マイペース70代

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映画「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」クリント・イーストウッド監督



私は、基本的に戦争映画は苦手である。
戦闘シーンやむごいシーンは目を開けて見ていられないという臆病者なのだ。
この映画も、戦争とはこういうものなのだということを描いているのだから、
当然そうだろうと覚悟はしていたのだが、想像を裏切らないシーン続出。
でも、あれが戦争というものなのだ。
最前線で戦う兵士達には勝者も敗者もなく、ただ犠牲者のみ・・。
そして、もっとも悲惨な体験をして、その苦しさを終生背負って生きた人たちは、
何も語ることができぬままにこの世を去っているのが大半だ。
私の母の義兄は、確かサイパンで闘い、帰国後マラリアの再発で亡くなったのだが、
「地獄だった。話すことはできない」と言っただけだと聞いている。
もう一つの「硫黄島からの手紙」も、ぜひ見ようと思う。
この時期に、この映画が問う意味は大きいと思う。


「硫黄島からの手紙」

渡辺謙(栗林忠道中将)が主役だと思っていたら、二宮和也(西郷:パン職人の召集兵)が主役だったような・・。
すでに見た人から、「ハンカチなしでは見れないよ」と聞いていたのだが、
そんな期待感(?)が邪魔をしたのか、私は泣くことはできなかった。
「父親達の星条旗」を見ていてもなお、戦闘の時間的経緯を感じることが難しかったし、
どこがとは指摘できないのだけれど、それぞれの俳優の演技や状況設定などに、微妙な違和感を覚えてしまったのだ。
だが、アメリカを知っていて友人もいる栗林や西中佐(伊原剛志)の心中を想像したり、
戦争には行きたくなかったのに赤紙一枚で召集された庶民の中には、多分、西郷のような人もいたのだろうと思う。
上官の性格や意志一つで、生命までも左右されるという軍隊の実態については、
今までに色々な人の話や手記を見聞きしていたので、戦争に行って復員できるということは、
様々な条件の絡み合いの中での「運」なのだろうとも。
また、中村獅童が演じる中尉は、結局は捕虜となって復員したのであろうか。
そのような人たちも沢山いただろうし、それを責める気持ちは全くないけれど、
多分そのような人は、自分の体験を正直には語らないことだろう。
戦争体験の多くは、そのようにして当事者からは語られることなく、歴史の影に消えてゆくのだろう。

結論として私としては、「父親達の星条旗」の方が感情移入できたし、感動もしたのである。
これは多分、監督自身が「父親達の星条旗」の方が描きたいことが明確であり、
その分だけ丁寧に製作したのではないだろうか。
彼にはやはり、日本軍の指揮官や兵隊達の気持ちには、根っこのところで共感できにくいのではないだろうか。

それでも、この二本の映画を通して、戦争というものを立体的にあぶり出そうとした監督のねらいは
とても貴重なものだと思う。

2006年12月18日

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