせ殴られるんだ。

そして、俺は殴られた。
数発喰らった所で、先生が駆けつけた。さっきの叫び声を不審に思ったからだ。


「何しとるんだお前らは!出てきなさい!」

俺は、顔の傷はそのままで事情聴取を受けた。
先生が、俺と朝菜の多少の安全を確保してくれるというし、奴らの前なのでヘコヘコしておいた。

その放課後だった。
そいつらのことは、先生が監視してくれていた。他の2組の奴はあまり活動的じゃないので、俺と朝菜は、今日は安心して一緒に帰れた。

朝からの雨が降り続いていた。


「ははっ。今日の俺ダサかったな。まぁいつもだけど。」

少し冷たい雨は、俺の膨らんだ傷を癒してくれた。

「そんなことないよ。あたし別に良かったのに・・・。これ以上、竜志に迷惑・・・」

「でも、言ったじゃん。守るって・・・」

「・・・・・竜志、ダサくなんかない。
 あたしの中ではすごいカッコいいよ。自分の体 犠牲にしてまで、あたしのこと守ってくれたじゃん!

 ・・・あたし・・・あたし、竜志とずっと一緒に居たいよ!!」

その言葉と、はちきれそうな彼女の表情を見て、俺は絶句し、足が止まった。
・・・思えば、女にそんなことを言われたのは初めてで。
まわりはよく“コイバナ”っていう話をしてて。・・・付き合うとか、彼氏彼女、とか。
そんな俺に・・・、朝菜の言葉はすっごく衝撃的で・・・。

俺は少しの間、黙り込んでしまった。

「・・・ごっごめん。ただでさえ迷惑なのにね・・・」

朝菜の声がだんだん小さくなって、サラサラとした雨音にかき消される。

・・・迷惑?それは違う。朝菜は何もしていない!こんな純粋な子を、これ以上悲しませちゃいけない。それに、俺はそのために来てるんだよな・・・。
じゃあ、俺が今、すべき事って・・・

俺は、朝菜との距離を保ったまま話し始めた。

「・・・俺さ、俺、これ以上朝菜を、危険な目に遭わせたり、とか、寂しくないように、ここに来てると思うんだ。・・・だからさ、上手く・・・言えないけど・・・」

ぎゅっ。―――――

俺は、一歩前に出て朝菜を抱いた。

「・・・・・・。」

朝菜は、その瞬間、涙をこぼした。雨の雫じゃない涙が、俺の頬についた気がした。―――これが俺のすべき事なら、いつまでも朝菜を抱いていたかった。
朝菜も、俺を抱き返した。

雨音のBGMと、雨が包む二人の世界の中で、二人は抱き合った・・・。


次の日。俺と朝菜は、一緒に登校した。
過激派のヤツらは先生の監視のおかげで、もう出てこない。
二人とも罵倒には遭うが、それくらいは慣れてきた。

そして、穏やかなまま時は流れた・・・。

もはや過激派の奴らは、すっかり改心してしまっている。
クラス対抗運動会で朝菜は悪くなかった、という事をようやくわかったのか。でも、目が合うと脅される。

ただ、俺達の事を良く思ってない奴はまだ居て・・・

「痛てっ!!」
靴を履き替えようとした時の事だった。
上履きの中に画鋲が入っていた。

「竜志・・・大丈夫?」
(ちくしょう・・・俺としたことが、こんな原始的な罠にかかるなんて・・・。)
「ばんそうこう、使って?」
「ありがと」
朝菜は優しかった。俺はその日、足を引きずって歩いた。

その姿を見る画鋲の仕かけ主の笑い声がすごく苛立った。ぶん殴ってやりたかったが、粋がれる立場ではない。

その日はそれで済んだ。
けど、それだけでは収まらなかった。

座席の上に画鋲があったり、チャリのタイヤに穴を開けられたり、頭上から黒板消しが降ってきたり、上履きが隠されたり、文房具が盗まれ、壊されたり・・・、挙げるとキリが無い。

けどそんな時、俺たちは2人で助け合った。奴らはそれが気に入らない。だから、これを機に俺と朝菜が「お前のせいだ!」なんて喧嘩し、別れ、絶交でもしたら奴らの思うツボだ。
そうならない為に、俺たちは2人で助け合った。

・・・そう、どんな試練も耐え抜き、くじけないことが、二人の愛を確かめることへと繋がるのであった。

そんな嫌がらせをしてくる奴らに・・・“ありがとう”と言ってやりたい。




―――二人なら。完
・・・かな?


これで完結です。いかがでしたでしょうか?
ハッピーエンドらしい終わり方にしてみました。
感想待ってますよ~。掲示板にて。


Peace.


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