♭Day Break♭

♭Day Break♭

番外編1



そんな現状に、レッド達は心配することしかできなかった。





<番外編1>





外の風が少し冷たくなってきたころ。

敵の動きが知りたい、と一人で出ていったルビーが返ってこない。もちろん、「夕方には帰る」との約束付きだったためなおさらだ。

彼が時間を守らないわけがない。何かあれば、セレビィが現れてイエローかオレンジに話すはずだ。

それが全くない。

これは、何を示しているのだろう。

「とりあえず、探しに行かない?」

と提案したのはブルーだった。たしかに、ここでじっとしているのも微妙だ。それならば一歩踏み出しルビーを探しに行った方が効率はいい。

だが、それを反対する者も多数いる。

もし、全員で探しに行っても見つからなかったら?

もし、探しに行ってる最中に戻ってきたら?

こんな状況に陥れば、誰だってネガティブ思考になるのは当たり前だ。

「じゃぁ、こうしようぜ!残る人と探しに行く人!」

「あぁ、それが一番いいな」

オレンジの発言にうなずくレッド。たしかにこれが一番手っ取り早い方法。

しかしその分、見つけられる確率が少なくなるということか。

「なんかいやな予感がするったい…」

「サファイア…」

「あん人、絶対何かに巻き込まれたにちがいなか!!あたしの千里眼で…!







キィイイ…ドサッ






話をする一同の背後の扉が開き、なにかが倒れる音がした。

いや、詳しく言えば何者かが倒れる音がした…ということになる。





「…!!ルビー!!」





倒れこんだ人物は、たった今皆が話していた人物…ルビーだった。

体のあちらこちらに深い傷を作り、大量の血を流して倒れている。

そばにはパートナーがいない、ということは彼がカプセルに戻したということだろう。

「おぃ!しっかりしろ!」

必死にルビーの意識を確かめるグリーン。そのそばで救急箱を取ってきたイエローとブルーが心配そうに見つめていた。

レッドはゴールド達とともに布団の手配。この傷では部屋に運ぶとなるとその衝撃で傷口が開きかねないからだ。

「ルビー…!どぎゃんしたと…!?」

「…サ、……ィア…」

「こげになるまで…、なにしとったと!?」

一瞬、ルビーは目を開きサファイアを見たがそれっきりだった。

すぐに目を閉じ、支えるグリーンの腕に体を任せた。

それと同時に、サファイアの目には大量の涙がこみ上げる。いつも助けてくれるルビーを私は救えなかった。助けてあげられなかった。そうとでもいうように、大量の涙が彼女の穂を伝う。

それを見たグリーンはこの場には居合わせなかった「メイプル」を呼ぶように、とクリスタルに告げた。クリスタルはこくりとうなずくとすぐにメイプルの部屋へと向かう。

布団の準備ができたレッド達は、とりあえず他にできることがあるかと探しに行くが、ゴールドだけは何やら肩を震わせて下を見ていた。

「どうしたぁ?ゴールド」

「オレンジ先輩、俺…犯人突き止めてくるっす!」

「あてないでしょ、その前に」

「なくても!!仲間をこんなにボロボロにされて黙っていられるか!」

あー、もうこれは止められないなぁ。とオレンジは頭をポリポリと書いたがゴールドをちゃんと引きとめた。今、ここで勝手な行動をしていいのか。と。

一人で行ってまたルビーみたいにボロボロにされたらこっちも困る。と。

そういうと少しはおとなしくなったようだ。そしてぐっとタイミングにクリスタルがメイプルを連れてきた。

「ちょっと、また子守させる気?」

「当り前だ。サファイアを見ていてくれ。ルビーの手当てがこの状態じゃできん」

「はぁ…私もどるわぁ…」




ガシッ!!




