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「最前線の映画」を読む 町山智浩 インターナショナル新書
私は自他ともに認める映画ファンである。よって、ここに取り上げられているここ2年間に映画館にかけられた作品20のうち、15作品を観ている。もちろん威張ることじゃない。「えっ? 15作品しか観ていないのか?この注目作品ばかりのラインナップなのに!」という人もいるのが、映画ファン世界の奥深い所であるからだ。
実は、その人たちにも読んで欲しい、と思いこの紹介文を書く。おそらく、その人たちこそ、読んで欲しい。映画をキチンと観れば、町山さんの指摘の幾つかはとうに分かっている場合もある(『メッセージ』の娘を産んだワケ等々)。過去の映画をいかにリスペクトしているかも、私よりも詳しい映画ファンから観れば、とうに気がついていた場合もあるだろう(『ラ・ラ・ランド』の引用映画の数々)。それでも『ブレードランナー2049』『エイリアン:コヴェナント』の寓意の数々は、作品や過去の作品からだけでは絶対導き出せないはずだし、『沈黙ーサイレンスー』に至った、スコセッシ監督と師匠のエリア・カザン監督の罪と赦しの話は、知るには価値がある知識だと思う。「あれはそうだったのか!」とビックリしたのは、『ルック・オブ・サイレンス』の飛び跳ねる豆の映像のワケである。固い殻の中に入っている正体が、インドネシアの過去と現実に照射されている。
町山智浩さんが珍しく「映画史を変えた傑作」と書く『ワンダーウーマン』。主演のガル・ガダットが実はイスラエル兵役経験者で平和主義の作品にはふさわしくはないという批判に対しても、上手いこと反論している。作品に即して、あの台詞やあの演技の「深読み」を、こういう風にするのだな、ととても勉強になった。
また、アカデミー外国語映画賞を獲ったアスガル・ファルハディ監督の『セールスマン』をキチンと理解するには、アメリカ古典演劇「セールスマンの死」とイランの国情の常識が必要不可欠ではあるが、この解説でやっとガッテン行った。私は、ほとんど劇場パンフレットは買わないことにしている。ネットで基本的な知識と、映画評は手に入るからだ。しかし、ここにはお金を出しても惜しくはない、作品に対する知識がある。
2018年2月14日読了
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