『仔犬を迎えるまでの苦悩偏』(笑)

2005年春。
旦那が2年近くの単身赴任を終え、無事帰宅した。

子ども達は、もう嬉しくて嬉しくて
弾けんばかりの笑顔で日々を過ごしている。

私と子ども達3人で過ごしていた日常も
ようやく以前の『家族4人』のペースに戻りつつあった。


そんなある日、車中にて…


「あのさ…犬のことなんだけど、今回は延期にしない?」
私が切り出すと

「…なんで!?」
旦那の少しムッとした声が返ってきた。



あれは10日程前だっただろうか…
家族4人での久々のお出かけ。
そこは旦那が居ない間、
子ども達や友人とよく遊びに来ていたショッピングモールだった。

大好きな雑貨や洋服のお店がひしめき合っている。

そこから流れてくる心地よいBGMに身を任せて深呼吸すると
ベーカリから漂う美味しい焼きたてパンの匂いも一緒に
身体の中に入って来た。

お気に入りの空間
最愛のメンバー。
4人それぞれに幸せを噛み締めていた。
『これからも皆でい~っぱい笑って過ごそうね!』と…。


「ゆっくり見てきていいよ。俺、子ども達とあっちに居るから。」

『ペットショップ見たい~!』と娘にせがまれた旦那は笑顔で
何件目かの雑貨屋に私を送り出してくれた。

4月初頭から、
旦那の帰宅準備と
娘の入学と
長年携わっている2つのボランティア活動と
PTA役員の仕事が重なり、

日々バタバタしていた私にとって
こんなにゆったりとリラックス出来た日は無かった。


「また休み明けから頑張るぞ~☆」
お店廻りをたっぷり堪能してから旦那と子ども達の元へと急いだ。


「すっごくかわいかったよぉ~!ワンちゃん♪」
「お母さーん!犬飼おうよぉ~!!」
息子と娘がマシンガンの如く私に話しかけてくる。
まぁ、いつもの事だ。


「可愛いのは解るけど、犬を飼うのはそんなに簡単なことじゃないの。
あんた達が自分の身の回りの事をちゃ~んと
出来る様になってからじゃない とムリ~!」


帰りの車中、いつもの調子で子ども達の攻撃をかわしていると


「…でも、いいよね。犬の居る生活って…」
ハンドルを握る旦那が呟いた。

「…え?」
予想外の言葉に驚き、私は一瞬言葉に詰まってしまった。

「いや…そりゃ楽しいだろうけどさ…」


子ども達はず~っと以前から犬を飼いたがっていた。

私も『好きな動物は?』と訊かれたら『犬!』と即答する。
すごく欲しい!と思うときもあった。
だが、あくまでも夢だった。

現実問題、2人の子育てで常にバタバタしている私のちっこい器では
時間的にも精神的にも犬を飼うには無理がある。
いつしか、キッパリと諦めた。

何よりも、

『ウチの最終決定権』を持つ旦那自身が
いままでどんなに子ども達や私が『犬欲しいね~』と言っても
絶対にOKを出さなかったのだ。

私以上に犬好きだが、面倒臭がりの彼は
「可愛いけど、大変だよ~。 またいつか ね!」
いつもそうやって私達の要求を受け流してきた。
そんな旦那が
「家に帰るまえに、もう一軒ペットショップ見て行かない?」
助手席の私に子どもの様な笑顔で言った。

後部座席で大喜びの子ども達。
それ以上に心が犬に傾いているらしい旦那。
そして仔犬に負けそうな自分自身に対して、

「見るだけだよ!飼わないよっ!!」
そう言って、二軒目に向かった。


邪心が一切無い澄んだ瞳を持ち…
ちっちゃい手足をチタパタと動かす…
コロコロ転がる毛玉の様な生き物…

…仔犬。

可愛いに決まっている。

しかもケースの前に立つと
『ア○フルのクーちゃん』みたいな顔でこっち見つめるし…。
だけど『可愛い』だけじゃ生き物は育てられんのよ(T▽T)

