きょうが一番いい日。わたしの一生の中の、大事な一日だから。

きょうが一番いい日。わたしの一生の中の、大事な一日だから。

2004年08月30日
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午後5時30分。
これから、皆で温泉に行こうという事になった。
Kさんは出張の疲れもあってか、温泉を楽しみにしてたようだ♪
そして・・・私にとっては、今回の旅は、ひとつの「賭け」でもあった。
ホルモン治療ははじめたとはいえ、まだ胸が少し出てきた程度。
男性でも、女性でもあり、男性でも、女性でもない体。
はじめにYさんに今日の件を誘われた時、内心迷った。
でも、今までの人生、逃げてばかりいた。
「こんな体だから、温泉にも行けないし・・・」ってグチってた。

それが、今回「湯布院」という「温泉地」に行く事を決意した理由だった。

はじめ貸し切りの「ふじ」という温泉宿に行く予定だったが、
温泉のみは、14時で終了していた。
ガイドで見ると、他の温泉地もほとんど終了していて、
「梅園」という湯宿が夜まで利用出来た。
どうしようかとも思ったが、すべては「経験」!!だと思い、
皆と一緒に向かうと、とても大きくて風情のあるお宿が見えてきた。
フロントで、温泉のみ600円を払い、いざ温泉へ。
Kさんが「男湯」に消え、私とYさんは「女湯」へと向かう。
「友人」達の支えのお陰で、一人でも、今では臆する事無く
「女子トイレ」に入れるようになった。

確かに体は間違って「男体」に産まれたかもしれない。
でも、それ以外は女性と何ら変わらないのだ。
最近では、何か言われたら言い返してやる!!そう思えるようになっていた。
私は今まで、温泉に入れないのも自分に自信がないからだけなんだと思ってた。
もっと強くなれば乗り越えられると思っていた。

「女湯」の扉を開け、着替え場に入った時、やっと気付いた。
「女湯」に入ると、他の女性達が当たり前ながら裸で出てくる。
私は、凄い嫌悪感を感じた。
そう、私自身の体に、だ。。。
私は、彼女達と同じ「体」ではない・・・。
その現実を目の当たりにし、どうしようもなく悲しかった。
勇気が足りないとか、そんな問題じゃなかった。。。
私は、自分の間違った「体」が嫌で、恥ずかしくてたまらなかった。
これこそが「性同一性障害(GID)」の障害たるものだったのだ。
自分で自分の「体」を見るのも嫌だが、
どんなに仲が良くても、気心が知れていても、
この間違った自分の「体」を見られるのは屈辱でしかないのだ。
それは、相手がきっと「男性」でも「女性」でも関係なく・・・。
だから私は10年もの間、温泉にも行けなかったのだ。
周りに知らない女性がいる事を気遣ってくださり、
Yさんが「外を散歩しとく?」と言ってくれた。
自分の本心に気付いた私は、言われた通りしようと思い、
「女湯」を後にした。。。
何とも言えない虚しい想いを抱えながらも、取り合えず、
素敵なお宿を回ってみようと、ふと見ると、そこに
「休憩所」という標識があった。
行ってみるが特に何もない。「なぁんだ」と思い、また先を行く。
結局、「湯布院」まで来て温泉入れなかったなぁ。。。と思いながら、
トボトボ歩いていると、その先に「家族風呂」という標識があった。
何気に見ると、「空き」と書かれている。
あ!そうだ!!私は皆と入れないんなら、一人で入ればいいんだ!!
そう思った私は、勇気を振り絞って、フロントに行く事にした。
決断全ては、今まで支えてきて下さった方々の支えのお陰だった。
そしてフロントにいた、話しやすそうな、お宿の女性の方ひとりに声をかけた。そして、全てを話したのだ。。。
「私は性同一性障害という障害を抱えていまして、
 本当は女性なんですけど、体はまだ男性なので
 どちらの温泉にも入れないんです。
 でも、温泉に入ってみたいんです。
 家族風呂の方を貸しては頂けませんか。。。?」
震える言葉、飛び出しそうな心臓の音。
熱くなる目頭。反応が怖くて、怖くって、
フロントでひとり、ボロボロ泣いてしまった。。。
でも、どうしても負けたくなんかなかった。
もう、逃げてばかりの、愚痴ってばかりの人生と、
サヨナラしたかったから。。。
ひたすら懸命に祈り、言葉を紡いだんだぁ・・・。
たくさんの支えて下さる「友人」達の顔を想い浮かべながら。
ただ、ただひたすら立ち向かった私が居た。
その女性は、とても心配そうにあたたかい目で私を見て下さり、
「宿」の上司に話をしてくださった。
その間、私は断られるのではないかという恐怖で、
ボロボロ泣きながら、返事を待った。ロビーにひとり座り。。。

係の者が来て、「家族風呂」が空いてるかどうか確認してくるとの事。
ひとすじの光が、私の心に射し込んだ。
「10年ぶりに、皆と同じように温泉に入れるかもしれない!!」嬉しかった。
そして、本当は14時以降は泊まり客でないと使わせない「家族風呂」を、
私の為に貸し切りにしてくださったのだ!!
「家族風呂」は、ふつうの風呂の2倍の値段で、少し痛かったが。。。
まあ、本来泊まり客でないと使わせないところを、厚意で貸してくれているので仕方ないし、
今はそんな事で、ネガティブな気持ちになんてなりたくなかった。
涙を拭いて、係の人の後に着いてゆく。
そして、Yさんに置き手紙をして、私も皆と同じように温泉に入る事にした。
10年ぶりに入る温泉!!!
思い返せば、高校の修学旅行は、男子と一緒に入らなきゃいけないのが嫌で、
そんな屈辱堪えられなくて、修学旅行自体を休んだ。
そして、高校を卒業した後は、職場での社員旅行。
全員男・・・。私は、お風呂の時間に近づくと、
布団に入り寝たふりをし、ただただ時間が過ぎてくれるのを待った。
思えば、必死で逃げてばかりの人生だった。
でも、今私は、自分の力でそれに立ち向かった!!切り抜けた!!
勿論それは、20代になって私自身が勇気を出して、自身の障害を友人達に話せるようになり、
その友人達が、私を受け入れてくださった事で、少しずつ自信を頂き、
そのお陰で私自身が少しずつ強くなれたという、皆の支えのお陰なのだ。
ありがたい!!今まで支えてくださってくれた友人へ感謝!!

