我流乱舞!

我流乱舞!

非情な日常・漆黒の鏡



「いい天気っすねぇ~!ちょっと肌寒いけれど・・・。そうだ、この前のプリンのお礼に何か買って行こうかな?梓ちゃん、俺の分まで買ってきてくれるなんて、いい子っすねぇ~・・・。」

康太は途中で、餡蜜を3つ購入し、劉也の家へ到着。

自転車を駐車した瞬間、家の玄関から劉也が飛び出してきた。

「へっ!?何なんすか!?」

「あ!康太か!!逃げるぞっ!!」

劉也は康太を強引に引っ張り、バイクに乗せ、早々とエンジンを掛け、家から離れようとした。

「劉也アアああ!!今日と言う今日は絶対に許さない!!!」

そう叫びながら玄関から飛び出してきたのが梓。

「え!?えええ!?何?何が一体どうしたっていうんっすか!?」

劉也は公道に出て、バイクを飛ばしながら答えた。

「奴はきっと、今デレの部分だ。」

「はい?デレと言いますと?」

「奴はツンデレ何だろ?だからデレだ!素直な部分だ。つまり素直に俺をぶっ飛ばしたいっていう・・・。」

康太は呆れた顔で劉也を見た。

「今度は何したんっすか~?」

「実はだな・・・。」

―梓が朝、歯磨き粉と洗面剤を間違えたとき・・・。

「餓鬼だな。」

―寝惚けて壁に頭をぶつけたとき。

「餓鬼だな。」

―テレビのリモコンを弄っている時、誤ってテレビを消したとき。

「餓鬼だな。」

―何も無いところで、躓いたとき。

「餓鬼だな。」


「・・・と言った具合に、計37回餓鬼と言ったら、キレやがった。」

劉也は淡々と説明してみせた。

「あ~、それって劉也さんが悪いっすよね?」

「いや、37回も言わせる機会がある、梓もどうかと思うぞ?」


一方、梓。

「くっそー・・・。劉也め・・・。ん?あれは・・・。」

梓は康太の乗ってきた自転車を見た。

「ふふふ・・・。私を甘く見ないで頂こう・・・。」

そう言いながら自転車に跨り、眼をつぶった。

「・・・・気を脚部に集中・・・・。」

眼を開くと、未だ視界に写る劉也のバイクを目指して、競輪選手真っ青なフォームとスピードで追いかけはじめた。
それに気づいた劉也一向。

「ちょっ!!劉也さん!!梓ちゃんが自転車で追いかけてきますよ!?」

「はぁ?今時速70kmは出してるが・・・。」

劉也は後ろを振り向くと、顔を青くした。
梓が原付を追い抜いて、突撃してくるのだ。

「うおりゃああああああ!!!!!」

「や、やべぇ!公道じゃぁスピードが出せ・・・!!」

言い終わる前に、梓は後方から劉也一向に飛びか掛かった。

そしてどっから出したのか、刀を鞘をつけたまま、振りかざした。

「・・・!!よし、ならば・・・。」

劉也は急ブレーキをし、バイクを止めた。

梓は勢い余って、バイクを通り越してしまったが、空中で華麗なターンを切って、前方から再び振りかざした。

「うらあああっ!!!」

危機を感じ取った劉也。

「よし!康太後は任せた。」

「ええ!?」

劉也は鞘が当たる寸前にバイクを飛び降り、その攻撃をかわしたのだ。
繰り出された鞘での一撃は、本来劉也の頭部に当たる筈が、後ろに居た康太に直撃した。

「~~~っいてぇ・・・。」

康太は頭を摩りながら、痛みをこらえていた。
それを無視して梓は、飛び降りた劉也に鞘を向けた。

「・・・やるわね・・・。」

劉也は体制を立て直し、呆れたような顔をした。

「・・・・餓鬼だな。」

「・・・むかっ!こ・・・この・・・・!!!」

梓が刀を横に構えて突っ込んできた。

劉也はそれを懐に飛び込むようにして抱えた。

「ツームストーン・パイルドライバー!!!!」

そう叫ぶと梓の頭部を膝で挟みこみ、膝をまげ、その状態で落下し
梓の脳天を地面に叩き付けた。

「ぎゃあっ!!」

劉也はプロレス技を見事に決めると、再び距離を取った。

「まだやるかい?」

