家族・・・母親


4人姉妹のにぎやかな家庭。
喧嘩もよくするけど、仲直りも早い。
末っ子のあたしゎ家族で唯一の不良。
世間ゎあたしをグレたと思うだろぉ。

頭の良いお姉ちゃんたち。
コンプレックスを抱くこともあった。
けど、好き勝手やってるあたしに対して、お姉ちゃんが同じものを抱いているのを、あたしは知ってる。
それでも決して口には出さないのゎプライド高さ。
けど家族の結束の強さゎあたしの自慢だった。

合わないところもいっぱいあるけど、なんでも相談できる。
積極的で頑張りやで、いつも笑顔の大好きなお母さん。
デリカシーなくてムカつくけど、大事なお父さん。
頼りない長女の麻香ちゃん。
離れて暮らす、頭のいい香織ちゃん。
バカな話で盛り上がる、年の近いやっちゃん。
自営業を営む父のおかげで、生活に困ることもなかった。
決して壊れる事なんてないって思ってた。
あの頃は不安のかけらも持ってなかった。


お母さんの様子がおかしくなったのは、中学2年生の冬。
仕事を始めて、頻繁に出かけるようになってからだ。
夜中に海に行くとか言い出したり、突然旅行に行ったり。
明らかにおかしいと、それはみんなで話してた。
まさか浮気をしてるとは、想像もつかなかったけど・・・
だんだん「浮気してんじゃないか」って考えが、頭に入り込んできた。
「まさか」とは思いながらも、ずっと気になってた。
あの日ゎたまたま夜遅くまでお母さんと2人で起きてたんだ。
お母さんがお風呂に行ったとき、「チャンス」と思って、ドキドキしながら、お母さんの携帯を盗み見た。
メールボックスを見たとき、あまりのショックに頭が真っ白になった。

どう考えても浮気としか思えない文章。
早まる心臓を押さえ込み、何事もなかったよぉにしまった。
とにかく焦ったけど、その日はとりあえず寝たんだ。
次の日になって、お姉ちゃんに相談した。
あのとき、そのまま誰にも言わなかったら「離婚なんてことにならなかったかも」と思うと、悔やんでも悔やみきれないけど。
あの思いを一人で抱え込むには、重すぎた。

お姉ちゃんに相談してから、しばらくの間は4人だけで話し合った。
香織ちゃんは既に家を出てたから、電話とメールで相談。
あとは時を見計らって、携帯、手帳、日記までも見て確認した。
悪いことしたとゎ思うけど、そうせずにはいられなかった。
3人で泣きながら読んだ。
嘘だと信じたかった。
夢であればと何度も願った。
けど現実ゎそぉはいかなかった。
浮気をしてると確信した時、母に直接聞いた。
初めは否定してたけど、「携帯も手帳も日記も見た」と言ったら、認めた。

認めた瞬間、すべてが終わったように思えた。
友達に冗談で「浮気してるかも」なんて言ったことを後悔した。
涙を流すのも忘れて、ただ呆然としてた。
母は、携帯や日記を見たことをとにかく怒ってて。
もう「心を開かない」ようなコトを言ってた。
そんなことを聞いてたら無償に腹が立ってきて、麻香ちゃんとキレた。
ひどい事いっぱい言った気がする。
でも、あのトキは、あたし達の心のほうが、何倍も傷ついてたよ。

あの日は確か12月の下旬で。
29日が父の誕生日だからと、しばらく黙ってた。
普通に流れ的には、離婚まで考え付くはずなんだけど・・・
そんなことまで考えられなかった。
「だってうちは仲のいい家族だったぢゃん!?」
「離婚なんてありえないよ!!」
ずっとそう思ってた。


父に言ってから、5人で話し合いをすることになった。(香織ちゃんを除いて)
お父さんは100歩譲って「その男とすぐに別れるなら、許してやる。」と言った。
あたしにとっては「お父さん・お母さん」だったけど、2人は夫婦。
それだけ父は、母を愛してたんだと、今になって思う。

そこまでお父さんが言ったのに、お母さんの答えは「NO」だった。
お父さんもさすがにキレて、机をたたいて「じゃあ離婚だ!」と叫んだ。
あのトキの映像は、今でも頭に焼きついてるよ。
そのあとは・・・あたしは泣き崩れて、頭が割れるほど痛かった。
お姉ちゃんが泣きながら、あたしの背中をなでてくれてた。
後はよく覚えてない。
とにかく泣きまくって、その日は終わったと思う。
あの時はもう春に差し掛かってた。
離婚はその年の夏に成立したんだ。

香織ちゃんが里帰りしてきて、6人での話し合い。
とても話す気になんてなれなかった。
冷静を装って、泣かずにいたけど、香織ちゃんが泣き出したとき、耐え切れず部屋に戻った。
初めて自分の部屋で煙草を吸った。
部屋じゃ吸わないように決めてたのに、何もかもがどうでもよく思えてた。
離婚が決まってるのに、みんなで集まるほど悲しいコトはなかった。
あの日は6月13日で。
あたしの誕生日の1日前だった。
あの日の15年前、あたしは生まれる予定だったんだ。
そんで、次の日の14日に生まれてきた。
間違いなく、父と母の子供で。
愛し合って生まれたんだよね?
あの日はそれを、すべて否定された気がしてた。
次の日は、人生最悪の誕生日だったな。。

