<<ももにゃきさん>>

> 国連に行ってツアーで回ったとき、国連が現在力を入れている活動は・・というところで、「インドでは、持参金が少ないと言って毎年300人以上の女性が火をつけられて焼死しているので人権を・・・」(数字ははっきりしませんが、とにかく、数百人でした)と言っていて、思わず聞き返したことがあります。

たぶん、「不可触民」ともなりますと、もっと酷いです。「不可触民」はカースト最下位のシュードラよりさらに下位の身分で、上位カーストは「不可触民」を殺害しても殆ど罪にならないそうです。

参)『不可触民と現代インド』山際素男著、光文社新書 (Jun 2, 2005 10:44:25 PM)

北 の 狼

北 の 狼

Jun 1, 2005
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カテゴリ: カテゴリ未分類
1994年、イギリス=インド、シェーカル・カプール監督。

80年代初頭インドで、女盗賊(義賊)として群盗を引き連れて荒し回ったプーラン・デヴィという女性が送った波乱万丈の人生を映画化したものです。

プーラン



*****************

プーランは、1958年インド北部(ウッタルプラデシュ州南部ゴルハカルプワ村)で下層カースト(シュードラ:「マッラ」)の貧困農家の娘として生を受けました。この時点で彼女には、カースト制度と「女性」という二つの差別がついて回ることになりました。

彼女は、11歳で30過ぎの男と訳が分からないうちに結婚します(ちなみに、インドでは法律上は18歳未満では結婚できないことになっていますが)。夫による虐待に耐えきれず、数年後には飛び出して生家に戻っています。
出戻りの女性はその辺りではほとんど人間扱いされず、彼女は村人たち(とりわけ上位カーストたち)から村八分、白昼のレイプ、盗みの濡れ衣、取調べ警官による性的暴行など、ありとあらゆる嫌がらせや虐待を受けます。

当時ダコイットという盗賊がインドを荒し回っていたのですが、この集団は富める者から奪って貧しい者に分け与えるというようなことをしていたそうで、義賊を自称していました。彼女は20歳の頃、このダコイットに誘拐され、棟梁のオンナとして慰みものになります。
ダコイットにはヴィクラムという優しい青年がおり、彼はプーランと恋をするようになります。やがて、ヴィクラムは、プーランへの虐待をくり返す棟梁を銃殺し、ダコイットを率い義賊として活躍するようになります。そして、プーランはヴィクラムと二度目の結婚をします(21歳)。

しかし、ヴィクラムは対立する盗賊―――頭が上位カースト・クシャトリヤ(王侯・武士)に属する「タクール」(地主)の一派―――によって殺害され、プーランはビーマイ村に拉致され集団レイプを受けたうえ、奴隷扱いされます。


事態を重視した警察当局はプーラン逮捕に本腰を入れはじめ、彼女は多くの仲間を失い徐々に追い詰められていきます。インディラ・ガンジーが首相をつとめていた1983年、プーランは司法取引に応じて投降します(ちなみに、ガンジー首相はこの直後84年に暗殺されています)。

*****************


映画はここまでですが、後日談があります。
1994年2月(映画が公開された年ですが)に出所したプーランは、1996年にインド下院選挙に出馬し当選を果たし、カーストや性による差別の撲滅を目指し政治家として活動を始めました。その頃、三度目の結婚をしています。
ほぼ同時期に自叙伝(『プーラン・デヴィの真実』1997年)を出版しています。この本は、(文盲だった)彼女自身の言葉をテープレコーダに録音して、そのまま文章に起こすと2千ページにも及ぶものを二人の作家が刈り込みをし、原稿を本人に読み聞かせ、確認を取ってから本にしたとのことです。えらい気の使いようですが、実は、映画『女盗賊プーラン』は、インド本土では、プーラン本人より「伝記」を大幅に脚色されているとして起訴され、インド政府からは上映禁止をくらっていたのでした。

そうかと思うと、こういう話しもあります。
映画では、プーランは好感を誘う存在(義賊)として描かれており、村を襲撃しても貧困層の安全は保証し、金持ちから奪った戦利品を貧しい者に分け与えた英雄であって、彼女が降伏セレモニーの臨んだ時には群衆が称賛の声を上げるシーンがあります。
しかし、地元の住民によると、例えば、ビーマイの隣村で育った新聞記者スリードハル・チャウハン氏(44)は「我々はどんなにプーランを恐れたことか。彼女を英雄視するメディアには怒りを感じた」と語っており、降伏セレモニーを見た大学教授ビシャセル・シン氏(57)によると、人々は「盗賊をひと目みようと集まっただけ」で、プーランをたたえる者はいなかった、ということです(「読売新聞」 http://www.yomiuri.co.jp/tabi/world/abroad/20041116sc22.htm)。

