日常・・・

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第二章 【施設とは・・・そして日本】


小説での一ヶ月とはとてつもなく早いものである。
今回の待ち合わせ場所は特殊部隊本部前。
既に毎日のように来ている所だからいいのだが、時間が午前三時半とは・・・早すぎた。
ネイオは初めて遅刻を経験しそうになった。
「やべぇな・・・」
ネイオは急いで本部前に行く。五分前あたりだ。
すると、人影は無く、静まり返っていた。
遠くの飲食外の音がこだまするが、付近の音はこれ一つ無かった。
ネイオが辿り着くと同時に、各方向から人影が現れ始めた。
見たことある対生物部の仲間達であるが、話したことは一度も無い。
すると一分前になり、マックスが歩きながらやってきた。
「お前、遅刻寸前だぜ?」
「ふん、間に合えばいいんだよ」
ネイオは嫌味を言うが、軽く返された。
マックスとは堅物な人間である。
近くの時計台の鐘がなる音がした。
三十分おきに、夜でも鳴らすこの鐘は、付近住民から賛否両論だという。
それが鳴った途端、バスが向こう側からやってきた。
「バスかよ」
隊員の一人が声をあげた。
ネイオは目を疑った。
そのバスと競争するように、隣りあわせで走ってくる男がいたのだ。
「バカだ・・・」
ネイオは思わず顔を下げた。
スコットが必死の形相でバスと競争していた。
バスが隊員達の前について、三十秒後、スコットはネイオの元に来た。
「はぁ・・・はぁ・・・何とか勝ったか・・・」
「いや、負けてるし」
ネイオとスコットの会話をよそに、マックスが叫んだ。
「みんな!このバスに乗り込め!」
マックスの声で、一同はバスに乗り込んだ。
ネイオは数を数える。うん、きっかり十五人だ。
薄暗い中、バスは走り出した。




ロサンゼルス警察・・・ここの一室では、夜中でありながら話し声が聞こえた。
「いいでしょ?っていうか、知ってるんじゃないですか?リッカーについても・・・」
『だから言ってるだろ。私は何も知らない!』
「いや何かを知ってるはずだ。2008年の「〈SAF〉隊員襲撃事件」で
あなたは新たな怪物をだな・・・おい、切るな!おい!」
刑事は叫んだ。しかし、相手が電話を切ったようだ。
「ちくしょう。だからお偉いさんは嫌いなんだ・・・」
電話をしていたベテラン刑事はそっとぼやいた。
すると部屋の扉が開いて、若い男が顔を出した。
「なんだ?」
「ドアー警部補。そろそろ寝たほうが・・・誰と話していたんですか?」
ドアー警部補と呼ばれたのはあのベテラン刑事だ。
「あぁ、2008年にある島で〈SAF〉の隊員が謎の生物に襲われた事件があっただろ。
その事件から生き残って、今は教授の道を歩んでいるアーサー・ホークとか言う男に電話してた。
今回のあの殺人事件はリッカーと関係があったりもするかも知れん・・・
だから何か知っていると思ったんだが・・・」
「リッカーって・・・2008年にニューヨークに突如出現した怪物ですよね?その前にも島で出現してた・・・
それで特殊部隊は一般からの信頼感などを失った・・・ですよね」
そんなやり取りを繰り返す。
するとドアーは立ち上がった。
「寝るぞ!」




「おいおい、空港かよ」
バスを降りた特殊部隊の面々はロサンゼルス国際空港に来ていた。
「俺、まだきたこと無かったんだ・・いつもニューヨークかシスコ。ここは初めてだ」
「おいスコット。お前アメリカ生まれだよな?」
ネイオは馬鹿らしい質問をぶっ掛けるが、その途端にマックスが話し出した。
マックスがリーダーのようだ。
「ここで一つ滑走路を貸しきった。専用機が用意してある。それに乗るんだ」
「おい、どこに行くんだ?」
一人の隊員が不安そうに聞く。
そういえば施設にいくとはいってたが、どこにあるのかは聞いてない・・・
メンバー達と顔合わせも無かった。これは前代未聞だろうか。
普通、顔合わせを行い事前に作戦などを立てるのだが、今回はそれを一切行わなかった。
何故だ・・?
「ネイオ!」
スコットの声が響いた。
「そんなところで止まっているなよ。みんな行っちゃったぞ」
ネイオが見ると、なにやら輸送機のようなものに乗り込んでいるのが見えた。
ほぉ、あれが専用機・・・
ネイオは足早にそれに向かっていった。


