テツandトモの自己紹介の歌の一部に滋賀県を歌った部分がある。もちろん、はなわの『佐賀県』から拝借したものだ。
『佐賀県』の「S・A・G・A 佐賀」のメロディで「S・HI・G・A 滋賀」と歌う。最初の「A」のところに「HI」と無理矢理押し込む形で忙しい。
その忙しさが好きだ。ヘボン式だと思ったら笑えてきて、「ヘボン式! ヘボン式!」とツッコんでみたが、友達にこのことを話しても理解が得られなかった。どうも世間的には、「S・HI・G・A 滋賀」と歌って「ヘボン式!」と叫ぶのはなんのツッコミにもならないようだ。
せんたくばさみの「笑ったヤツが1,3,5!」「奇数!」というのとは違うんだと思ったら何か孤独になってきた。
「S・A・G・A」に合わせて「S・I・G・A」でいいところをわざわざヘボン式にするところが効いてると思うんだけれど、「S・I・G・A」ってやったら多分どこかからツッコミが入るんだろうな「滋賀は『SHIGA』ですよ」って。
ローマ字の表記はヘボン式と学校で習った方式がある。全くの憶測に過ぎないんだが、世間一般に認知されているのは学校で習った方式ではなくて、SHIとかCHAとかのヘボン式なんだろう。
そんなこんなでローマ字についてひっかかりを覚えていた今日、仕事をしていたらまたローマ字で引っかかることが出てきた。
守秘義務があるのでその内容については具体的に語れない。 比喩で説明しよう。
あなたの目の前に、明石家さんまという名前をローマ字で書いたステッカーがあると思ってほしい。ちなみに外国かぶれ方式で名前の方を先に書いてある。
そんなものが実際にあるかどうか、それ自体がグッズとしてアリかどうかということはとりあえず置いておいておく。
ある人があなたに、「これには何と書いていますか」と尋ねた。 あなたは「サンマ アカシヤと書いてます」と答える。
さて、この会話をテープに録音したとしよう。もちろんここには書かないが、その前後になんらかの会話があるのだ。
そのテープの会話をその場にいなかった人が聞いて、聞いた言葉をワープロソフトに入力していく。(録音反訳という)
あくまでたとえなので、そんな会話をわざわざ録音して人に書き起こさせる必要があるのかというツッコミは置いといて。
さて、最初にこのテープを聞いた人ステッカーに関する部分を、こう入力した。
A:これには何と書いていますか。B:「SANNMA AKASHIYA」と書いてます。
次に、最初の人が入力したデータを開いて、もう一度テープを聞きながら聞き間違いや用字の間違いをチェックする人がいる。
彼女も(便宜上女ということで)会話の場にはいなかった。
そして彼女は入力済みデータを見ながらテープを聞き、あやうく聞き流すところだった「サンマ アカシヤ」のところでかろうじて引っかかった。
慌てて彼女はクライアントから送られてきた封筒をひっくり返し、該当のステッカーのコピーか、あるいはこのステッカーに書いてある文字についてのメモが入ってないか確かめる。
しかし、ない。
で、悩む。
そのステッカーの上に確実に「SANNMA AKASHIYA」と書いてある保証はどこにもないから。
この時点で、「先方に電話して確かめるかどうか上司に指示を仰ぐ」のが賢明なんだが、電話でこの事態を上手く説明できる自身のない彼女は、取りあえず一番可能性の高い表記を考える。
「ん」は「ローマ字入力」なら確かに「nn」だが、ローマ字表記の場合は「n」1つでよかったんじゃなかったっけ?
名前と姓の間は空白でいいんだったっけ。「.」じゃなかったっけ。それはイニシアルのときだけか?
「し」だって「si」と書いてあるか「shi」と書いてあるかは確実には言い切れないぞ。
考えていても仕方ないので、インターネットで検索する。ローマ字について親切に説明してあるサイトがすぐに見つかった。実はローマ字の表記は二つなんてもんじゃなく、3つ以上数の数えられない彼女には数え切れないほどあった。彼女はとりあえず、ヘボン式と学校で習った方式らしい方式に絞って表記を見ることにする。
「ん」は「nn」ではなかった。でも、確実に「n」と言い切るにはまだ早かった。「し」を「shi」と表記するのはヘボン式である。ヘボン式の場合、「ん」の次に来る子音が「b,p,m」の場合「n」ではなく「m」になる、とある。
さらにややこしいことに、すべて「n」で書くこともあるのだ。
「SAMMA」だ、という保証もない。でも「SANMA」だという保証もない。
てか、そもそも全部大文字かどうかも定かじゃない。名前って頭文字だけ大文字で後は小文字じゃなかったか。
でも、ものはステッカーだしな……全部大文字という可能性も……。 それに、名前と姓の間はどうなってるんだ。調べる……これもいろんなパターンがあるよ……。
軽く思いつくだけでも、これだけある。
「SAMMA AKASHIYA」「SANMA AKASHIYA」「SANMA AKASIYA」「Samma Akashiya」「Sanma Akashiya」「Sanma Akasiya」
書かないけど実はもっとある。
この問題のややこしいところは、あくまでも「どう書くのが正しいか」ではなくて、実物にはどう表記してあるかということだ。いろんな方式が適当に混じってる可能性だってあるから、「Samma Akasiya」だって絶対ないとは言い切れない。 それは、実物かそのコピーか、せめてどういう綴りで書いてあるかを見た人に聞かないとわからない。
逆に言うと、先方がほんのちょっと手間を掛けて、コピーの1つも添付してくれていたら、彼女は何も悩む必要はなかった。
結局先方に資料を送ってもらうか、空白にして修正が返ってくるのを待つかしかない。(てか、仕事なんだからぐずぐず言わずにまず上司に確認を取れ。)
とりあえず、最初に入力する人が何の疑いもなく「SANNMA AKASHIYA」と入力してきたことに対して、せめて「はっきりしませんがとりあえずこのようにしました」の一言くらいほしかったなと、彼女は思った。
そのおかげで、ローマ字という奥深い世界の一端に触れることができたんだが……。
そうして彼女は「S・HI・G・A 滋賀、S・HI・G・A 滋賀、これが~悲しい滋賀」と歌ってみるのだった。
だれもツッコんでくれないのでもっと悲しくなった。
[参考サイト:≡‥≡ハル猫ウェブ様http://www.halcat.com/index.html]
追記:ちなみに、その仕事は先方から修正が帰ってくることなく完了した。正解はどれだったんだ……。

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