うつ病と二人三脚

うつ病と二人三脚

作家庄司薫との出会い



作家庄司薫との出会い

庄司薫氏との出会いは、今をさかのぼること約34年前、中学3年生になる前の春休み、風邪で寝込んでいたぼくが、おふくろに本を買ってきてくれと頼んだことに始まります。

ぼくの母は世にいう教育ママタイプではなく、職も持っていたため、退屈そうにしているぼくを気づかって、必死で本屋の棚を探したのでしょう、その晩に「赤頭巾ちゃん気をつけて」という、やがて中学3年生になるぼくにはいたって幼稚な(と、その時は思った)タイトルの本を買ってきてくれたのです。

帯に『芥川賞受賞』と書いてあるその本を読み出したぼくは、簡単な言葉で書いてあるにもかかわらず、なかなか内容が理解しにくいその本に夢中になりました。それはそうでしょう、「赤頭巾ちゃん気をつけて」は高校3年生を主人公にした小説で、当時、受験生のバイブルとまで言われていました。作者の庄司薫氏が、10年間にわたり『青春とは何か』を考えぬいて上梓した作品です。風邪でもうろうとした中学3年生には理解できるはずがありません。しかし、その後、34年間の付き合いになろうとは、その時は考えてもみませんでした。


「薫クン」シリーズについて

薫クンシリーズとは、ぼくがこよなく愛する高校3年(そして浪人)の薫クンを主人公とする以下の4部作です、

「赤頭巾ちゃん気をつけて」(初版/昭和44年8月、以下、『赤』と省略します)
「さよなら怪傑黒頭巾」(同/昭和44年11月、以下『黒』)
「白鳥の歌なんか聞えない」(同/昭和46年2月、以下『白』)
「ぼくの大好きな青髭」(同/昭和52年7月、以下『青』)


主人公である薫君の幼なじみの由美っていう女の子にあこがれたり、はがした爪を踏んでしまったちっちゃな女の子とのエピソードなんかに、相当猛烈にまいってしまったのです。

以来、立て続けに黒、白を読破し、青の出版をまだかまだかと待ったものです。

高校、浪人、大学時代と、この4部作をはじめ庄司薫氏(福田章二氏)の一連作品は、ぼくの青春時代のバイブルでした。しかも高校1年の時にはこのシリーズを課題に、読書感想文なんかを書いてしまい、今思うと、ギャっと言って飛び上がりたくなります。

とは言いながら、あらためて赤・白・黒・青の読書感想文を書いてみたいと考えました。つたない文章ですが、皆さんのご感想をお待ちしています。


散歩学派 こばやし



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