飛び上がった輸送機の中でマックスが立ち上がって言った。
「ここらで自己紹介をしよう。まずは俺。マックス・ハナーだ。中佐。
この部隊の指揮を務める。じゃ、こっちの手前の方からだ」
マックスは一番奥の席を指差し言った。
「じゃ、するぞ。へブリックだ。金が大量に入るということで任務に参加した」
一言で済ませたヘブリックという男は、特殊部隊本部の中でも成金で有名だった。
手で前髪を掻き揚げると、ヘブリックは隣の男にどうぞと言う感じで手を仰ぐ。
「次は俺だ。G.E.。ニューヨークヤンキースより、サッカーの方を応援してる。よろしく」
ヤンキースよりサッカーの方を支持するというのはニューヨーカーとしては珍しかった。
ネイオも驚いた。ネイオはもっぱらのヤンキースファンだった。
続いては刈り上げの男だ。
「俺はエージェン。リッカーと戦うことをたのしみにしていた。よろしく」
(楽しみに?いい度胸だ)
ネイオはこころでつぶやいた。
続いては若い長髪の男だった。
「キット・アーデス。役に立てるなら、たちます」
その一言で座り込んだ。
スコットは推測した。
「やる気が無いんだな・・・」
自己紹介は進んで、セフテンという男を終えた。
「あ、まったく聞いてなかった」
「というか気付かなかったぜ」
セフテンという男は、黙って座り込んだ。
続いては髪が薄い・・・いや、スキンヘッドの男。
「スパン。フルネームはスパン・カラン。よろしく」
そのとき機体が大きく揺れた。
「ぎゃぁ!」
スパンという男の悲鳴が響いた。
「ハハ、大げさだぜスパン。馬鹿じゃねーのか」
ガムを噛んでいるルークが言ったのをよそに、スパンは黙り込んだ。
「次は俺だな、ルークだ、ルーク・スカイ」
そのルークが自己紹介をする。それに食いついたのはスコットだった。
「知ってるぞ。フォースが使えると特殊部隊じゃ有名だよな!」
「ああ、もちろん。俺の力はすごいんだぜ・・・」
ルークはそういって、自分の急所を銃で示す。
「おお、そう来るか・・・」
スコットは一本取られた気がして黙り込んでしまった。かなり珍しい。
続いてはかなりの熟練者の雰囲気が漂っている。
「デックス・アルフォードだ。四十六で最年長だ。よろしく」
低く、渋い声で最年長のデックスは話して、続いては三十ほどの男だ。
「エルバトフス。エルと呼んでくれ。いい名前だろ?」
そんな彼は無視し、続いてはやけに大きなバッグを持っている男。
「サーフ。サーフ・コン。機械プログラム担当で呼ばれた」
続いての男の自己紹介で、ネイオたちは腰を抜かした。
「カルだ。T・カル。叔父はリッカーに喰われ死んだが、俺はそうならないようにする。よろしく」
T・カウ・・・2006年の任務に同行した武装攻撃隊の一人で、リッカーに襲われ殉職者となった。
かなりの短気者だったが・・・甥はどうなのだろうか。
ネイオ、スコットはそんなことを考えていた。
「カーギー。薬剤などの担当だ。このリュックの中に鎮痛剤、下剤、解毒剤などが多く入っている。使いたかったら言ってくれ」
かーギーはバッグを見せると、話をまとめた。
続いてはネイオの番だ。
「ネイオ・ワークだ。リッカーと戦った経験者でもあるから・・・よろしく」
「スコット・アンティリーズ。彼をも凌ぐ実力者だ」
スコットは自己紹介を簡潔に済ませた。
ネイオはスコットを睨んだが、へらへらと笑っている。
これがスコットなのだ。
一番前の座席に座っているネイオの隣の座席はマックス。嫌なやつだ。
前にはカーテンでしきられていて、奥にはコックピットだろう。
「さて、ここで任務の詳細を話す」
「いまさらかよー」
スコットが野次を飛ばすが、マックスは動じず、淡々と語りだした。
「目的地はマイアミ」
「マイアミ!」
またもやスコットの声が響く。
ネイオは手で制したが、言うことを聞かない。
「観光地か~、ビーチにでも行くのかい?」
「静かに」
マックスの注意が飛ぶと、周りのメンバー達が苦笑し始めた。
スコットはさすがに恥かしく・・・なったと思ったがそうでもなかったようだ。
顔の表情一つ変えず、ネイオの隣の席に座った。
マックスは続ける。
「最近、廃墟のビルで若者が死んでいたというニュースを聞いたことがあるだろう。
実は扉から放たれた銃弾が原因なのだが、その扉の向こうに施設はあるらしいんだ」
ネイオとスコットは顔を見合わせた。
そしてヒソヒソ話し出した。
「俺はあの事件と、施設とでなんら関連があると思ってたんだよな~言っただろが」
「初耳なんですけど。スコットさん」
「そこの二人、黙ってろって。いいか、場所を突き止めてどんなところかはまったく未知なんだ。
軽い気持ちで行って貰っちゃダメだぞ」
マックスが二人を注意する。しかしネイオは反論をする。
「お前・・・俺達はリッカーの襲撃を経験してる。お前達の方こそ、軽くならないでくれ」
ネイオはマックスに言ったつもりだったが、二つ前の席にいる男が立ち上がった。
「おいおい、俺達のことを低く見てないか?リッカーとは初対面といったって・・・」
カルが言い出す。短気なことが染み出ていた。
ネイオは直感して、比較的穏やかに言った。
「いやいや、そういうわけじゃなくて・・・というか、マックスに言っただけで」
「んだとぉ!二、三回あいつと戦ったくらいで!」
「あいつの恐ろしさを知らないようだがな・・・」
「あん!?お前さんよ、このネイオと俺はリッカーの恐怖から生き残った英雄だぞ」
そこで突然スコットも口論に加わる。
「英雄だと?そのくらいで」
「コイツ!」
カルはスコットに食って掛かった。
近くにいたサーフが中心に入り、マックスとネイオは両者を慌てて制止する。
「うるさいんだよ、眠れないだろ!」
突然座席を倒して、寝ていた男が怒鳴った。
茶髪で、ガムをクチャクチャ噛んでいる。ルークだ。
「何?お前は参加するな!いつもガムなんて噛んでるくせして!」
「なんだろこらぁ!」
輸送機に乗っていた特殊部隊員たちは一斉に喧嘩を始めた。
「おい、黙れよ。飛行機の中だぞ」
ネイオは慌てて止めようとした。しかし
「お前だろが!事の発端は」
とスコットに突っ込まれ黙り込んだ。
そのときカルを取り押さえていたマックスが銃を向けた。
「黙れ!お前達!静かにするんだよ!」
銃を向けられては、さすがのつわもの達も黙り込んだ。
「しまえ。マックス、落ち着くんだ」
ネイオはジェスチャーを混ぜながら指示する。
マックスは銃をしまうと一斉に、騒いでいた男達は席に座り込んだ。
「で、任務の詳細だが、まず扉を超えたら駅のホームみたいなところがある。そこには
施設に行くためのトロッコに乗れるんだ。それに乗って施設まで行く。
そこまでしか状況はつかめていないんだ・・・状況次第動けるようにしろ」
マックスは念を押す。
しかし、返事をするものなどいないようだ。
重い空気が漂う中、輸送機は飛び続けていた。




