SOS -Story Of a Star- 【Prologue】


■用語
大魔師・・・村の最強の存在であり、村長的存在の人。
異生体・・・人間以外の生命体のこと。
自然原体・・・自然界のものから生まれた異生体のこと。




Prologue


 ある、とても小さな星のことである。その星の人々は、魔法が使えるのだ。
どう、魔法を使うのか?そんなことはわからない。
ただ、何かを念じ、呪文を唱え、指先を伸ばす。
それだけで、炎。水。氷。 ( いかずち ) 。風。様々なことが起こせるのであった。
それは、 FF ( エフエフ ) と呼ばれた。



 その星には、人間以外の生命も、もちろん居た。
しかし、地球のように「動物」「昆虫」などと言ってかわいがってはいない。
人はそれらを全て纏めて 異生体 ( いせいたい ) と呼んだ。

 異性体は、地球でいう「動物」「昆虫」「魚」などと容姿が似ているものが多いが、
中には、優秀な頭脳を持ち合わせているものもおり、
「異生体製ロボット」や「岩で出来た龍」、「水の蛇」、「動く植物」など、
地球ではありえないかたちの異生体も、珍しくなかった。

 異生体は、人間によって格付けされている。
例えば、微生物や虫を「バイオロジカル」、
大きい虫や小動物、魚、鳥や自然原体を「クリーチャー」、
巨大な虫、猛獣、一部の魚、怪鳥、ロボットや強力な自然原体を「モンスター」、
そして過去に四度現われた、もっとも脅威度が高く、身体が馬鹿でかく、それが現れた時の星の被害が甚大だった異生体を「ゴッド」と呼んだ。

***


 今は西暦1XXXX年だが、この星の人々は、ずっと昔から変わらない生活を送っている。
FFがあるから、生活には苦労しない。


 最初の話は、今から1000年前。日が沈んだ頃だった。
人々が狩りや収穫を終え、唯一つの大陸の中央にある村へ帰ろうとしている時だった。
北の 「闇の谷」 ( ダーク・バレー ) の方角から耳も裂けるような大きな鳴き声が聞こえ、乾いた地面に大きな龍の影が現れた。
 その"デスドラゴン"は村を焼き払い、人々を喰い千切って行った。
もちろん人々も抵抗した。だが、とてつもなく強大な力を持つそのドラゴンの前には無力だった。
「人類はもう終わりだ!」と星の全ての人々が諦め、ドラゴンにひれ伏した時、
村の峠に居た 大魔師 ( だいまし ) が小隕石を引き寄せ、ドラゴンにぶつけることで村は救われた。
 もっとも、村の一部はことごとく壊されてしまったが。



 その250年後。南の 「空海」 ( スカイ・シー ) という、青空のように蒼い海。
その深海から今度は、海蛇や海竜よりはるかに大きい海龍―"マリンドブルム"が現れた。
マリンドブルムはその大きな身体をうねらせ、いくつもの大津波を起こした。
 そのマリンドブルムは、大魔師の案により、海に大量の毒を流すことで殺されたが、もちろん村は破壊され、波に呑まれた人々は毒に溺れてしまった。

 そのまた250年後。東の 「狂った森」 ( マッド・フォレスト ) をほとんど薙ぎ倒し、鋼鉄の塊が村を襲った。
それは、鋼鉄の装甲を身につけ、しかも巨大化した森のモンスター、"メタルゼウス"であった。
その時は大魔師が地割れを起こしてメタルゼウスを地下に陥れ、それを塞ぐことでメタルゼウスは倒された。
 メタルゼウスによる被害は論外、地割れの被害も少なくなかった。

 そのまた250年後の雨の日。西にある 「大火山」 ( ビッグ・ボルケーノ ) が噴火した。
それは単なる噴火ではなく、なんと溶岩が様々な形を成して村を攻撃してきた。
溶岩は雨に降られても冷めることを知らず、村を溶かし、人をも溶かした。
 それは"マグマロイド"を呼ばれたが、これも大魔師の、地震により起こされた津波で固められた。
村は海水によりふやけた灰に覆われ、辺り一面その名の通りの灰色であった。

 そしてその250年後。それが、今年である。
村の人々の中には、過去の傾向を危惧する者も居れば、全く無関心な者、遠くへ逃げた者、祈る者も居た。
 これは、その中の一人の、両親を失った少年と少女、ジークとミーアの話である。





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