2011.04.21
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カテゴリ: 成長くらべっこ
ジュースとお菓子を持って戻ると
物珍しそうに部屋を見回すフミちゃんの姿がありました。

「え、ど、どしたの?」
「あ、いや、なんか、懐かしいな~思て。
 すまんすまん。」
「いや、別にいいけど。」

特に1年前と変わりはないはずだけど
でもまぁ1年ぶりだもんね、そりゃあ気になるよね。

そうだ、紹介が遅れてしまいました。

1つ隣りのクラス、2組にいる、ご近所さんってわけじゃないんだけど
小学校1年生の時から付き合いのある男の子です。

「なんか落ちつかへんな。」
「なんでぇ?」
「いや、なんか、なんとなくや。」
「…へんなの。」
「…んまぁ気ぃ遣ってもしゃあないしな。
 遠慮なくくつろがしてもらうわ。」
「どうぞ~。」

そう言って、ゴロンと仰向けになるフミちゃん。

気付いていると思うけど、フミちゃんは大阪弁を使います。


小学1年生のときに、大阪から東京へ引っ越してきたんだけど
そのときにはもう体に大阪弁が染み付いちゃっていたみたいで
6年間こっちで生活した今でも
その訛りが直ることは全くないみたいです。

「…で、どうしよか?」


これもまた話すがの遅れてしまいました。
今私たちが何を話し合おうとしているのか、と言うと
来週にある6年生の期末テストについて、もっと言えば
その期末テストでの罰ゲームについてです。

期末テストの全ての科目の合計点、それを2人で比べて
点数の低い方が負け、罰ゲームを受けると言う
まぁちょっとした賭け事みたいなものです。

なんでそんなことをするのかと言うと
それはもう、なんでと言われたら上手く答えられないけれど
とにかく過去5年間、小学校1年生のときから続けていることだから
もう何と言うか、2人の中の暗黙の了解で
儀式と言うか、やらなきゃいけないこと…
みたいになっているものなんです。

フミちゃんはどう思っているのか分からないですけどね。
少なくとも、私の中では、そう思っています。

「うーん、いつもどやって決めてたんやったっけ?」
「うーん…、なんか、2人で適当に言い合っていって
 お互い納得したら、そこで決まり、みたいな感じじゃ
 なかったかなぁ。」
「あー、せやせや。
 そんでなんだかんだで結局最後は小春が
 決めてまうんやったよな、いつも。」
「そんなことないよ~。」

楽しそうに笑うフミちゃんに、少しだけ反論してみる。
けど、実際はいつもそんな感じだった気がするかな。

「ってか、去年の罰ゲームって何やったっけ?」
「えー!忘れるの早すぎだよ~。」
「いやもう結構やっとるからな、ごっちゃんなっとるわ。」
「ホントに~?ハンバーガーだよ、ハンバーガー。」
「あー、そやったな。」

小学5年生のときのの期末テストの罰ゲーム。
『負けた方が勝った方にハンバーガーセットを奢る』

「結果はどうやったんやっけ?」
「ちょっとぉ、本気で言ってる?私が勝ったの!」
「あれぇ、そやったっけ?」
「私がベーコンレタスバーガーセット奢ってもらったんだよ。
 確かフミちゃんはダブルチーズバーガーセット頼んでたはず。」
「覚えすぎや。」
「…フミちゃんが忘れ過ぎなだけだよ。」

確かあの日はフミちゃん、鼻に絆創膏してた気がする。
確か学校のジャージ着て…、って、確かにちょっと
覚えすぎかも…。

「でも確かギリギリの接戦やったんやなかったっけ?」
「私の圧勝。」
「そうか~?」
「53点差。正真正銘私の圧勝だったよ。」
「…小春お前、歩く記憶マシーンやな。」
「…何、記憶マシーンて。」

はははっ、と、嬉しそうに笑うフミちゃん。
…もしかして私、からかわれてる?