ネイオたちの目的地、マイアミから時間が速まること十二時間。
時差、十二時間ある日本の首都東京。
午後六時を迎えようとしている。
しかし、未だに歩行者天国では人通りが途切れそうに無い。
その中には外国人もいるのは当たり前だ。
独自の思い、遊び、仕事、勉強・・・色々な思いを持ってきているはずだ。
そのなかに、遊びを目当てとして秋葉原の歩行者天国の一角を歩く外国人がいた。
電気ショップに並べてある、最新型テレビを見つめていた。
画面には日本語で「野沢総理、緊急生出演!」とテロップが表示されている。
「え~と・・・ノザワソーリ・・・キン・・・ナマデエン・・・わからねーよ」
その外国人は英語を喋る中に、日本語でテロップを読んで、その場を去った。
「きちんと日本語は勉強したぜ・・・カルロスたちがうるさかったからな・・・」
もちろん彼は、英語でしゃべっている。そこのとこ、理解してほしい。
白い肌に長く厚い髪、チェック柄のコートにジーンズといったオーソドックスな姿だ。
「これじゃ日本に来た意味がないぜ・・・何か見つけないと・・・武士が歴史だから・・・
武士に関する店があるはずだ・・・きっと」
なんてステレオタイプなアメリカ人だ。もちろん、滅多に武士の店など無い。
それどころか、漢字ばかりの看板がぎっしりあって、彼は混乱してきた。
「まったく・・・ひらがなで書けよ、ひらがなで!」
彼は言葉と、簡単な漢字の勉強しかしてないらしい。
そんな彼の元へ、電話がかかってきた。歩きながら、携帯電話を耳に当てる。
「アフタショットだ・・・カルロス。なんだ?」
彼の名はアフタショットらしい。
『アフタショット、何をいらいらしてるんだ?ああ、用事はだな・・・特殊部隊の最高司令官
とやらから電話が着てよ。マイアミ空港に行けって・・・お前が行った日にな』
「俺が行った日って・・・一昨日か?」
『ああ、そうだ。あと一日日本に行くのを遅らせればお前もマイアミにこれたかもだ。
でもリッカーがどうやらといってた・・・重要な仕事っぽいな』
「それやばいんじゃないのか・・・やめないのか?」
『やめないさ。またリッカーが放たれたらどうする?運よく倒せると思うか?
今のうちに殺しておかないと・・・とおもってな。俺達は命はもういいんだ。
とりあえずリッカーを倒す・・・これだけだ』
「すまんな、俺がいなくて」
『いや、大丈夫だ。お前は日本旅行をしっかり楽しんで来い』
そういうと相手のカルロスは電話を切った。
アフタショットは薄暗くなってきた空を見た。
彼はアフタショットで、電話の相手のカルロス、でその会話中に出てきたユアンと共に
2006年のリッカー島での襲撃から生き残っている者たちで、元犯罪者である。
開放された現在は、何処かで暮らしていたわけである。
「カルロスたちはリッカーか・・・俺もこうしちゃ居られないな」
アフタショットは空港を目指そうとしたわけである。




