お魚になりたい




            「あの・・・望みを満たすことが私の悦びです」

                濁った空は 一瞬止りました

                半分だけ顔を覗かせたお月様が
             一段と眩しくあたりを鎮めようとしています

                    「だめ?」

                 海にできた月の道を真っ直ぐ見て 
                  導かれるのを待っています


              星たちは 知らん顔でおしゃべりを続けます

                 紅いお魚は 海の水に晒されて 
                  やがて蒼く染まって行きます

               月の道に導かれたたった1匹のお魚は
                銀色の鱗で身を纏い一人旅立ちます

                  「そのお魚になりたいです」

                 たくさんの試練を乗り越えるたび

             お魚は悦びに満ちた銀色の涙を空にこぼすでしょう

               流れ星が通ったら それはきっと私の涙です



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