離婚して家を出た母は、結構近い距離に住んでいた。
家庭の中に母親を失った事は大きかったけど、新しい形で親子を保った。
会いたい時に会える。頼れる距離にいたから。
それから半年以上たった3月。
母がいきなり引越しをした。
浮気相手だった男の傍にいたいと言い出した。
母の人生だから、それも応援したいと思った。
けれど相手は三重県に住んでいたのだ。
何でそんなに遠くに行ってしまうのか・・・。
それを聞かされたのは、引越しをする1週間前だった。

相手の男はあたしの前にも現れ、挨拶をしていった。
けれど、溢れる気持ちは憎しみ以外の何者でもない。
殺してやろうかと思った。
大好きな母を奪った、報復に。

引越しを手伝った後、帰りの車であたしは泣いた。
それでも母は行ってしまった。
あたしを置いて、愛する人の所へ。
どうしようもない悲しみを、消すことはできなかった。
あの日から崩れた精神状態。
父にはどうする事もできず、病院に連れて行かれた。
けれど先生が気にくわなくて、逃げてきた。
それからは、日に日に腕の傷跡が増えてった。

折角合格した高校も、ろくに行かないまま夏休みに入った。
付き合っていた彼氏の為に生き、悪い事もいっぱいした。
家にも帰らず、遊び呆ける毎日。
そのうち彼氏と別れ、その重みから立ち上がれないまま、学校も退学。
水商売をしたり、男と遊びまくる毎日だったけど。
バィトを初めて、少しづつ落ち着いてきた。


父も母さん大好きだった。
今でも大好き。けど・・・やっぱ許せていないのも事実。
離婚の原因は母の浮気。追い詰めたのは父。
「憎い」と思う感情は、あの日から消えない。

今、離婚して2年半の月日が経った。。
仕事最優先の父は、話の途中でも寝る性格は変わらない。
それが母の浮気につながったコトに、気がついていないのか。
それでも、それは譲れないのか。
でも、それが許せずに、怒りは日々募るばかりだった。
父は小さい会社だけど、社長だ。
仕事優先なのか解る。
それが家庭を支えてるのは事実だから「そうあるべき」と考えたんだよね。
最近になって年老いていく父を労わってあげたいとも思えてきた。

夫としては、ダメな人だったと思う。
本気の恋をするようになって、少しわかったよ。
仕方ないと思ってても、耐え切れなかった母の気持ち。
母としても、女としても、弱かったんだと思う。

父や母を許せない気持ち。
この先も消えることはないのかな?
それともいつかは、許せる日が来る?
あれから月日は確実に過ぎて行く。
あの頃も今も、あたしはまだまだ子供だよ。
お母さんがいない生活にも慣れたし、泣き出すことも、もぉない。
けど、振り返ると、涙は枯れることなく、流れ出します。
二度と、家族6人がそろう事はないと思うと、戻りたくてしょうがないよ。


お母さん、今は幸せですか?
お母さんが選んだあの人は、どうも好きになれません。
再婚したと聞いた時、ショックは隠せませんでした。
名前も変わってしまったあなたは、なんだか知らない人になってしまったようで、とても悲しいです。
あたしの人生が、あたしだけのものであるように。
お母さんの人生も、お母さんのものだけど。
あたしたち4人を母である限り、お母さんだけの人生と、思ってほしくない。なんて、ワガママ?
名前が変わっても、遠く離れて住んでも、「お母さんであることには変わりはない」
頭では解ってるのに気持ちがついていきません。
こんな風に言っても、お母さんは帰ってこない。
けれど、受け入れきれないあたしがいます。。
どうすればいいの?
あたしは、お姉ちゃんのように大人じゃないから。
お母さんがいなくても平気なほど、強くないよ。
理解もないから、受け入れられないよ。
お母さんは大好き。必要。
でもあの人といるお母さんは、お母さんじゃないから嫌いです。

例えば小さな頃からお母さんがいなければ、こんなに苦しまずに済んだのかもしれない。
それはそれでツラィかもしれないけどさ。
それが「アタリマエ」になっちゃうから。
でもあの時あたしは15歳で。
ちょっとキツすぎる時期だった。
もめ始めてから、半年で離婚した。
朝起きて、夢だったらと・・・何度願ったかわかんない。
それは今も時々思う。
そして時々、夢に見るよ。
朝起きて、居間に行くと、笑ってるお母さんの姿。
あたしは泣いて抱きつくんんだ。
そんな夢を見たときは、急いで居間に行くんだけど、「そんなはずないか」って・・。
現実が胸に刺さるんだ。

千葉県から三重県のこの長い距離は、何かあった時にすぐにかけつけられないから嫌だよ。
人は必ず死ぬから。それが嫌だよ。


あの幸せだった頃に戻りたい。。
二度と戻らないから、心の中だけにしまっておくけど。
もしも神様がひとつだけ願いを叶えてくれるなら。

あたしはいつでも、そう望んでる。

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