出発して約五時間・・・特殊部隊のメンバー達は、眠気やストレスを乗り越え比較的、輸送機の中は落ち着いていた。
「到着までもう少しだ!心の準備をしておくんだ」
マックスが言う。心の準備・・・そんなものあるのだろうか。
突然、隣に座っていたスコットが話しかけてきた。
「そういえば不可思議な事件が多いよな」
「そうか?至って平和だろ?」
「お前は馬鹿か。いいか、ネイオさん。まず2004年、リッカーの襲撃にあったろ?2006年にも。
2008年にも記録は無いがあったよな。そして2008年といったらもう一つあったろ?
確か〈SAF〉の面々が謎の島に行ってリッカーじゃない、別の怪物に襲われた事件。
あれから南アメリカがだな・・・で、今に至るわけだ」
「年表か、お前は!」
ネイオは突っ込みを入れたが、すぐにスコットに同意した。
「確かにだな。特に2008年は二つの大きな事件があったな。冬と夏だったけど。
でも、俺は相変わらず〈SAF〉の方は信じられないな」
「信じられない?」
ネイオはさらに続けようとした。
「そうさ、信じられ・・・」
とまで言った時気付いた。スコットの声じゃなかったな。
ネイオはぐるぐる辺りを見回す。
「信じられない?」
すると、また声がした。
「信じてくれよ」
コックピットとこちら側を仕切っているカーテンの隙間から、男が顔を出した。
ネイオとスコットは驚いた。
前部座席に乗っているせいか、会話が聞こえていたようだ。
「・・・お前さん誰なんだよ」
スコットがパイロットに聞く。
「俺か?ああ、そうだな・・・とりあえず【クロウ】とよんでくれないか?」
「そうとう"苦労"してそうな顔だもんな」
ネイオはスコットを銃底で叩くと、クロウの方を見る。
「で、何か用ですかね?パイロット・・・ですよね・」
ネイオは質問をする。
何か内通しているものなのか、ただ首を突っ込みたいだけなのか・・・それをはっきりしておきたかった。
「ああ、俺は・・・」
間をおく。
「元〈SAF〉だ」
「ぎょえーー!!」
スコットの声が響く。
「君達はあの事件を詳しく知らないようだな。話そうか?」
「はい。是非・・・」
ネイオがそういったとき、マックスが叫んだ。
「ネイオ、スコット、席に戻れ!これから重要なものを配る」
その声に二人は慌てて席に戻った。
「また今度な」
クロウという男は、再び操縦に集中した。

