忘れられた本棚

忘れられた本棚

第1話~最初の戦い~


~最初の戦い~




フラットと言う孤児院に住む人達…

そこの人達は親切で…1日泊めてもらった。

「こんな小さな体で…この剣は使えるのかい?」

レイドの質問に少し微笑んで見せてから小さく頷いた

机に並べられた食べ物は、急に増えた客の数に対応しきれないと言う感じだった

迷惑…かけてる…私だけでも出て行った方が良いかな?

リプレに食べ物を取ってもらったが変に意識してしまって、食が進まなかった

「やっぱり…美味しくないかな?ごめんね」

「そ、そんな事無いよ!お、美味しいです…」

急に大声を出した所為か全員が押し黙ってしまった

視線が自分に集まっている事でさらに恥かしくなった

「チョコちゃんは天使なの?それとも、犬なの?」

この質問…答えにくい…でも、元は天使なんだから…天使なのかな?

「えっと…天使犬です!!て、天使犬…で、す」

「天使イヌ?なに?それ…」

「えっと…天使と犬のハーフ…」

みんなは顔を顰めてジッと見つめていた。

何だか…気まずくしちゃったかな…ギャグのつもりなのに

リプレはジッと顔を顰めてこっちを見ていた

「お父さんやお母さん…居たの?」

やっぱり…この質問って来るんだ…元々作り物の自分に親なんて居ないのに…

自分の事を知ってる人が居ない…

寂しい…励ましてくれる人に会えない…孤独

チョコは黙り込んでご飯を口の中に押しこんだ

喉に詰まりそうになって、目の前が水彩画に水を落したみたいに滲んで見えた、そのまま立ち上がった

「ご馳走様でした…美味しかったです」

にっこりと笑ってから自分なりの早さで玄関の方向に歩き出した

何でだろう?凄く…すごく悲しかった…今まで味わった事が無い孤独感

「ぅ…」

少し声が漏れた涙がたくさん溢れてきて、今まで強がっていた自分がとても寂しくなった

「おい、待てよ…何処に行くんだよ?」

刺があるような声…けど、何処かに優しさが隠れていそうな声だった

「か、帰る…みんなに…迷惑…かけたくないよ…」

ドアのノブを探して手がドアを所構わずぶつかっていた

「帰るところ…あるのかよ?」

本当に待ってるのかな?みんなは…どう思うのかな?寂しいから…困ってる人を置いて来って言ったら…

「休んで行けよ、帰る方法が見つかるまで…」

やっと…自分の居場所に出会えた気がした…

この世界での居場所は…ここだよね…ここで…良いんだよね?