「小4のときは何やったんやっけ?」
「本当に覚えてないの~?肩揉みだよ、肩揉み。」
「あ~、そんなんもしたなぁ。
 で、そんときは俺が勝ったんやったよな?」
「…とぼけてるでしょ?」
「あっはは、やっぱり小春は、からかいがいがあるわ。」
「…むぅ。」

全く、…て言うか、何処からとぼけてたんだろう…。
とりあえず、4年生のときの罰ゲームは
『負けた方が勝った方の肩を揉む。』でした。

「それで、3年生のときは…」
「3年のときは
 『負けた方が勝った方に歌をうたう。』
 2年のときは
 『負けた方が勝った方のランドセルを持つ。』
 やったかな。」

体を起こしながら、私に重ねるようにそう言う。

「…なぁんだ、覚えてるんじゃん。」
「そらまぁ、受けた張本人やからな。」

あの頃を思い出しているのか
頭をかきながら、少しにやけてみせるフミちゃん。

そうです、過去5回やってるこのくらべっこだけど
結果としては私の全勝。5勝0敗。

フミちゃんが全然勉強ができないってわけじゃないけど
基本的にいつも私の圧勝で終わっていたし
私自身もなんとなく勝つ自信があったから
いつも罰ゲームを考えるとき
自分がやられて嫌な罰ゲームを考えると言うよりは
自分がやってもらって嬉しい罰ゲームを考えて
それを結果としてフミちゃんに押しつけていたような気がします。

なんだかんだでフミちゃんも優しいから
それにちゃんと乗ってくれていたんだよね。

「フミちゃんの歌、音痴だったなぁ~。」
「うっさい、ってか小春のランドセル重すぎやろ。
 どんだけ学校に持ち込んどんねん。」
「あれはわざと必要ないものまで詰め込んでただけだよ~。」
「やらしいな~。」
「ふふ。」
「…で、いっちゃん最初の1年のときは
 何したんやったっけ?」
「えっと、一番最初は…」

すぐに思い出せたけど、言うのを少し躊躇ってしまう。
一番、最初は…、小学校1年生のとき、は…

「背中流し…、じゃなかったかな。」
「はは、そやったなぁ。」
「…本当は全部覚えてたんでしょ?」
「小春ほどやないけどな。」
「うるさいなぁ。」

ははっ、またフミちゃんが嬉しそうに笑う。

「でも、懐かしいな~。
 俺ら、一緒に風呂とか入ってたんよな。
 今思うと、考えられへんわな。」
「うん、…そだね。」
「お互い、素っ裸見たことあるわけやもんな。
 そう考えると、なんか照れてまうな。」
「…へ、変なこと言わないでよ~。」

何処までからかうの…
でも、そう考えると、凄く不思議な感じがします。
昔は何の抵抗もなく、2人で裸でお風呂に入っていたなんて。
今じゃ絶対に考えられないことだもん。

……



「…で、今年、やな。」
「うん。」
「ラスト、やな。」
「うん。」

……
沈黙。お互いにしばしシンキングタイム。
実は私も、まだ何も罰ゲームの案を思いついていませんでした。
これでおしまいって思うと、どうしてもいろいろ考えてしまって。
……



「なぁ、小春。」
「…ん?」

突然名前を呼ばれて、ちょっとだけびっくりしてしまう。

…再び小さな沈黙。…、その後に

「最後やし、どうせやったら、派手に行かへん?」

その顔が、何処かさっきまでとは違く、真剣に見えて
私は少しずつ、ドキドキし始めていました。






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Last updated  2011.04.21 19:19:21
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Re:成長くらべっこ 2(04/21)  
ショタ さん
パソコンから見てみました
トップの絵いいですね (2011.04.22 14:19:25)

Re[1]:成長くらべっこ 2(04/21)  
>>ショタさん
いつもありがとうございます~。
気に入っていただけれ幸いです! (2011.04.29 03:44:04)

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