「何やっていたんだ?」
マックスがスコットに聞く。ネイオにではなく、スコットに。
「ああ、その・・・秘密の怪談というか・・・あ、会談ね」
「作品を読んでいる人にしかわからないギャグを慎め」
ネイオはすかさず突っ込む。
マックスは仕切りなおし、話し出した。
「これからこれを配る!扱いを説明するから、ちゃんと聞け!」
マックスはそういうと、ケースの中に入ったものを配りだした。
携帯ゲーム機、PSPを小さくしたような感じで、中央に画面、右手で持つ方には
ゼロから九までの数字が配置されていて、左側に多くのボタンがある。
「みなの所に回ったか!?よし、じゃあ、これを説明しよう」
ネイオも、この機械に見とれていた。
「これは最新型多目的機器、通称オールだ。左側にある青いボタンがスイッチ。
黄色いボタンが機能を選ぶボタンだ。その下の赤い奴が機能を決定だ。
そして左側の中央にあるのが、見ても分かるとおり十字キーだ。画面を操作できる。
右側のボタンは普通の数字ボタンだ、ゲームをやっている奴は、大抵分かるだろう」
マックスは一通り話し終えたが、再び熱弁をふるいだした。
「これは多目的と言うだけあって、たくさんの機能をそろえている。皆、電源を入れて機能ボタンを押してくれ」
ネイオたちはいわれるがまま、電源を入れ機能ボタンを押した。
すると画面に文字が映し出された。
通信機、テレビ、電話、ゲーム、裏・・・
スコットは疑問に思った。裏ってなんだ?
「見れば分かるように、たくさんの機能がある。したい機能にカーソルを合わせてOKボタンを押せば、その機能が反映される。
ちなみに何もないとき意外は通信機設定にして、左腕に装着だ。分かったな」
マックスは説明を終えて、席に着く。
スコットはネイオに話しかけた。
「おい、テレビだってよ。見るか?」
「見ない、通信機モードにしろ。手首につければ使いやすくなるから」
ネイオはスコットに注意をした。
「それからこれって・・・半径100キロ以内でこの装置を持っていて、通信機設定にしている同士は会話が出来るんだってよ。
つまりスコットにだけ話しかけたい場合でも、今の状態だと全員のところにも出回る。
だから、機体番号を設定しておくんだ。スコットお前は・・・999・・・分かりやすいな。
これを設定すれば・・・そして999に通信と」
すると、スコットのオールの右下に付いている赤いランプが点灯した。
「お、この通話ボタンを押して・・・はいスコットですが~」
「こんな感じになるんだ」
ネイオとスコットは至近距離で普通に話せるものの、あえてオールの通信機機能を使って話していた。
そのとき・・・
「着いたぞ!」
パイロット、クロウの声が響いた。
輸送機はゆっくりと降下していった。