「ガゼルさん…私…ここに居て…良いんですか?」

しゃっくり混じりの声でチョコが俯きながら言った

「今追い出したら…俺の命が無いんだよ」

リプレに殺されるからな…と向こうに聞こえないように声を落としてつぶやいた

「ふぇ…な、泣いて…良い…のかな?」

意地を張って強く見せようとしてた自分がとても、悲しかった…

チョコはガゼルに飛びつくとそのまま大声で泣き出してしまった

嬉しいような安心したような…不思議な気持ちだった



一晩過ごしてみると、不思議と昔から知ってたような気がして楽しかった

一緒に居た4人はガゼルに自分が召喚師では無い事を伝えないと…と言って何度も言葉を考えていた

その光景が何とも可笑しくて笑ってしまった。

「チョコはもう誤解は解けてるんだよな?」

ハヤトが椅子にもたれながらチョコの方を向いた

「わかんない…けど、何も言われなかったよ?」

良いな~…と溜め息混じりに言った後三人の方を向いた

「気になったんだけど…テンシイヌってなに?」

ナツミの笑いながらの問いかけについ苦笑いをしてしまった

「笑えると思ったんですけどね…みんな静かになっちゃうから…」

「え!?嘘だったんですか?私…ほんとの事だと思ってました」

「ちなみに私は気付いてたわよ?リプレが1番信じてたけど」

「もう良いじゃん!早くガゼルを何とかしないか?あんな言われ方してたらさ…かなり辛いし…」

ハヤトの声にアヤとナツミが小さく息をついてから向き直った

「拗ねてるだけと言う事だけどな…」

トウヤは、昨日とは違って優しい顔になったような気がした

「あ!チョコ!ちょっとこっちに来てくれないかな?」

台所から顔を覗かせたリプレが手招きをしながらにっこりと笑った

呼ばれるままに台所に入ると、朝ご飯の皿などが机に重ねて置いてあった

「昨日はごめんね!本当に…ごめんなさい」

「え?いえ…全然良いですよ。気にしないで下さい」

「よかった…ありがと…」

リプレはいつもこのフラットの家事全般を任されていて、全部1人でやっている

一言で言うと…かなり凄いと思う…

「あれ?ガゼルとは話をつけたんだ…ほっとけば良いのに…」

窓から見える中庭の五人を見つめてリプレが呟いた

「リプレさん?みんなの服…買わなくても良いんでしょうか?変ですよ?あの服…」

「そうなのよね…けど!大丈夫、ちゃんとお金は預かってるから」

リプレの自分のポケットをパンパンと叩いて見せた

そう言えば、この街の事はまったく知らない…見た事も無い…散歩したいな…

「あ!私…少し散歩してきます!迷子にならない程度に」

「え!?大丈夫?今から買い物行くんだけど…」

「お昼寝が出来る所を見つけて寝てくるだけですから」

「そう…じゃあ、チョコにも何か買ってきて置くね!」

台所から出て家から外に出た、天気も良くて、温度もちょうど良いくらいだった

思いっきり背伸びをしてスラムの中を歩き出した

道端に座ってる人がこちらを見てヒソヒソと言葉を交わすのが少し嫌だった

そうやって色々な所を探検してみた、寝心地が良いのは、川縁と公園のベンチ…

頭の中にそれを記憶させて立ち上がった頃にはもう辺りは赤く染まっていた

ゆっくりと過ぎて行く時間…それが凄く嬉しくて、慌ててた時よりのんびりできた

「あれ?どっちが…家だっけ?」

辺りは少しずつ闇の中に溶けていった…



「ねえ!チョコが帰ってこないけど…どうしてだと思う?」

リプレも流石に心配になってきたらしく台所から顔を覗かせた

「まさか…オプテュスの奴等に捕まったとか…」

「そんな…」

机に料理を並び終えたリプレが落ちつかない様子でドアの方に駆け寄った

「チョコは強いからさ…大丈夫じゃないか?」

「戦い慣れてる動きだったからな…そんな簡単に負ける事は無いと思うが」

ハヤトの問いにレイドが顔を顰めながら答えた

「どうせ迷子にでもなってるんだろうよ…探してくるか」

ガゼル達が立ち上がろうとした時、玄関から叫び声が聞こえた



「せっかく家まで送ってやったんだ、礼の1つ位言えないのか?」

「う…ぐ…」

口に当てられた布が邪魔で思うように声が出なかった

わざわざ手をロープで縛っているのだからきっと重要な切り札のつもりなんだと思う…

家の中からみんなが出てくるのを見ると、いきなり首に剣を突き付けてきた

「バノッサ!!チョコ…」

「ん!!んんーー!!」

手が解ければ良いんだけど…剣を抜く時間があれば…

「お前等…昼間は俺様の子分達を可愛がってくれたらしいな」

ガゼルの方に目で合図をしてから縛られている手を少し見せた

小さく頷いてから武器を構えた

全員が武器を構えたのを見てバノッサがさらに強く首に剣を押しつけてきた

「チョコ!!」

ガゼルの投げたナイフがロープを断ち切ってチョコの腕に刺さった

「んぐーーー!!?」

転んでしまいそうな痛みに耐えながらバノッサの腹を殴りつけた

怯んだ隙に腕から抜け出してみんなの所に走った

口から布を取ってもらった時にやっと正気に戻った気がした

「腕に刺さったよ!!血が出てるよ!?」

ナイフを腕から引き抜くのを見てナツミが小さく声を漏らした

「お前等…絶対に許さねえ…」

バノッサが腹を押さえて立ち上がったのを見て背中の剣を抜いた

「デカ…いな…」

レイドの剣よりも大きな剣…今まで大きいとか言われた事は何度もあったが

重みはまったく無い…だから力があるわけじゃない…と言うか…鞘より大きい事に疑問は無いのかな?

「ガゼルさん…後でちゃんと手当てして下さいね…」

手から流れる血が痛みを誘っているようだった



「認めねえ…認めねえぞ!!特にチョコ…次に合ったら…ぜってー殺す…」

どうして私を指定するのかな…バノッサ…それにしても…

「白い…って言っちゃ駄目だったのかな…」

「あ!それより…手…大丈夫?」

その言葉でやっと痛みが戻ってきた。涙がこみ上げてきたが何とか食いしばった

「う…うん…」

バノッサ達は女子供にも容赦はしないと言う事がわかった。

だから、この家を4人の不思議な力で守って欲しいと言う事だった

「チョコ!そんなに暴れないで!」

「消毒…嫌!やだ!」

アヤとナツミに抑えられながら傷口を消毒して包帯を巻いてもらった

「い、痛く無かったよ…あ、あの位平気ですよ…」

ガゼルにからかわれたのが少し嫌だった…

その夜はなかなか眠る事が出来なかった、部屋を抜け出して、2回の物置の窓から屋根の上に出た

そこには先客がいて…少し気まずかった

「チョコ…眠れないのか?」

トウヤが優しい声で言ってくれて、それで少しだけ安心した

「うん…手が痛くって…」

傷口に巻かれた包帯は殆ど血で黒く染まっていて血が止まってるとは思えなかった

「チョコ…どうして捕まったんだ?」

ずっと気になっていたんだろうな…と思う言葉を投げかけられた

「あ…いえ…南スラムって何処にあるんですか?って聞いたら…」

「なるほどね…だけど…これからは気をつけろよ?」

「うん!トウヤさんも気をつけてね!」

そっか…心配してくれたんだ…優しい人なんだね…

心の中でトウヤに向って呟いた。

「さ、そろそろ寝よう…怪我も寝ないと治らないしな」

今日、久しぶりに人質になってみて、思ったことは…

ドキドキするからもうやだ…





はい!えっと…チョコちゃんを暴走させてみました…

色々な人の小説を読ませて頂いたところ…

主人公は可愛いと言われて気付かない内にみんなに好かれてしまう…

と言う感じですね…といっても…チョコは外見13歳の設定ですし^^;

恋愛とか…無いと思うんですけどね…はい…^^


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: