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2017.01.12
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カテゴリ: TMS
TMS192号(昭和39年6月号)から194号(同8月号)まで,ミキスト欄では,日本型Nゲージの縮尺などについての論が展開されました。


(TMS192号から194号。日本型Nゲージの幕開けがすぐそこまで迫っていた)

192号では,「ヨーロッパではTTの普及に続いて9mmゲージの時代に入ろうとしているようだ。…171号と172号の小欄で紹介したアーノルト・ラピード製品が建造物もそなえ,各種の車輌の種類を増し,製品の細密度も高めてきた。…まだTTの足元にも及ばないかもしれないが9mmゲージの進出はめざましく,これが世界の模型界の大勢であろうという判断は間違っていまい。
本誌上でも108・111・113号などでマイクロゲージの可否について論議されたことがあったが,現在の私の意見を一言でいえば,我国ではTTより前に9mmの時代が来るかもしれないと思う。
いまデパートの玩具売場にはトミー製の9mmゲージ新幹線3輌編成のセットが売り出されている。線路やパック付で2450円。日本製最初の9mmであるが,車体は簡易なプラスチック製で短かく台車も初期のラピッド製以下で,この限りではモデルとはいえないが,モーターを車体中央に置いて床下に出さず,平ギヤー1段で減速してゴムベルトの全軸伝動というのは車体に似合わずしっかりした設計で感心した。今後ポイントなどを売出していくわけでもないと思われるから,今後の日本の9mmゲージの基本となるものではなく,電気玩具と考えてよかろうが,とにかく日本最初の9mmゲージ製品であることは間違いない。車体巾だけを測ったら約1/150であった。」
とあります。この「トミー製の9mmゲージ新幹線」こそが,このブログの第1回の記事でご紹介した,トミーOOOゲージです。


(ネコ・パブリッシング刊「Nゲージモデル・アーカイブス」よりトミーOOOゲージ)

193号では,Nゲージの名称について述べられています。
「世界的にいままで知られている名前はOOOゲージである。TripleO(トリップル・オウ)と読む。OOゲージがダブルオウであるのと同じである。OOの場合オウオウと読むこともないではないらしいが,OOOはオウオウオウとは読まないだろうし,ましてやトミー製の新幹線電車の箱にフリガナがふってあるスリーオウというのはおかしいと思う。今評判の映画のスパイ007はダブルオウセブンと読むのと同じである,といった方が話は早かろう。

まだ,「Nゲージ」という名称が「新しい名称」であって,「世界的に」知られている名称が「OOOゲージ」であったことがわかります。そういえば,以前,インターネットオークションで,シズキョーという会社の新幹線のプラモデルを見たことがあります。あいにく落札できませんでしたが,パッケージには「O.O.O.GAUGE スリーオーゲージ」と明記されていました(注1)。

194号では,アメリカ,ヨーロッパ大陸,イギリスの鉄道模型の縮尺を比較検討した上で,「日本型のサイズは?…ズバリ1/150である。」として,日本型Nゲージの縮尺として,1/150を推奨。
そして,最後は次のように締めくくられています。
「3回にわたって9mmのことをのべた。16番に満足していない人々には興味があったと思うが,いくら日本型は1/150がよいといっても,実際に作るメーカーがなくては仕方がない。
またそれも,サイズが小さいだけに良心的なメーカーでなければせっかくの9mmを台なしにするだろう。既存のメーカーがやるならば,頭を切替えてかかってもらいたい。」
カトーから日本最初のNゲージ(縮尺1/150)が発売される前年,東京オリンピックが開かれた昭和39年のことでした。

その後のわが国におけるNゲージの隆盛はあらためて申すまでもありませんが,Nゲージの名称について少し補足しますと,230号(昭和42年8月号)のミキスト欄では,
「外国ではOOO(トリプルオウ)という語は廃語に近くなり,わずかにイギリスでロンスター製品(玩具的)とスケールの9.5mmゲージ(2mmスケール)に対して使われることがある程度で,すべてNゲージとなっている。これは一般に1/160であるが,イギリスのように2mmスケール(1/152)を使っているところもNである。
すなわち,すでに書いたように,Nが欧米語のnine(英) neun(独) neuf(仏)など9の頭文字からきているからで,ほんの少しのスケールの差に関係ないわけである。
…とにかく,話は日本でもNゲージの名でいくかである。TMSで9mmゲージという名を使っているのは,ナローのnとの混乱を心配しているのが一つの理由である。…Nゲージと9mmゲージは全くの同義語と考えてもよい。」
として,「OOOゲージ」の語は「廃語」に近いと評されるに至りました(注2)。ただ,ここにも記載されているとおり,TMS誌では,表紙・本文とも「9mmゲージ」の語が多く用いられており,表紙が「Nゲージ」表記に切り替わるのは,359号(昭和53年5月号)からになります。