いよいよ、10年ぶりの温泉に入る。
んん~!!気持ちいい!!
もう岩風呂の感触さえ忘れてしまっていて、
ゴツゴツとした感触が新鮮だった。
空を見上げながらのお風呂!!
外の景色を眺めながらのお風呂!!
感激だった。と、同時に複雑な思いも交差した。
空を眺め、足を伸ばし、開放感に浸りながら想い耽る。
私はとても深く心が傷付いてもいた。
いちいち言う必要もない、自分の障害を敢えて、見知らぬ従業員に話した。
言わなければ知られなくて済んだ。
そこまでして、温泉に入る必要があったのだろうか?
こんなに傷付く必要もなかったのに。。。
しかしそれとは逆に、私はまた一つ乗り越える事が出来たのだと、
自分にとって、とても大きな何かを得られた気がした。
心はとても混乱していた。
でも、せっかくこうして自分の希望通りに「初経験!!」の温泉に入れたのだから、
今は、この美しい景色を、温泉を満喫しようと思った。
答えはきっと、YさんとKさんに会った時に分かる気がしたから。。。
30分近く、10年ぶりに入る温泉を満喫し、
Yさん、Kさんの待つロビーに向かう。
そして、二人の優しい顔を見た時、答えは出た!!
私は、とても誇らしい気分になれたのだ。
私は逃げなかった!!
勇気を振り絞り、深く傷付いたけど、その分、強くなれた!!
やさしい二人の笑顔の前で、私は、こそこそせず、
堂々と立ち向かった、立ち向かえた自分を誇りに感じた。
やさしい言葉をかけてくれる二人が、とてもありがたくって。。。
また泣きそうになる。今度は嬉し泣きだけど♪

晴れやかな気持ちと、誇らしい気持ちを胸に抱き、
温泉宿を後にする。心から来て良かった!!そう思えた。
そして、また皆で来たい!!と心から思えた。
そして、二人にもきちんと自分の気持ちを告げた。
私は今の体では、やはり皆とは一緒に温泉には入れない事。
そして、手術をした暁にはお祝いに一緒に入ろう!!と。
Yさんは後から気付いててくれたらしく、優しく同意してくれた。
帰りはKさんが運転して下さり、高速に乗り、
二時間半程度で宮崎に着いた。
心配していた台風もそんなに大した事はなかった。
心から充実出来た、安らげた時間。
また必ず行こうと誓い、二人と別れた。
本当にありが十々ございました!!
そして、長旅お疲れ様でした!!
新たな勇気を与えて下さった二人に感謝を込めて。。。
私は、今回の旅で掛け替えの無いものを得る事が出来たのだから。。。

 道はひとつしかないと思ってた。
 そこが行き止まりだと、不平不満ばかりを零してた。
 自分では、何も考えようともせずに。。。
 だけど、道はひとつなんかじゃないと気付いたんだ。
 見渡せば、いくらでも道は無数に広がっていて、
 本当はどこにでも行けるし、何も私を束縛などしてなかった。
 束縛してたのは、「勇気」が足りない私の「心」だった。
 私はこれからも歩いて行こう。
 例え行き止まりに出くわしても、
 周りを見渡して。考えて。
 必ず、繋がる「道」はあるのだから。
 「道」は、無限大にあるのだから!!

           by kotonoha*


 午後9時半。地元に着いた。
 そこで2人とは別れ、私はそれから別の友達の所に行き、
 たくさん語り、家路に着いたのは29日を回った、午前3時だった。
 一日がとても濃い、素晴らしい一日だった。

~今日という「経験」に感謝を。
 明日という「感動」にありがとうを。~





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最終更新日  2004年08月30日 01時55分11秒
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Re:「初経験」~すべてが輝いて見えた日~(後編)(08/30)  
icowman  さん
よかったねー。
すごいよ。100歩くらい前進したね。
君の体験に感動した。
僕は、がんばらないで休みながら行きます。
勇気ってのは素晴らしいな。
君に友人として認められるように僕も病気と闘うよ。 (2004年08月30日 23時13分34秒)

どきどき  
onewillow  さん
 しながら前半と後半を読んでました。
 「お疲れさま!」その言葉につきます。

 温泉は気持ちよいよね。
 いつかみんなと入れるときには一人とは違った楽しみもあると思います。
 しっかり一歩ずつ進んでいる、ことのは。さん。
 そして多くのことを感じ、多くのことを吸収することのは。さん。
 あなたの周りに人が集まるのが、あなたがその境遇を他人のせいにしてあきらめることなく、歩み続けている姿が素敵だからなんだろうなと思います。
 そして、歩み続けてできたことのは。さんの道をまたみんなが愛して、お互いの道を歩きあったり、戻ったり、そうやってひとつの世界ができていくのだろうなと思います。

 PS.こっこの情報ありがとうございます。
   ライブにも行きますが、最終目標は私がゴミ拾いをしていて、こっこもゴミ拾いをしていて、そしてふと出会うという目標を持っています。
 そういうことでも海がきれいになっていくことが大切なんだと思ったりしています。
  (2004年08月30日 23時57分48秒)

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