「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた
新たな展開に関して 6
ひとまず収束する見通しだ。直前まで「瑕疵(かし)はない」と主張していた東京証券
取引所は一転、自らの責任を認め、危機管理の甘さを露呈した。証券会社と取引所と
いう市場の重要なプレーヤーの相次ぐミスが広げた混乱の傷は深い。「東証の売買
システムに不具合があった可能性がある」。東証がシステム担当の富士通から
口頭で報告を受けたのは誤発注が起きた翌日、九日の夜。取り消し作業が
できなかったことが納得できなかったみずほ証券の指摘を受け、東証が富士通に
再調査を依頼した。その後、十日の午前十一時に富士通から書面での中間
報告が届く。それに基づき東証が内部資料と付き合わせ、同日深夜にシステム
不具合の存在を最終確認した。十一日夜に記者会見した東証の天野富夫常務は
「東証のシステム不具合がなければみずほ証券の一円の注文取り消しは有効
だった」と明言し、陳謝。「みずほが値幅制限の下限(ストップ安)価格の五十七万
二千円で取り消し注文を出すところを誤って一円で出したため」とのこれまでの
説明を全面的に訂正した。
東証のシステムでは取引価格の制限を超える値の注文は制限値で受け付ける
「みなし処理」になる。みずほ証券の一円注文はストップ安で受け付ける「みなし
処理」が行われたが、システムがみなし処理の取り消しを受け付けないように
なっており、「結局一円でも五十七万二千円でも取り消しが不能な状態」(天野
常務)になっていた。二〇〇〇年五月に稼働したこのシステムを東証に納入
したのは富士通。東証はみなし処理の際にも注文や訂正がきちんと入るように
指示をしたというが、あらゆる場面を想定して細かに指示したわけではなく、
テスト作業を行ったかも含めて現在確認中だ。両社は今後不具合発生の詳細な
原因を分析するが、システム設計の問題が富士通と東証のどちらにあるかで
もめる可能性もある。
誤発注直後のみずほ証券と東証の言い分も食い違う。みずほ証券は誤発注
から約二分後に取り消し注文を四回出したというが、東証は「誤発注はこちらが
最初に気付き取り消しを依頼した」としており、かみ合わない。東証が取り消し
不能の責任を認めたことで、みずほ証券は損失の一定額の負担を東証に
求めるとみられるが、負担の配分を巡ってはまだ議論が難航しそうだ。
九十一万二千円の強制決済価格には異論もあるだろう。ジェイコムの上場
初日の八日に、大量の売り注文で株価が下がったのを見て、損失覚悟で
慌てて売却した投資家も救われない。いろいろな意味で問題含みの決着だが、
まずは取引の正常化を優先させるのが、市場関係者の判断だ。東証が
システムの不具合を認めたことで、前代未聞のトラブルの「主犯」はみずほ
証券から東証に移ったようだが、もともとはみずほからの警告無視の巨大な
売り注文が発端だ。今回は社員のミスだというが、悪意を持った社員が意図的に
でたらめの注文を出す可能性もゼロではない。経営を揺るがしかねないほどの
大量の売り注文が市場に流れてしまうのは証券会社のリスク管理のあり方として
疑問だ。
八日の株式相場が疑心暗鬼で下げ続けたにもかかわらず、情報開示が遅れた
ことにも問題がある。大株主には昼過ぎに伝えておきながら、「当社だ」と
名乗り出たのは午後四時過ぎ。経営陣が経過などを記者会見で説明したのは
午後十一時半を回ってからだった。確かにシステムの不具合で誤注文を
キャンセルできなかった。みずほから「取り消せない」とアピールがあった時点で
東証は売買を停止すべきだった。極端な状況では正常に動作するかどうかは
わからないのに、システムを過信したのは東証の大きな落ち度だ。ただ、あらゆる
例外的な状況を想定したシステムの構築は、コストの上でも、取引スピードに
与える影響を考慮しても現実的ではないだろう。
今後、約四百億円とされる損失の分担に焦点は移ろう。株主資本(単体)はみずほ
証券が三千八百十七億円、東証が七百四十七億円、富士通が九千五十七億円
だから、これで経営が傾くわけではないが、東証の負担が多ければ、増資などの
形で株主の証券会社にツケが回る可能性もある。今回のトラブルで露呈した株式
売買での個人投資家と証券会社との不公平感をどう軽減するかも大きな課題だ。
ジェイコムでは個人投資家は空売りも信用売りもできなかったのに、みずほ証券は
結果的に手元にない株式を大量に売却することができたからだ。インターネットの
掲示板では、「証券会社が株式を好きなように空売りできる状況では、株価が
どう動くかわからず、個人は安心して取引できない」との声が相次いだ。取引
制度への不信の解消は容易ではない。
みずほ証券は13日、同日実施したジェイコム(2462)株の現金決済の結果、同社
株を1073株保有することになった」とのコメントを発表した。ジェイコムは東証
マザーズへの上場に伴い計3000株の公募・売り出しを実施したが、「そのうち
2000株弱を(公募・売り出しで取得した)株主が保有し続けている」(みずほ証の
管理部広報室)という。みずほ証券が14日に実施するジェイコム株の立会い外
分売価格は91万2000円。ひとつ考えないといけないのは、トレードの実現益の
税金の話。これはシステム上どのような処理がなされるのかな。各社システムが
こうした不測の事態に対応できていないはずなので、みなさんの方で証券会社
さんに聞いて見るといいかも。おそらく手にすることとなる株式売買報告書は
売却してはいないものの、現金決済により、売った事にしたというただの報告書。
決済的には、先物などと一緒の差金なので、雑所得になるってことはないよね?
ジェイコム誤発注を強制現金決済で処理する問題で、みずほ証券は、13日の13時
までにクリアリング機構に差額の払い込みを行い、投資家への払い込みは証券会社を
通じて本日中に完了することが明らかになったらしいが、一部の証券会社では、明日の
引け前に現金だけが口座の買い付け余力に乗ってくるとの話。しかしながら、証券会社
によっても対応がまちまちなので良く分からないね。
与謝野金融担当大臣はこの日の記者会見で、ジェイコム株を証券会社の自己売買
部門が大量取得した問題で、「美しい話ではない」と述べた。とのことだが、自己売買
部門では美しさを競っている場合ではなく、倒産株もボロ株も上がると思えば買うという
スタンスでなくては、あんな厳しいところでは生きて行けないのだ。
みずほ証券が誤発注したジェイコム株をUBSグループが大量取得していたことが13日
分かった。大量保有報告書によると同グループは8日時点で発行済み株式数の2.6倍の3万
8198株を保有していた。みずほ証券が買い戻せなかった9万6236株の4割に相当する。
1株91万2000円の現金決済でUBS証券とユービーエス・エイ・ジーの2社は計100億円以上
の利益を上げたとみられる。市場の負けは市場から取り返す。さすがですね。3年前の
リベンジをする。外資らしいというか、情がないというか。でも、これが金融ですからね。
UBSグループ以外ではモルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド、日興コーディアル
証券グループ、リーマン・ブラザーズ証券グループ、クレディ・スイス・ファースト・
ボストン証券グループ、野村証券がジェイコム株を保有していたことが判明している。
一方、ジェイコム株の現金決済は13日、日本証券クリアリング機構と買い手の証券会社間
で滞りなく終了した。14日の売買再開までに証券会社から投資家への現金受け渡しも
すべて終える見込み。
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