女子高生真帆ちゃん(仮名)2



部活も終わり、シャワールームで軽く汗を流してから、
真帆ちゃんと美紀ちゃんはカラオケに行くことにしました。
「どっち行く? 30分50円ドリンク別と1時間500円ドリンクつき」
「え~、安いほう」
「おっけ。んじゃ行くとしますか」
カシマシ娘はゲームセンターやらパチンコ店やらが機械音を立てる路地を歩いていきます。

「あ、ねえあれ見て」
美紀ちゃんが真帆ちゃんをつっつきます。
「なに?」
真帆ちゃんはそう言って美紀ちゃんが示した方向を見ました。

もう秋で肌寒くなりつつあるというのに、肌のあちこちが大胆に出る服を着た女性が歩いてきます。

「うわ。派手」
「すっごい露出だね。でもそのわりにスタイルが」

きゃらきゃらとおしゃべりをしながらその女性の横を通り過ぎようとしたときです。
「あつっ!」
「真帆?」
真帆ちゃんは涙目になりながら左手を押さえています。
「ど、どうしたの?」
「煙草が……」
どうやら女性の持っていた煙草の火が手に当たったようでした。
「火傷、したみたい」
「大丈夫!? ちょっとおばさん!!」
美紀ちゃんは振り返って女性を呼び止めました。

「誰がおばさんですって?」
女性は不機嫌そうにその顔をこちらへ向けました。
「あなた以外に誰がいるのよ。このこ火傷したんだよ、無視しないで謝ってください」
「ふーん」
女性はたいした感慨を受けたようでもなく、
「ぶつかってきたあんたが悪い」
と言いました。
真帆ちゃんはびっくりしました。
まさかそんなことを言われるとは。
「ちょ……なんですかそれ! あたしが悪いって言うんですか!?」
「だってそうでしょ? こんな狭い路地で腕なんかふって歩いてるからよ」
「歩き煙草してるあなたのほうが悪いんじゃないですか? 千代田区だったら罰金2万円ですよ」
「ここ千代田区じゃないし。歩き煙草が悪いなんて、ここでは罰せられないもの」
女性はふてぶてしくもそう言いました。
「でも、危ないのはどう考えてもそっちじゃないですかっ」
真帆ちゃんが納得できずにそう言い募ると、
「うるっさいわね。しつこいのよ! どうせ自分が未成年で煙草も吸えないからってひがんでるんでしょ! だいたいなんであんたに注意されなきゃいけないのよ。あんた警察? 違うでしょ。馬鹿ガキ! ここでは歩き煙草は法律で取り締まられてないからいいのよ! そんなこともわかんないのドアホが」
もう絶句です。
真帆ちゃんはこっそり美紀ちゃんにささやきました。
「……こういう日本語の通じない大人ってどうすればいいんだろ」
「……ノーコメント」


続く。
この小説はフィクションです。
実在の人物・団体・出来事等には一切関係ありません。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: