埋もれ火のアンソロジー

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2006.05.31
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カテゴリ: ことばの遊び場

ゆふすげびと

          立原道造

かなしみではなかった日のながれる雲の下に

僕はあなたの口にする言葉をおぼえた、

それはひとつの花に名であった

それは黄いろの淡いあはい花だった、

僕はなんにも知ってはゐなかつた

なにか知りたく うつとりしてゐた、

そしてときどき思ふのだが 一体なにを

だれを待つてゐるのだろうかと。

昨日の風は鳴つてゐた、林を透いた青空に

かうばしい 光のまんなかに

あの叢に咲いてゐた さうしてけふもその花は  

思ひなしだが 悔ゐのやうにー。

しかし僕は老いすぎた 若い身空で

あなたを悔ゐなく去らせたほどに!

ゆうすげ

立原道造を遠ざけてきた僕が確かにいた。かつて。「歯が浮く」感じがして、詩を読むこともためらってきた僕がいた。24歳で死んだこの建築家兼詩人だった立原の詩は若い頃の僕には薄味すぎて読んでも何も残らなかった。胡椒や醤油やソースをふりかけたくなるような詩ばかりだった。今もそんな感じはしているが。

ginndanukiさんのコメントを読んで「のちのおみひに」も書きたくなった。まだ出会ったことのない人たちが出会えたらいいな。

のちのおもひに

           立原道造

夢はいつもかへつて行った 山の麓のさびしい村に

水引草 に風が立ち

草ひばりのうたひやまない

しづまりかへつた午(ひる)さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠ってゐた

ーそして私は

見てきたものを 島々を 波を 岬を 日光月光を

だれもきゐていないと知りながら 語りつづけた・・・・・・

夢は その先には もうゆかない

なにもかも 忘れ果てようとおもひ

忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう

そして それは戸をあけて 寂寥(せきれう)のなかに

星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう



立原道造「ゆふすげびと」





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Last updated  2008.06.21 12:37:46 コメント(15) | コメントを書く
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