2001年7月、プーランはニューデリーで暗殺されました。享年43歳。
地元警察は犯行グループの7人を逮捕しましたが、主犯格の男は「ビーマイ村事件の仕返しだった」と供述しており、復讐が復讐を呼んだともいえそうです。

本の印税などもあって、プーランは210万ドル(2億5600万円)の財産を残したそうですが、これを巡ってまた悶着が生じています。

さらには、一番目の夫までもが「離婚手続きを経ておらず、正式な夫は自分だ」と名乗りを上げ、「遺産を相続し、貧困者のための基金を設立する」と裁判に訴える構えをみせているということです。
なんか「貧者同士の争い」をみる思いがしますね。
以上は2001年現在の話(報道)です。


    ◇    ◇    ◇    ◇


近年、インドの経済発展は、IT産業に代表されて目覚ましいものがあります。しかし、カーストに基づく差別は根強いものがあり、法律でいくら規制しようとも社会構造としてしっかりビルトインされているようです。プーランがあのおぞましい虐待を”当然のごとく”受けた時代というのは、ほんの2、30年前であって、とりわけインド人口の7割が暮らす農村部では依然としてカースト差別が根強く、少女婚など女性虐待も後を絶たないとのことです。

経済発展を控えたインドでは、国際化という波のなか、この問題は今後ますます重要視されることになるでしょうね。


    ◇    ◇    ◇    ◇


この映画自体ですが、映像はかなり粗いつくりとなっていますが、それがかえって埃や砂や岩だらけの風土にマッチしているようで、やけに生々しい印象です。母親譲りといわれるプーランの荒々しい気性に、よくマッチしていますね。
景色は綺麗で、それがかえってプーランの境遇の悲惨さを際立たせています。プーラン率いる盗賊たちが、山肌を縫って警察から逃亡するシーンは、なかなか良かったです。
シェーカル・カプール監督はこの映画で認められて、4年後には『エリザベス』という作品で、大英帝国の女王伝記映画をインド人が監督するという快挙を成し遂げています。ケイト・ブランシェットが主役を演じていることもあり、『エリザベス』も好きな作品のひとつです。





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Last updated  Jun 2, 2005 03:42:38 AM
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女子高で働いていたときに  
ももにゃき  さん
なぜかプーランがはやりまくり、先生と生徒で回し読みしました。国は違っても気持ちは似たようなもんなんですよ。
 国連に行ってツアーで回ったとき、国連が現在力を入れている活動は・・というところで、「インドでは、持参金が少ないと言って毎年300人以上の女性が火をつけられて焼死しているので人権を・・・」(数字ははっきりしませんが、とにかく、数百人でした)と言っていて、思わず聞き返したことがあります。
 私の専門はフェミニズム文学でしたが、案外国連でこの話を聞いて以来だったような気がしますです。 (Jun 2, 2005 10:13:51 AM)

Re:『女盗賊プーラン』(06/01)  
gacha-danjhon  さん
「エリザベス」の監督がインド人というのはなんとなく知ってましたが、それに抜擢される前の作品にこういうのがあったんですか!

インド人に生まれなくて良かった。
というのが正直な感想ですね。。
日本みたいな、豊かな国 平和な国は珍しいのかな、
っと、最近、思います。
もちろん、なにも問題が無いわけではないでしょうが。。 
人権なんて、言葉も知らない人が世界にはたくさんいるんだろうなと、。
全て等しく 教育を受けられる国のありがたみを なんだかつくづく感じました。。
(Jun 2, 2005 06:56:26 PM)

Re:『女盗賊プーラン』(06/01)  
μ ミュー  さん
ドラマでなく実在する人物だったのね。
女性蔑視やカースト差別に勇敢に立ち向かった彼女の映画は、
きっと全世界の女性の、心の強い支えになるのでしょうね。

見てみたい。

(Jun 2, 2005 10:35:46 PM)

Re:女子高で働いていたときに(06/01)  

Re[1]:『女盗賊プーラン』(06/01)  
<<gacha-danjhonさん>>
>「エリザベス」の監督がインド人というのはなんとなく知ってましたが、それに抜擢される前の作品にこういうのがあったんですか!

この監督は「エリザベス」(アカデミー賞7部門にノミネート)の後は、映画を撮っていないようですね。ちょっと残念です。


>人権なんて、言葉も知らない人が世界にはたくさんいるんだろうなと、。
>全て等しく 教育を受けられる国のありがたみを なんだかつくづく感じました。。
-----

中東も女性差別は酷いようですね。
むしろ、アフリカなんかのほうがましかもしれません。

日本は昔から、社会の本流は女性社会ではなかったか、と思います。
(Jun 2, 2005 10:48:19 PM)

Re[1]:『女盗賊プーラン』(06/01)  
<<μ ミューさん>>


>見てみたい。
-----

初心な方が見ると、気が滅入るかもしれません。
(Jun 2, 2005 10:49:09 PM)

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