着陸したのはマイアミのとあるビルのヘリポートだった。
「マイアミ~・・・マイアミの女神は~誰に~微笑む~♪」
スコットが歌いだした。
「やめろ!うるさいんだよ!」
ルークがスコットに言いつける。
スコットはイラッときたが気持ちを静めこむ。
マックスが先頭に立って話し出した。
「おい!ここが何処か分かるか!」
「マイアミ!」
エルバトフスが叫ぶ。
マックスはあきれ返った。
「そんなのはいい!ここはマイアミのどこだ!よ~く、見ろ」
マックスの言葉に、隊員達は辺りを見回した。
ネイオはマイアミには数回目の訪問だったが、けっこうすぐに気付くことができた。
「本当にマイアミか?」
「マイアミだ。ネイオ、気付いたか」
マックスは珍しくネイオと会話らしい会話をした。
「ネイオが気付いた。そう、屋上から外を見るんだ」
一同は屋上の柵に向かって、先を眺めた。
「あ・・・ここは?」
「だからマイアミだ・・・といいたいが、そう思うのも当たり前だ」
マックスは息を吸うと、指を何処かに向けた。
「見ろ!この周辺には建物らしい建物は何も無いだろう。数百メートル先にようやく民家が
見える・・・ここはマイアミの郊外だ・・・反対側の、海は近いが」
確かに回りは土だけの空き地が広がっていて、海は結構近くに見えた。
しかし、このビル・・・低すぎだ。どう見ても低い。
ネイオは不思議に思ってマックスに聞いてみた。
「おいマックス。この建物は何階構成だ?」
「お、それを言おうと思ってた。二階だ」
ヘリポートを備えるビルとしては、あまり見ない低さだ。
「そんなことより・・・とっとと下に行くぞ。お前達は屋上で任務をするのか?行くぞ」
マックスの次にルーク、へブリック、キット、その次に輸送機で騒動を起こした隊員が続いて、
スコットネイオと続いた。最後尾にはサーフとデックス、パイロットのクロウがついて来た。
屋上の階段から入ったがビルの中は汚い。もう何年も使用していない感じで、薄暗く明かりもない。
かすかに、窓から光が差し込んでくるだけである。
そして一階のホールらしきところに出た。
「ようこそアローン社へ・・・か。来たくて来た訳じゃないけどな」
スコットが歎くんで、その後ろのG.E.が注意する。
地下に続くエスカレータには説人現場でよく見るような黄色のロープが張られている。
「ここは・・・」
部隊の後ろの方にいたヘブリックが言った。
そしてネイオは言い加えた。
「あの謎の射殺事件・・・現場か」
「その通りだ」
マックスがそういって、エスカレータを降りていくので続く。
そして例の分厚い扉の前に立った。マックスは語りだした。
「リッカーの創作原の施設は・・・」
間をおく。
「この分厚い扉の向こうだ」




その扉のはるか先。
地下施設になっているところは数十人の人がいた。
その一室では、大きな水槽に青い液体が満杯に入っていて、その中にはコードを体の
あちらこちらに繋がれている人間が直立で浮いていた。
時折息を噴出して、泡が立つことがある。
そんな水槽の前で、腕くみをしながら構える男がいた。
姿は黒ずくめの服に、オールバック気味の髪、筋肉質な肉体・・・いかにも怪しい。
しかし、この男、この施設の最重要人物、つまり管理者ともいえよう。
「心拍数が異常になってきた・・・実験は失敗なのか・・・」
その男は、低くて冷たい声でつぶやき、水槽に付いているモニターを見つめた。
モニターには心拍数、脈などなど・・・
そして実験とは?それは何なのだろうか。
その部屋に部下が入ってきたようだ。
「アローン管理人いますか?」
「いるぞ」
部下は何か資料を持ってその男の元にやってきた。
「最近の恐竜の様子がおかしいので・・・麻酔で眠らせました」
「ありがとう、これが賢明だろう」
黒ずくめの男は一言で部下を追い返すと、再び水槽を見つめた。
「実験を成功させるためには・・・」
そういった男は水槽の左側に付いているダイヤルを回した。
すると、内部側面の両側から、空気を送り込む如く、大量の泡が噴出された。
異常だった心拍数も戻り、水槽の前の男は顔を戻した。
「これで成功するだろうな・・・」
男はそういって、その部屋を後にした。

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