かなり強く服を引っ張られ、首を絞められるメイプル。

なんだなんだ、と後ろを向くと満面の笑みを浮かべるオレンジがいた。

「仲間を見捨てるつもりかぁ?そんなこと、おれがさせないもんね!いけぇ、チー様!うそなきだぁ!」

『いやなこった』

「…あれぇ?」

クチートの嘘泣きで、メイプルの足止めをしようとしたのであろうが、あのチー様だ。やるわけがない。あの性格で嘘泣きをするわけがない。

やれやれ、とメイプルが再び逃げようとすると今度はサファイア自身がメイプルを捕まえた。というよりは、しがみついて泣いていた。

当たり前だ。好きな人がこんなにも傷ついて泣かないはずがない。

しかたないなぁ、とメイプルはサファイアの頭をなでなでしながら気分を落ち着かせる役職へと変わっていく。

「じゃあ、おれも「オレンジ、お前はこっちだ」


ガシ、ズルズルズル…



「ぎゃー!おれもこもりしたーい!」

「あほ、お前の力がで状況をパートナーたちから聞け」

「それはイエローに任せりゃいいじゃん!」

「僕は治療に専念するから、オレンジの力が必要なんだよ?」



しぶしぶとオレンジは医療側につくが、まずカプセルからポケモンたちを出さないといけない。一番話を聞いてくれそうな子を選ぶよりは全員出した方がいいだろう。

レッドがルビーのカプセルをとり、パートナーたちを出した。

すると彼らはすぐにオレンジのもとへ行き、なにかを伝えようとしていた。

だが、ルカリオ…RIRIだけはオレンジに近寄ろうとせず、ルビーのそばに付き添った。

その理由として、彼はまだ主人以外に心を許したわけではないから。





『ルビーは、ある人と出会ってしまったんだ』

『ある人は、ルビーを欲しがったの』

『でも、ルビーは断ったわ』

『そしたらその人、ルビーに攻撃を仕掛けてきたの』

『しかも5人がかりで。大人の男がルビーを囲んだわ』

『私たちをかばうように、ルビーは私たちをカプセルに戻した。そして、袋叩きにあったの』

『そしてとどめに、相手は知らないだろうが古傷に向かって攻撃をしたのだ』



ZUZU、COCO、NANA、POPO、MIMI、RURU、セレビィの順に語りだす。

それを聞いてうんうん、とうなずくオレンジ。周りにいたレッド達もなるほどとうなずいた。

「事情はわかった。その男が気になるが…あとでメイプルにでも調べさせよう」

「そうね、情報屋だものね」

「だけどさぁ、ルビーがほしいっていうならどうしてこんなに傷つけたんだ?よくよく考えたらさ。誘拐とかそういう手もあったんじゃねぇ?」

「それほと相手がバカってことじゃないかな」

つらつらと一言ずつかわしながら、ルビーの手当を進める一同だがふとレッドが気がついた。

レモンのやつどこ行った?と。

彼なら少しでも症状を和らげることができるじゃないか。と。

「あぁ、レモンならあのバカシルバーと出かけていったわよ。杖を買いに行くんですって」

サファイアの子守をしながら、メイプルが告げた。

こんなに遠くにいるのによく聞こえるな、地獄耳。と呟いたグリーンは再びルビーに目線を落とした。

さっきよりは、顔色がよくなってきた。止血に成功したのだろう。

「よし、後は安静にしましょ」

「これなら部屋に運んでも大丈夫だよな?…おーぃ、サファイア」

レッドがサファイアを呼ぶとサファイアはビクリ、と肩を震わせてレッドの方を見た。

まだたくさんの涙を浮かべる瞳にレッドは優しく微笑んだ。

「ルビーを部屋に運ぶから、手伝ってくれるか?」

「…!はい!メイプルさん、ありがとうございました!」

いっぱい慰めてくれてありがとう。サファイアはそういうとレッドの方に駆け寄った。

ほぅっと安心したメイプルも立ち上がり自室に戻ろうとした。



が。




「お前は別件で用がある。まだいろ」





というグリーンの声がした。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。







あれ、僕の部屋?




ルビーはやっと目を覚ました。

頭がまだがんがんする。血の流しすぎだと彼はすぐに理解し周りの状況を把握することにした。

手が温かい。と目を横にずらすとうつらうつらと眠っているサファイア。

そして奥の方にはグリーンの姿も見えた。

声を出そうと試みるが、かすれてうまく声が出ない。それに気づいたグリーンがゆっくりとルビーに近づいた。

「大丈夫か?」

その一言だったが、ルビーにはうれしかった。

何日も聞いてないような、こんなやさしい声。あの悪夢から解放されたんだと実感した。

いとしいサファイアの寝顔がすぐそばにあることも、うれしかった。

「えぇ……心配かけてすみません…」

「まったくだ。なぜ一人でいった?俺たちがいるのに」

「…僕には、どうしても知りたいことがありました。まだ、グリーンさんにもサファイアにも話していません。それを解決したかったんですが…、無理でした。逆に相手に…」

「わかった、それ以上話すな」

グリーンは掌をルビーの目の上に乗せた。

泣きそうな顔をしていたのだろう、なかなかその掌を引くことをしなかった。

「もう少し眠れ。ここで俺と会話したことを誰にも言うな」

「…はぃ」


再び、ルビーは目を閉じた。


そして今度はいい夢を見ているであろう。笑顔が見られる。

その姿を確認したグリーンは静かにその場を立ち去った。




ーーーーーー数日後




ルビーもだんだん回復してきたころ、部屋にはサファイアとゴールド。そしてメイプルが来ていた。

まだ十分に体を動かすことができないため、ベッドの上でルビーは上半身を起こした状態だ。

「はい、リンゴ切ってきたとよ」

「ありがとう、サファイア。食べさせてくれる?」

にこっとわらうルビーにサファイアは「自分でたべぇね!」というが、ルビーが何度もお願いするためにしぶしぶと林檎を食べさせていた。

そんな光景を見たゴールドはニッコニコと笑い、メイプルはぶすーっとした顔でその光景を見ていた。

「いいっすねぇ、愛!!愛っすよぉ!!」

「あたしは、見せつけてるようにしか見えないんだけど……!」

まだ、ルビーを傷つけ狙ってきた団体を突き止めることができていない。メイプルもシルバーとともに必死に情報を集めてはいるが、全くと言っていいほどの「無情報」ばかりである。

息抜きにルビーの部屋に来た。ということである。

「ルビー、なんかもってきてほしいもんある?」

「うーん、そうだねぇ…本が読みたいな。なんでもいいから」

「!うん!すぐもってくるけん、まっとって!」

サファイアはルビーが食べ終えたのを確認し、食器を持って退室した。

それをめで追うゴールド。ふっと笑うメイプル。

「あんたもさぁ、手動くなら自分で食べなさいよ」

「甘えられる時に甘えとくんです。じゃないと、サファイアもやってくれませんし」

「俺、満足だぜ?ルビーとサファイアってここにいる人たちで一番らぶらぶだからよ、こう…応援したくなっちまう♪」

がんばれよぉ~?と笑うゴールドは、そのあとクリスタルに呼ばれ退室してしまったが、メイプルはしぶとくルビーの部屋に残っていた。

「いい加減、出ていってくれます?」

「いやよ、あんたの監視してんだから」

「サファイアが戻ってきたら出ていってください」

「やましいことでもすんの?」

「まっさか、二人っきりの空間を作りたいんですよ。心配させっぱなしでしたからね?」

うらやましいでしょう?という黒いオーラを見せつけるルビーに、メイプルはついに…








「こんのバカップルどもがっ!!さっさとちってしまぇええええええっ!!」








と叫んでしまったのだった…。







ーーーEND---



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: