花夢島~Flower Dream Island~

花夢島~Flower Dream Island~

キノの旅『親切な国』~don't know~


親切な国~don't know~

荒野に一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が走っていた。
凸凹していた道が広がっていたため何度もモトラドは倒れそうになっていた。
その度に運転手は慌ててバランスを取っていた。

「キノ~、転ばないでよ」
とまたモトラドは言った。
すると今度はキノと呼ばれた運転手が言った。
「悪かったよ、エルメス」

エルメスと呼ばれたモトラドは車体の右半分が妙に汚れていた。
「まったく、こんな道で転ぶから少し傷がついちゃったじゃないか。」
「悪かったよ、次の国で修理してあげるから。」
「その次の国ってどんな国なの?」
「前会った旅人の話だととても美しい国で皆親切らしいよ。」
「ほんとに親切ならいいね。」
エルメスが意味ありげに答えた。
「確かに前に行った国では散々な目にあったからね」
そんな話をしていたら目の前に白い城壁が見えてきた。


「旅人さんですね、我が国へようこそ!」
門番が明るい声で答えた。
「ボクは3日間の入国を希望します、入国審査をお願いします。」
「入国審査なんていりませんよ。旅人さんは大歓迎です。」
またも明るい声で答えてきた。
そしてあっさりキノは入国した。

「旅人さん、今暇かい?甘いものは好きかい?」
キノがはいと答えると、
「ちょうどよかった!ご馳走するよ!」
等多くの人から誘われ、キノはいった。
「よかった。今日の食費代が浮いたぞ。」
するとエルメスがボソッと言った。
「びんぼーしょー」

その後、さらにたくさんの人から誘われてすべての人についていった。
ホテルに戻ってキノは、
「もう食べられないや」
といってベッドに倒れこんでしまった。
エルメスは呆れてすぐ寝てしまった。

この国に入って2日目の朝。
キノは夜明けとともに起きた。
そして習慣であるパースエイダーの訓練をした後適当に運動をして切れかけたいた携帯食料等を買いに出かけた。

買い物中でも昨日と同じように誘われた。
その度にキノは,
「今日は旅に必要なものを買わなければならないので、貴方の誘いを受けられなくて残念です。」
と丁寧に断った。

「すみません、携帯食料が欲しいんですが」
とキノが言うと店員は、
「旅人さんかい?携帯食料はそこに置いてあるから好きなだけ持っていくといいよ」
と言い続けて、
「お金は払わなくてもいいからねと言った」
キノは邪魔にならない程度に、でもたくさん携帯食料を持って行った。
他の店でも同じような感じだった。

ホテルに帰る途中キノはエルメスに話かけた。
「この国はいい国だ」
「まだ何か起こるかわからないけどね」
エルメスがまたも意味ありげに言った。
そして何かを思い出したようにエルメスは言った。
「そういえばさ、キノ。まだこの国の歴史を聞いてないよね。いつもはほとんど2日目に聞いてるのに」
するとキノは
「一日目に買い物が出来なかったからね」
とだけ言った。
その後は2人とも無言だった。

ホテルに帰るとキノは
「明日はこの国の歴史を聞きに行こう。気になることもあるしね。」
「気になることって?」
エルメスが聞いた。
キノは明日になれば解るさといってベッドにもぐりこんでしまった。
エルメスも眠ってしまった。

3日目はキノは何故か起きたのが10時だった。
「もう10時!?どうしちゃったんだろう」
エルメスはその声でおきてきた
「妙な胸騒ぎがする」
キノが言った。
「どうする?キノ。いまから此処をでる?」
「いや、まだこの国の歴史を聞いていない。それに命にかかわるようなことは無いと思う・・・」

歴史博物館でキノはこの国の歴史を聞きたいのですがといった。
そして係員は丁寧に歴史を話してくれた。
「昔はこの国では国民同士の争いが絶えなかったのです。しかし今の国王になってからはすばらしい働きぶりで私達の争いを止める為に色々と頑張ってくださった。そして国民同士の争いは見事に消え人々は皆親切な人として生きるようになった。」
此処でキノが質問した。
「その争いが消えた案とはなんですか?」
「まず法律で争いを禁止したり、国王自ら演説をしてみたりする等たくさんあります。すべてを話すと一日では終らないほどたくさんあるので此処ではいいませんが。」
「まあいいや、続けて」
エルメスが急に口を出してきた。
「それで皆親切に生きるようになったのはいいのですが、親切に生きているとどうしてもストレスがたまっていくことがあります。」
「それで」 「続けて」
ここでキノの顔に多少の緊張が走った。
「そこで現国王がある法律を作りそのストレスを発散する方法を編み出した。」
キノは係員の青年の口調が少し変わったことに気がついた。 
「その法律とは?」「どんな法律?」
「それは・・・」
係員はナイフを取りながらいった。
「旅人を殺しても罪にはならないという法律さ!」
そういって係員はキノに突進してきた。
キノは腰につってある八角形のバレルを持つ、大口径リヴォルバー、通称「カノン」を抜き出して、撃った。
「エルメス、すぐに此処をでよう。さっきの話だとまた狙われる可能性がある。」
「キノならそう簡単には殺されないと思うけど、この国の人に乗ってもらうよりはキノに乗ってもらったほうが楽しいだろうからキノに賛成。」

やはり国民はほとんどの人がナイフを持っていた。
しかし禁止されているのかパースエイダーを持っている人は一人もいなかった。
そしてキノは門まで辿り着いた。
門番が話し掛けてきた。
「どうです、今日は大変だったでしょう。此処の国民はあいてに親切にしておいて数日後に急に襲ってきますからね。ビックリしたでしょう。」
「はい。慌ててでてきましたよ。まだ死にたくはありませんから。ところで、貴方もぼく達を襲うつもりですか?」     
「いや、まだ死にたくないからね」                     門番はキノの腰に吊ってあるパースエイダーを見ながら言った。        「そういえば、結局修理どころか拭いてもくれなかったね。」  
エルメスが皮肉に言ったがキノは無視した。   
その後少しの会話をしてからキノは旅に戻った。

また広い荒野が広がっていた。
途中でエルメスは質問をした。
「ねぇ、キノ、あの国は本当に親切な国なのかな?」
「さあね、僕には解らないや。」
そういったとき不覚にも道の凹凸に対応しきれずバランスが崩れて左に倒れてしまった。
「・・・・・」「・・・・・」
キノは黙ってエルメスを起こしていたがエルメスは
「キノ、いい加減になれてよね。」
と半ば呆れ、半ば怒りながらいった。
「悪い、エルメス。次の国でキレイにしてあげるから。」
「あの国に入る前にもそんな事いってたよね。」
「今度の国では大丈夫だから。」
「まぁいいや。」

そうして会話を続けながら1台のモトラドは荒野を走り去っていった。





© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: