我流乱舞!

我流乱舞!

非情な日常・息抜き・2


劉也がさも面倒臭そうな顔でやる気の無い声を上げていた。

「旅館?経費たけーぞ?つーか、何処行く気よ・・・?県内?」

発案者は美穂である。
得意げにチラシを片手で掴み、鼻を高くした。

「ふふん!見よ!この超高級旅館を!太平洋を一望できる部屋もあるぜぃ!」

康太はチラシを見ると、首を傾げる。

「コレって・・・。よくテレビで見る・・・あの・・・?確か、世界一の腕を持つ寿司職人がいるところっすよね?」

劉也は少し考えた。無論、寿司が好物だからだ。

「・・・。う~ん、その為にお一人様うん十万円の旅館で泊まるのは・・・。」

待ってましたといわんばかりに美穂。

「コレを見よ!」

突き出したのは無料宿泊券。2泊3日。

「宝くじで当てたんだ~!」

梓が劉也を説得し始める。

「それならいいんじゃない?ほら、たまには息抜きも必要でしょ?」

劉也は庭で話しているアルテミスとポセイドンの姿を眺めながら答えた。

「あいつ等は、どうするんだ?」

康太が立ち上がる。

「俺が聞いてくるっすよ!」

すぐに行動するところ、康太はノリ気のようだ。
劉也がテレビをつける。
テレビに写ったのは特集!NEWS。
アナウンサーがトラック強盗団の解説をしている。

内容は、トラックで銀行に突っ込み、突破口を開けたところに、2人組みが刃物で社員を脅迫し、現金600万円相当を奪い、逃走したとの事。
犯行は4人によるもので、窓際に居た、49歳の男性が重傷。病院に運ばれたとのこと。

劉也は呟く

「・・・めっちゃ不景気だもんね~。わかります。」

梓が突っ込む。

「分かっちゃいけません。」

康太が居間に戻ってくる。

「別に構わないそうっす。」

美穂が頷く。

「うん。じゃぁ決まりだね!出発は明日の朝!はい!準備準備~」

劉也が突っ込む。

「はぁ!?明日ぁ!?」

「うん。何か予定でもあるの?」

「いや、無いけど、お前って結構・・・。」

劉也はそれ以上は言わずに黙っておいてあげた。

その後、康太は外で愛車であるセルシオの手入れをしている。

劉也はその様子を見ていた。

「・・・こんな糞がつくほど不景気なのに、ハイオク車ですか。」

康太は鼻歌を歌いながらワックスを塗っている。

「ロマンっすよロマン!イカツイのは男の勲章っす!」

チラリと劉也は自分の単車を見る。

無駄にイカツイのは康太の趣味も入っているのだろうか?

「ヤーさん車のって鼻が高いだろうねぇ・・・。」

セルシオは所謂「危ない車」
黒セルシオ+ナンバープレートぞろ目=ほぼ確定である。
ある意味裏世界に通じる車だ。

「あいつ等、足どうすんだろ?その車詰めても5人が限度だろ?んで俺等は6人・・・。」

1人余る。

「劉也さんが、単車で行けば万事おっけーっす!」

「はぁ~・・・。だるっ!俺やっぱパス。」

「そんな事言わないでくださいっす!いや~楽しみっすよ~・・・。温泉が。」

劉也はピンと来た。

「覗く気か?」

康太は笑いながら答える。

「ハハッ、まさか・・・。温泉覗きは大抵、不自然に壁が壊れたり、足を滑らせたり、バレて、石鹸やらなんやらが飛んできたり~っていうオチが見え見えっすよ。俺は只単に、露天風呂が楽しみなだけっす。」

劉也は温泉なんて一度も行った事が無いが、特に楽しみでも何でもなかった。
温泉=只広い風呂。っていうイメージがあるからだ。

夜8時にもなると、皆、それぞれの部屋に戻りはじめる。
居間には誰も居なくなる。
食事は個々で取るのだ。

劉也は適当にコンビニでパンとミルクティーを買って、部屋で黙々と食べていた。

もちろん、部屋の扉には三段ロック。施錠済み。
すると、携帯のメール着信音が鳴り響く。
渚からだった。



件名> 
内容>
前回の件についてです。
協力するのは構いませんが、
享を何とかしてください。

-------------END------------

劉也は返信をする。

件名>Re:
内容>
どうすればいい?
つーか、お前と享の間に何が?

-------------END------------

するとすぐに返事が返ってきた。

件名>Re:Re:
内容>
それは言えませんが、
何とかしてください。

因みに享は今、学校からすぐ西の公園で
篤志と居ます。

-------------END-------------

要するに、今すぐその場に向かえ・・・、と
劉也は解釈した。

劉也は「だりぃ~・・・」と呟きながら準備を始めた。

時計は八時半を刺していた。

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