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シンプルで優しいこの人生



 細かいことはともかく、「一人」の人が二人いるというのと、「二人」がいるのとでは全然違う。いつから「二人」と感じられるようになったかを決めることはできない。しかし、例えてみれば(きれいな例ではないが)髪の毛が何万本抜けたら薄いといわれるかを決められないけれども、明らかに濃い、薄いという違いがあるようなものである。

 一体、あなたはいつ私にとってなくてはならない存在、他の人に代わることができない存在になったのか。

 そのように思うようになった理由はない。あるといえばあるが、必ずしも納得できる理由はないことが多い。きれいだから? それなら容色が衰えたら愛さなくなるの?

 そのような理由はいわば後からとってつけた理由でしかない。意識のどこかのレベルにおいて、この人のことを好きになろう、とある日決心する。すると、すべてがそんなふうに動き出す。あの人が私にほほえんでくれたのはきっと私に好意を持ってくれているからだ…そんなふうにすべてのことが見えてくる。

 きっと自分が好きな人だけでなくこの世界が自分にとって好ましく思えた時、それまでとは世界は違って見え、違ったことが起こってくるのだ。

 アメリはいう(イポリト・ベルナール『アメリ』)。

「(アメリは)生まれて初めて、自分とこの世界のすべてが調和したような気がしていました。

 柔らかな陽の光。風の香り。街のざわめき。すべて完璧。

 人生はなんてシンプルで、なんて優しいんでしょう。からだいっぱいに広がっていく愛を感じて、アメリは通りを駆けていきました」


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