「うわー・・・女性相手に手加減ないっすねぇ~・・・。」

康太が未だ痛む頭部を摩りながら、嫌なものを見るような目つきで劉也を横目で睨んだ。

「五月蝿いな、男と女なんて、ついてるかついてないかの差だろうがっ!!!」

「いやぁ・・・もう、何でもないっす・・・。」

康太はため息をついた。

梓はフラフラと立ち上がり、再び構えた。

「こ、この程度で・・・。まだまだぁっ!!」

劉也は不敵に笑った。

「そうかよ・・・!!」

劉也は梓に接近し、正面からジャンプした。
そして梓の両肩にのり、太ももで梓の頭部を挟みこんだ。

「え!?な、何!?」

「ウラカン・ラナ・インベルティダ!!!!」

そう叫ぶと、劉也は頭を思いっきり後方に倒し、その勢いで梓を前方に回転させ、転倒させた。

「うわっ!?」

「まだまだ!!」

その状態で劉也は梓の股の間に潜り込み、両足を掴むと、思いっきり引き伸ばした。

「必殺!!回転エビ固め!!!!!」

「ぎゃあああああああっ!!!」

康太は止めたら、自分もあの鬼畜コンボに巻き込まれるのではないか?と考えていた。

「はーっはっはっは!!どうした未だやるか!?坂本梓ぁ!!」

梓は歯を食い縛った。

「だ・・・誰が・・・ぐぅうう・・・キツイィィィ・・・。」

劉也は再び不気味な微笑みを浮かべた。
掴んでいた足を放し、両足で梓の両手を固定した。
所謂背中に乗っかった・・・。ガード不可能なマウンドポジションを取ったのである。

「ふふっ・・・。そうか、ならば二度と俺に歯向かう気にはならない様にしてやる!」

「な、何を!?」

劉也は梓の横腹に手を添えた。

「お前はいつまで耐えられるかな・・・?」

そう言うと、身動き取れない梓を思いっきり擽りはじめた。

「きゃあああ!!っちょっ!!まっ!!それ・・・反則!!!やめっ!!!うわあああ」

「負けを認めるんだ!!」

予想外のくすぐり攻撃を受けて悶え苦しむ梓。
康太はそれをしゃがんで拝んでいた。

「・・・なんか・・・。哀れっすよ・・・梓ちゃん・・・。」

「うわっ!!も、な、康太!!助けろ!!」

「やー、無理っすよ梓ちゃん、俺もその鬼畜コンボ食らった事あるっすから・・・。負けを認めるまで、延々続きますよ?」

絶望した梓に劉也は問い掛けた。

「どうだ?梓!?苦しいだろう!!負けを認めるか?認めるならやめてやろう・・・。」

「わ・・・負けです!!私の負けですから!!だからもう擽るのはやめてー!!!」


朝一番の悲鳴を上げた梓であった。


家に帰宅した、劉也達。

劉也はいそいそと制服に着替えはじめた。

「あれ?劉也さん、学校行くんすか?」

「ああ、出席日数がそろそろ危ういからな。」

康太は理由を聞くと、梓の様子が気になったのか、梓の部屋へ向かった。
すると部屋の隅っこでどす黒いオーラを分泌していた。

「うっ・・・うぅ・・・。こ、公道であの様な辱めを受けるなんて・・・。お父様、お母様・・・。私はもうお嫁にいけません・・・。」

康太は哀れな梓に掛ける言葉も出なかった。

「・・・これは重症っすねぇ・・・。」

康太が小声で、そう言うと、後ろに劉也が現れた。

「・・・?どうかしたのか?」

それに気づいた康太。

「・・・あ、いや・・・別に・・・なんでもないっす。」

劉也はどす黒いオーラを分泌している梓に気づいた。

「・・・おーい、梓。康太が餡蜜買ってきたらしいんだ。それ食ったら学校行く準備しろよー?」

それを聞くと梓を覆っていたどす黒いオーラ一瞬で消え去った。

「え!?餡蜜!?うん!わかったよ!!」

いつもの梓に戻ったのを見ると劉也は居間に戻った。
・・・康太は見逃さなかった。劉也が去り際に小声で

「・・・餓鬼だな。」

と呟いた事を・・・。





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