(注1)その後,シズキョー(静岡教材社)のOOOゲージは線路のみ入手できました。ロンスターの線路に似ているようにも思いますが,コピーではないようです。
「日本プラモデル50年史」(日本プラモデル工業協同組合編)付属のCD-ROMによれば,シズキョーの「夢の超特急」製品群には,HO,TT,OOOの3種があり,HOゲージ版の発売は昭和38年,TTとOOOは翌昭和39年とのことです。昭和39年であれば,NゲージではなくOOOゲージと表記したことも納得がいきます。それにしても,OOOゲージを名乗る製品が,トミーOOOゲージ以外にも存在していたとは実に興味深い事実です。また,TT9を別とすれば,TTゲージの日本型製品というのも,おそらく唯一の存在ではないでしょうか?(シズキョーと同じ頃に発売されていたタミヤの「走る超特急」(1/122)など,TTスケールに近似した縮尺の製品はありますが,TTゲージと明記した製品はシズキョー以外にちょっと思い浮かびません)
余談ですが,CD-ROMによれば,シズキョーでは,青函連絡船のプラモデル(初代十和田丸,初代摩周丸。縮尺1/280)を製品化していたとのことで,こちらも興味深いところです。シズキョーの連絡船については,艦船模型スペシャルNo.30の88ページ以下に詳しい記事があります。
鉄道連絡船のプラモデルというと,他には有井製作所から発売されていた(もとは中村産業製品)MV-PP5(縮尺1/80)くらいではないでしょうか。カラー・デカール違いで4種のバリエーションがあり,「No.2 国鉄ホーバーフェリー かもめ」として,宇高連絡船のホバークラフトが製品化されていました。再販してくれると嬉しいのですが…。

(シズキョー(静教)の「スリーオー・ゲージひかり号用レールセット」)


(少年ブック1963年11月号付録「日本プラ模型全集」よりシズキョーの青函連絡船キット)


(注2)トイジャーナル1967年4月号に掲載された「電関模型の現状」(國際貿易・手塚英二氏)
では,「電関の一般的な分類はレールの幅により、次のようになる。
Oゲージ=三二ミリ HOゲージ=一六・五ミリ T・Tゲージ=一二ミリ スリーOゲージ=九ミリ



(追記)
科学朝日1962年1月号に掲載された,哲学者・篠原正瑛氏の「16mm機関車にご乗車願います」と題する記事は,篠原氏の戦前のドイツでの思い出や,ドイツの鉄道模型メーカーの紹介に始まり,科学雑誌らしく,直流2線式と交流3線式の比較,ギヤーの構造,動力車に取り付けるテレビ・ラジオの雑音防止装置,発煙装置などが詳細に解説されています。
気になるのが,Nゲージとの関連での,次のような記述です。「8mm」の「Kゲージ」なるものが紹介されているのですが・・・??
「そのころ(注:昭和10年頃)は,日本では,50mmのゲージが一般に普及しており,32mmゲージなどは“小さなゲージ”と考えられていた時代だったから,トリックスの00ゲージは文字どおり豆鉄道という感じがした。それは,ちょうど,今日のHOゲージを見慣れた目が急にKゲージ(8mm,HHやQOともよぶ)を見たときのような感じだった。」(147ページ)
「現在,西ドイツには世界的に有名な大メーカーがあって,それぞれ特徴のあるHOゲージの鉄道模型を作っている。そのうちの一つは前述のトリックスだが,他の二つは“メルクリン”(略)と“フライシュマン”(略)である。この他に,HOゲージではないが,有名なメーカーに“ロカール”(Rokal),“アーノルト”(Arnold)などがあり,前者はTTゲージ(12mm),後者はKゲージ(8mm)を作っている。」(147~148ページ)





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最終更新日  2019.03.05 23:08:56
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