ほら、こっちの子トイレ以外の所でウン○した。

あ~あの子…、ケースの隅の破壊活動始めた(苦笑)

向こうの子、遊んで欲しいんだな…。 お客さんに必死になってキャンキャン訴えてる。

お店なら微笑ましく眺めていられるこんな風景も 自分ちだったら…?
笑ってられるワケがない。

トイレ 噛み癖 吼え癖 も全て、
飼い主の私達が 責任を持って躾をしないといけない のだ。
多分、人間の子育てと
そう変わらない気力と体力を必要とされるだろう…。


しかも今年度はいままでの何倍も用事が多い。
PTAやボランティアの仕事に加えて、
秋からは自治会のまとめ役の順番も回ってくるのだ。

一年生になったばかりの娘は今年一年、
心身共に私が精一杯フォローしてやらなければならないし、

旦那が居ない間、相棒となって苦楽を共にしてくれた息子の事も
余裕を持って見守ってやりたい。

…やっぱり無理だよ(T▽T)

あの日から何軒もショップを覗き、ネットで犬の情報を調べ…
可愛いし、欲しいけど…
今の自分では抱えきれないと決心した。


「…なんで?!」
旦那の少しムッとした声に

「今年は特に忙しすぎるよ。私は世話をみれるだけの余裕がない。
せめて夏休みまで待ってよ。」
と返した。

「そんなこと言ってたらいつまでも飼えないじゃん。
夏過ぎたら今度は俺が忙しくて世話できなくなるよ。
今だったら余裕があるから
仔犬の一番手の掛かる時期の世話が出来ると思うんだ。」

…夏過ぎたら忙しくなるってオイオイ( ̄▽ ̄;
そっからの世話は必然的に私がやるんかいっ!!
まぁ、どうせ私が主に世話する事になるのは覚悟してるけどさ(号泣)

でも、夏に飼ったら最初からフォローなしか…。
今飼えば、一番手の掛かる5ヶ月あたりまで全面的に看てくれるのか!?

気持ちが揺れつつ、
『いや、来年以降に仕切り直ししよう』と考えているところに
子ども達が必死の攻撃を仕掛けてきた。

「おかあさん おねがいっっ! 
わたしなんでも手伝うし わがままも言わないっ! やくそくするからぁぁあああ(絶叫)」


(↑『仔犬が来たら、下の子が産まれるのと一緒だから、
当分お母さんはその子に掛かりきりになる。
いままでよりあなたと過ごす時間が少なくなる。
学校からヘトヘトに疲れて帰って来たとしても、
仔犬の世話しててお話も聞けないなんて時もあるよ。キット。』
という私の再三に亘る説得にメゲずに出た娘の言葉。)

「お母さん…僕、自分のことに少しは責任持てる様になってきた と思うんだよね。
それに『お父さんが帰って来たら 犬の事考えてみてあげる』って前に言ってたよね…。
ダメなら、いいんだけどさ…。」


(↑うっ…( ̄ ̄; 息子にこう言われると辛い…。
この2年間、もの凄く忍耐と成長の日々だった彼。
ここでまた、我慢させるのか…!?)


…要は、私が器を大きくすりゃいいのよね。
元々は子ども3人産もうって思ってたじゃん。

子ども達も『赤ちゃんほしいなぁ』って言ってたけど
でも私はその自信は無くて…。


賭けてみるか?自分自身に…。
そして旦那と子ども達の決意に…。

なかばヤケクソで私は言った。

「わかったよっっ!!! そのかわり私は手伝いしかしないからねっ!
あなた達が責任持って世話してあげてよっ!
犬は『飼う』んじゃなくて 『迎えて、育てる』 ものなんだからね!
『育てる』ってホントにホントに大変なんだからねっっっ!!!


「私は無理だって言ったからねぇぇぇええ!!!!!」


…こうして、我が家に犬を迎えることが決定したのだった。

【うちに合う仔は?偏】 に続く☆


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