我流乱舞!

我流乱舞!

非情な日常・計られた偶然


自動販売機にはあたたかい飲み物、冷たい飲み物が大体110円で売られていた。

俺は硬貨を投入し、エメラルドマウンテンのコーヒーを選び、購入した。

温かいコーヒー。

ほろ苦く、ほんのりと甘い風味が、口の中を巡った。
近くのベンチに腰を掛け、過去を振り返ってみる。

亮や彩子と出会う前・・・。散々だった
毎日が鬱陶しかった・・・。
亮や彩子が傍に居てくれるようになった頃、少しは楽しかったカナ?
何度も言ったんだけどね「俺の傍に居ると、お前も同じような目にあうぞ?だから近寄らないほうがいい」って
だけど亮は「俺はそんなお前だから、傍にいるんだよ!」と笑った
正直、意味がわからなかったけれど、嬉しかったな・・・。

亮が好きな子が居るという相談をしてきた・・・。
目が踊ってて、すっごく楽しそうだった。少し羨ましかった気もした。

何週間か、して、亮は覚悟を決めて、告白をした。それで出来た彼女が彩子だ。
彩子も俺に優しく接してくれた。
亮も、彩子も掛け替えの無い友達だったよ

















それを












あんな形で

















失うなんて・・・。
































目に何かこみ上げるものを感じた。
それとなんか、やるせないような気持ちで一杯になってきた。
もういい、もういいんだ。これから亮や彩子のもとに行くんだ。
きっと上の世界でも笑える、きっと前みたいに・・――

「あのー・・・お兄さん?ちょっといい?」

何処からか女性の声が聞こえてきた。
誰に向けて発声しているのか分からなかったが、取り敢えず、荷物をまとめよう。
樹海は夜になると、急激に冷え込むのだ、そこでジワリジワリと体力を消耗して、終には・・・・。
「今まで生きていて、之から死ぬ」という感覚が欲しくて、樹海を選んだ
さて、日が真上にあるうちに、奥に進もう・・・。



「お兄さん!!」

ガシッ!と肩を掴まれた。
あまりに予想外で正直驚いた
振り向くと、一個下か同い年くらいの若い女性が居た。
明るい笑顔で力強く肩を掴んでいる。正直痛い。

「・・・なにか?」
もっともな質問をしてみた。
何か困った事でもあるのだろうか?

「樹海は止めたほうがいいよ?お兄さん。大抵の人は夜になると怖くなって樹海から出ようとするけど、樹海は甘くない!溶岩石で出来た足場だから、落とし穴が一杯あって、殆ど生きては出られないよ!?」

・・・どういうことであろうか?
俺の思っている事がこんな少女に見透かされているというのであろうか?
それとも・・・

「いえ、俺は只、ウォーキングに来ただけですよ・・・。」

誤魔化してみた、どうせ、ここで躊躇して、止めても俺を待つ人なんて居ないのだから。

「その靴・・・。ウォーキング用じゃないよね?」

そういうことか、格好からして、不自然だったのか?

「あぁ、近くのお店で購入しようと思います。まぁ、この辺で・・・」

少女は俺の顔を睨みながら、小さく口元を動かしながら頷いた。
「そう・・・、ならいいわ。ごめんなさいね、引き止めて。でも本当に気を付けてね?」

少女は笑いながら手を振った。
俺も手を振りながら
「ええ、ありがとうございます」

と、取り敢えず礼を言って、その場を去った。

珍しい事もあるものだ、こんな俺に目が止まるとは。
取り敢えず靴はどうでもいい。
近くの自動販売機でマルボロを2箱購入し、樹海の入り口へと向かった。









入り口は頑丈なゲートで覆われていた。
車は入れそうに無い。でも人ならば、簡単に乗り越えられる。

樹海に一歩入ると、急に空気が変わった。やたら湿気があって
じめじめした感じが嫌に心地悪い。

少し歩いて、後ろを振り返ってみた。
もう入り口は見えない。見渡す限り森である。
脚で木の葉や枝を踏み、パキパキと鳴らしながら、進んでいく
あの少女が言ってたように、溶岩石なのか、足場が相当悪い。
昼だから、日が差し視認しながら進めるが、夜になると移動は困難であろう。
ふと、携帯で時間を確認してみた
14:56 まだ奥に進めるか・・・。
ふと携帯画面の左上を見ると、オレンジ色の文字で「圏外」と記されていた。

まさに「隔離された世界」という感じがした
まぁ、俺の存在自体みなから「隔離」されていたのだろうが
結構こういう場所の方が、俺にはお似合いなのかもしれない。

樹海を進んで行くと、青いビニールシートが見えた。
近寄ってみたが、仏は見当たらなかった。
(―大抵は怖くなって引き返す―)
突如そんな言葉が浮かんだ。まぁ、俺だってそれなりの覚悟で来ている。



どれくらい歩いただろうか?すっかり疲労感に包まれている。
丁度いい所に、岩があったので、腰を掛けて、煙草をふかす。
上を見上げると、僅かな隙間からオレンジ色の空が見えた
もうそんな時間か・・・。
何時間歩いただろうか・・・。
雨が降ってきた。天気予報は外れたのだろうか
身体が冷えて、徐々に体力が奪われていくのを感じた。
シガレットケースに入れた煙草を取り出し、また、火をつける。
水気でちょっと湿っていたが、別に気にしない。
冷たい水が少し心地よく感じた。
どうしてなのか、眠くなってきた。異様な安心感に包まれていた。

もう寝よう、目が醒めた時には、きっと・・・・。















「・・・さん!・・・に・・・さ・・・」















「お兄さん!!!!」




耳元で甲高い声が聞こえて、目が醒めた。
声のもとを探すと、すぐとなりに、公園で見たあの少女が居た。

何故此処に?どうして?一体・・・

動揺を隠せずにいると少女がこう言ってきた

「私を舐めて貰っちゃ困るよ?あーんな嘘、すぐにわかったわよ!」

気をおかしくしたのか、周囲をよく見回してみる。
・・・・やっぱり樹海だ。

辺りが薄暗い。

「な、何でお前此処に居るんだ!今すぐ帰れよ!!!」

思わず素で喋ってしまった

「何でーって、付いてきたし、戻れって言われても・・・戻れないし?」

携帯で時間を確認してみた。
20:26 辺りは真っ暗。
2メートル先はなにも見えない。
「馬鹿かよ・・・お前は!」

「馬鹿はどっちだ!!!!」

いきなり耳元で叫ばれて、言葉を失った。
「折角生きているのに・・・!勿体無いよ!!馬鹿!」

勿体無い?感に触る言葉だった

「五月蝿い!!お前に何が分かるって言うんだ!?大体俺に「勿体無い」なんて言葉がつくほどの価値なんて無い!!」

「価値なんて関係ないでしょう!まだまだ可能性があるんじゃない!?」

「可能性なんて無いね・・・。大体お前なんで付いてきたんだよ・・・?お前も死にたいじゃないのか?」





パシィッ




少女が思いっきり俺の頬を引っ叩いた。
思わず手が出てしまったのか・・・
それにしても情けない、ついさっきあった奴にこんなに熱くなるなんて。
俺もどうかしてる。
「ごめんなさい。」
少女は謝り、俯いた。
「~~~~~っ!」
何を言ったらいいか分からない。取り敢えず頭を冷やそう。
少女が俯くなか、俺はその場を少し離れた岩陰に身を隠すように座った。








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