忘れられた本棚

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第8話~異界の迷子~


~異界の迷子~







暗くて重い空気が部屋中を包んでいて…かなり辛い

ちょこが尻尾を振る元気が無くなるくらい4人は落ちこんでいる様だった

「えっと…元気出して下さい~」

色々と考えたが最終的に思いついたのはこの言葉だった

深く考えれば考えるほど自分とはかけ離れた言葉に変化して

それが言葉として出る事が無かったためさっきの言葉が出たと言う事だった

「ありがとう」

「元気が出たよ」

と笑顔で言ってはいるがまったく元気が出ていないようだった

正直こう言う空気は苦手でしょうがなくて逃げ出したくなってくる

迷子になるのが嫌だからあまり外に出ようとは思わなかったが…

「うん…」

目を伏せて小さく頷いてみた

こっちまで元気が無くなってきて悲しい気持ちになってくる

「はい!ジメジメしないで!!カビが生えちゃったら嫌ですからね」

リプレの言葉に4人が一斉に顔を上げて椅子から立ちあがった

「気晴らしに町を散歩でもして来たら?」

「ありがと」

4人は少し笑顔が戻った顔で言ってから外に散歩に行った

リプレは溜め息をつくと箒を持ってきて掃除を始めていた

「チョコは何処かに行かないの?どこにも行かないなら掃除を…」

「あ!外の掃除をしますー!」

「じゃあ、お願いね」

リプレが掃除をしている居間を離れて玄関の方に向った

玄関の扉の近くに立て掛けてある箒を手に取った

小さな木の枝が束ねてあるような箒だが

ガゼルが庭で作っていた物に似ているのにふと気がついた

箒の柄は、何処にでも落ちてそうな長い木の棒で

売ってる物ではないと言う事が良く判った

その箒を持って外に出ると少し暖かい風が駆け抜けて行った

スラムの町はかなりゴミが落ちている

汚い方が掃除のしがいがあるもんね…うん!




「うん!結構綺麗になったかな?」

孤児院の周りは結構綺麗にする事が出来た

壊れた壁などは綺麗に出来ないが

ゴミなどはまったく落ちていない状態だった

「うわ!これってチョコがやったの?」

道の角から出てきたナツミが叫びながら走りよって来て

思いっきり抱き締めてきた

どうしてそこまで感激するのか良くわからなかったが

それに続いて3人がそれぞれ歓声をあげていた

「かなり汚かったから…いつか掃除しようと思ってたの」

ナツミが満面の笑みで言った後、頭を撫でてくれた

尻尾が忙しく動いていて、アヤとハヤトが面白そうに笑っていた

「耳が生えたら本当に面白そうなのにな…」

「そうだね」

ハヤトの後ろでじっと見ているトウヤが笑いながら言った

4人と一緒に家に入ることにした

まだゴミが残っていたが、もうご飯時だと言う事で今日の掃除は止めた

お昼を食べた後、リプレに新しい任務を与えてもらった

その任務は…

「子供達と一緒にサーカスを見てきて欲しい」

ということだった

その子供達の中に自分が入っていたことに少しだけショックを受けつつ

サーカスと言う物を見る事ができるので少し嬉しかった

公園には既に大きなテントが張ってあり

その中に入ろうとする人達が列になっていた

その横で屋台を出してアイスやジュースを売っていて

少しでも離れると迷子になってしまいそうだった

「ねえ…チョコの首の鈴って…もっと音が鳴らないと意味ないね」

「うん…でも、私は全然良いですよ。綺麗な音だから…」

ナツミが、そうだね。と微笑みながら言ってから

チョコの手を引いてテントの中の席に連れていってくれた


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