君が居た場所~プロローグ~

~プロローグ~




突然、あるいは思いがけない出来事と言うのは、予測がつかないから突然で思いがけないんだ。
当然のことだけど。
そんな突然の思いもかけない出来事が、俺達の身に起ころうとは・・・
本当に予測がつかなかった。



君が居た場所



「じゃあ、行ってくるね。」
「あぁ、気をつけてな。一緒に行けなくてすまない。」
「何言ってんの、ちょっと買い物に行くだけでしょ?僕一人で平気だって。それにアスランは明日までに片付けなきゃいけない書類があるんでしょ?」
「はぁ~。それさえ無きゃな~。」
俺が大きなため息を吐くと、キラは顔をしかめて俺を睨んだ。
「アスランってさ、僕のこと凄く子ども扱いしてない?」
「なんで?そんなつもり無いけど?ただ一人で出かけさせるのが心配なだけ。」
「それが子ども扱いって言うんだよ!」
キラはぷぅっと頬を膨らませて踵を返した。
そんな顔も態度も可愛くて仕方ない辺り、俺もほんと末期だよな。

けど、俺にそんな態度を取るとどうなるか・・・。
知ってるよね?キラ。
今夜はお仕置き決定だな。

「行ってきます!」
キラはちょっとだけ語気を荒げて、でもちゃんと挨拶をして家を出た。
「行ってらっしゃい。」
ほんと、可愛い奴。



キラが向かったショッピングモールまで、車ならほんの数分。
徒歩でも片道15分もあれば到着できる。
こんな天気のいい日は、決まって徒歩。
ということは、店までの往復に30分。
今日の買い物は食料品だからゆっくり物色しても30分程?
それならば、1時間ほどでこの家に帰ってくるはず。
なのに・・・・。


「遅い!」
キラが家を出てから既に1時間半が経過。
俺の仕事が立て込んでるからキラが一人で買い物に行ったのに、仕事なんか手に付きゃしない!
「何やってんだ?あいつ。」
ミリアリアにばったり出くわしてお茶してるとか?
イザークがひょっこり現れて、テートに誘ったとか!?
「なにぃ!ダメだダメだ!そんなの許さん!」
けど、あいつは今プラントでの仕事で手一杯のはずだ。

だったら・・・・

まさか!
ラクスがプラントへ連れ去ったとか?
いや、ラクスは評議会の仕事を抜けられるわけ無い!
けど・・・・・
彼女ならやりかねない。
イザークに当座の仕事を押し付けて、うまい言い訳をさせてこっそり抜け出すなんて・・・

有り得る!

だから、イザークが今超多忙なんじゃないのか?

あぁ~~~~~~!!
どうする、どうする!?俺っ!

そうだ!
とりあえず携帯!
携帯に電話だ!

ピッ、ピッ
プルルルルルルル、プルルルルルル・・

なんだ?
聞き覚えのあるメロディーがすぐ傍で・・・・

「って、携帯置いてるし!」
キラのバカー!


あ~、もう2時間になる。
どうしよう・・・。

一瞬考えて、俺は即座に行動を起こした。
探しに行こう!

Tシャツの上に薄手の上着を羽織り、ドアに手をかけようとした、その瞬間・・・

ピンポーン

誰かがドアの外に居ることを告げるチャイムが鳴った。

もしかして・・・
「キラっ!」
勢い良くドアを開けると、案の定キラが立っていた。
左手には買い物の紙袋を抱え、なぜか苦笑い。
「どうしたんだ!?キラっ!あんまり遅いから心配で、今から探しに行こうかと・・・。」
と、そこまで捲くし立てたところで、違和感に気付く。
キラの左手には買い物の紙袋。
右手には・・・・何か握っている。
それは手にきっちり収まるくらいの細いバーで、下へと続いている。
それをゆっくり辿っていくと・・・・。

「っ!?」
そこに見えたものに、俺は声の無い悲鳴を上げた。

「っ、キラッ!こっこれは、いったい??」

「えっと・・・・なんと言うか・・その・・・。」
驚愕の目を向ける俺に、キラはあいまいな言葉と笑みをよこした。
そして、
「拾っちゃった?みたいな?」
と、開き直りとも取れる、極上の笑顔を見せた。

「拾っちゃった・・って、お前・・・。」

そのときキラが右手に握っていたのはベビーカーと言う代物で、その座席にはまだ1歳にも満たないだろう可愛らしい赤ちゃんがすやすやと気持ち良さそうに寝息を立てていたのだ。


予測のつかない突然の出来事。

本当は、予測がつかないのはその出来事自体じゃなくて、キラなのかもしれない。



君が居た場所~前編~

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