無題の書き込み 泡の一月

無題の書き込み 泡の一月

rumor(ハセヲさんとアトリ。アトリ視点。)




草原タイプのフィールド。天気は晴れ。
今、このエリアにいるのはハセヲとアトリ(私)だけだ。
収集型のエリアだったため、とりあえず宝箱を開けて回り、ミッションはクリアした。
獣神殿でのアイテムがイマイチで、彼はブツブツと悪態を付きながらフィールドに戻った。
射るような晴天に目を細める。
このエリアに彼を誘ったのは私だった。

ハセヲの後に獣神殿から出ると、彼はカオスゲートより少し離れたところに腰を下ろしていた。
後ろに手を付いて、空を見上げている。
ハセヲはいつも、ミッションをクリアすると直ぐタウンへ戻っていた。
急いているのか、せっかちなのか。多分少しでも早く、多くのエリアに出て、少しでも早くレベルを上げたいからなのだろう。
(『リアルなのはプレイヤーだけ』・・・)
彼にとって、必要なのは強くなるための「時間」であって、人と話したり、グラフィックを楽しんだりする「時間」ではない。
分かっていても、それは自分にとって寂しい事だった。
しかし今。彼にとってもう何も得るモノのないこのエリアに、ハセヲは留まっている。
フィールドに腰を下ろて、座って、いる。
珍しい、と思う。
「ハセヲさん・・・?」
声をかけても、振り返る気配はない。
(AFKしてる・・・?)
そっとハセヲに近づいて、隣に座る。
横から覗くと、隣に来た私を見ることもなく、空を睨んでいる。
「ハセヲさん・・・どうしたんですか?」
感情のある目で空を見るなんて、いつものハセヲなら絶対にしない。だって、空はだだの・・・文字の配列で作られたグラフィックだから。
返答は無く、AFKだろうと、私はそのまま隣で待つことにした。
視線を巡らせれば、ハセヲの奥、薄のような草がさらさらとゆれている。
海を挟んだ島に二羽の小鳥が留まっている。飛び立つ。

「ーーー電信柱が歩くんだ」
「え・・・な、なんですか?ハセヲさん?」
唐突なハセヲに戸惑った。
ずっとそこにいたのだろうか。AFKではなくて、ずっと、空を見ていた・・・?
見れば、彼は感情の読めない目で、飛び立った小鳥を追っていた。
「夜中に電信柱が一斉に歩く・・・お互いの位置をそれにつれて一つずつずらしていく。それだけだ。」
ハセヲがThe World以外の事を話してくれるのが嬉いのに、真意が分からず、返答に困った。
「・・・都市伝説、ですか?」
「まぁ、そうだな・・・
『火のないところに煙は立たない』・・・都市伝説を語る時の決まり文句だ。
こう言われると、そうかもしれないと思わされる・・・納得させられる。真理だよな。
ーーーだったら。火すら起きないような、利害も、意味すらもない『これ』はなんなんだ?
俺たちは・・・ただ『The World』と言う名の『都市伝説』に踊らされているだけなんじゃねぇのか・・・?そう思う時があるんだーーー」
「ハセヲさん・・・どうしたんですか・・・?」
饒舌なハセヲがとても不安だった。
いつもなら、こんなに話してはくれない。ここに座ってはいない。
「噂、都市伝説ーーー『生理的恐怖を誘うある種の怪談』・・・
『誰が何処で』、つまりTPOが曖昧なせいで妙な現実感を持つ」
不安そうな、どこか悲しそうな顔で、ハセヲは話し続ける。
「俺は、信じようと思った事なんて一度も無い。けど、『ハセヲ』は信じずにはおれない・・・
ただの噂にしてしまいたいんだ。
自分が係わっているわけないと、俺には関係ない事にしたいんだ。
そう思うときがあるんだ・・・そんなことできるわけないのに。
ホント、実は全部嘘なんじゃないかって思うときがあるーーー三爪痕、未帰還者、碑文使い・・・
全部が『The World』と言う都市伝説・・・ただの噂、ただの嘘って。
俺は今みたいにただ、こうやって『ここ』にいただけなんじゃないかって。
これは『リアル』で・・・嘘だって思いたいと思った時点で、リアルだって知って、分かってるのに・・・!!」

視線が下がった。肩が震えた。泣いているのかもしれなかった。そしてそれは、彼にとってのーーーハセヲにとっての涙が既に存在していなかったとしてもだ。
そんな彼が、見ていられなかったから。
ぎゅっと、ハセヲを抱き寄せた。驚くほど抵抗はなかった。
「ハセヲさん!大丈夫です・・・!!ハセヲさんは独りじゃないです!!
ハセヲさんの隣には今、私がいますから・・・!!」
『アトリ』ではどうにもできない。『ハセヲ』を助けられない。
彼がこんなに悲しんで、不安がっている理由を私は知らないから。
それが、彼に対して、とてもひどいことに思えた。
涙が出た。私には何もできない。
ただ震えた肩を抱き寄せることしかできなかった。










******アトガキ?
強制終了・・・?強制終了ですorz
真面目な?文章を日常的に書かないので・・・(言い訳)
語彙も文章力も足りませんから・・・(言い訳)
・・・とりあえず少し補足をば。
アトリ視点、アトリとハセヲさんです。
ハセヲさん何故か精神が不安定。それを励まそうとして、でもどうしようもなくて傷付くアトリちゃん。
それだけです。ごめんなさいそれだけなのに・・・なんだか重い・・・
(2006.09.04九日)





















気付いたら補足を書きたく(語りたく)なっていたのです…(ナンナンダ)

先ず、今更ながら2017年に電信柱ってあるのかしら…?(それ以前に題名が合ってない…)
地震大国な日本だからさすがに埋めたりはしないとは思ってるのですが…;十年の変化ってどれくらいなのでしょうか。

…「電信柱が歩く」という都市伝説(なのかどうかも危うい;)を知ってらっしゃる方、いらっしゃいますか…?
私は伯母にこの話でかなり脅かされたことを覚えているくらいなのですが…
ほんと「電信柱が歩く」というだけの話でどこか怖かったのかも今となってはわかりわせん^^;(ほんとにあるのかなこんな都市伝説?…)

で、ハセヲさんはただ話の切口としてこの話を出しただけなのです。「自分でもまとまってないとは分かってるけれど誰に話してしまいたい話」の切口として。
…ハセヲさんはもっと自分に自信のある強い人ですよ?
信じるモノのために一途に突っ走れる人ですよ?
こんなにウジウジしてるのは偏に九日がマイナス思考の廃人だからです…orzゴメンナサイ特にハセヲファンの方すみません…m(_ _;)m
(2006.09.07九日)

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