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2階の窓から、音のする方を見ると、一人の男が共同自転車置き場にしゃがみ込んで、一心不乱に自転車の鍵を金槌のような物で叩き壊そうとしていた。
なかなか壊れないらしく、一心不乱って感じでガンガンと叩き壊す事だけに集中しているようだった。
このままでは自転車が盗まれてしまう。
警察を呼ぼうかと思ったが、その間に盗まれてしまうかもしれないし。
大声で叫んでみる?
でも、自転車泥棒に私の存在に気づかれるのも怖いし、と思い恐る恐るそっと小さな声で 「こら」
深夜だったので思った以上に声は響いた。
ドンがらがっシャン。没頭していた所に不意打ちをくらったその泥棒は相当驚いたらしく、私の小さな声に弾き飛ばされるように、まるで吉本喜劇のズッコケシーンのように万歳の姿勢をしながら、他の自転車もなぎ倒しながら派手に転倒した。
相当痛かったに違いなかったが、泥棒は素早く起き上がったかと思うとフェンスを乗り越え、道路を時々足がもつれて倒れそうになりながら走り去って行った。
私の「こら」ってこんなにも威力あったんだ?
普段、もっと大きな声で子供たちを叱ってもちっとも効き目なんかないのに、こ~んな小さな声でこんなにリアクションしてくれるなんてちょっと嬉しいじゃない?なんてアホなこと思いながら
その逃げっぷりが滑稽でかなりおかしくて久々にお腹抱えて笑ったが、笑ってばかりもいられないよね。
警察にパトロール強化してもらうことにしよう。